不登校の子を持つ親なら、一度は思ったことがあるはずです。「いつになったら勉強を再開させればいいんだろう」と。
早すぎれば逆効果。遅すぎれば取り返しがつかない。私はそのタイミングを何度も間違えて、息子との関係を悪化させました。
結論から言うと、息子が自分から「やる」と言い出すまで待つのが正解でした。ただし、そこに至るまでに私がやった失敗と、待つ間に準備しておいたことが、最終的な成功につながったとも思っています。
失敗1:不登校直後に塾のテストを受けさせた
息子が公立中学校に転校して不登校になった後、私は高校受験のことが頭から離れませんでした。このまま勉強しなかったら高校に行けなくなる。その焦りから、中学2年生の秋頃、学校にぽつぽつ通い始めたタイミングで塾の入塾テストを受けさせました。
結果は不合格。英語が10点台で、どの塾を受けても入れてもらえませんでした(詳しくはこちら)。
今振り返ると、子どもの心がまだ回復していないのに、勉強のレールに無理やり戻そうとしたのが間違いでした。学校に数日通えるようになっただけで「もう大丈夫」と思い込み、次は塾だと先走ってしまった。
失敗2:市販の教材で独学を勧めた
塾がダメなら独学で。中学3年生になった息子が「自分で勉強する」と言ったので、一緒に本屋に行きました。
でも、何から手をつければいいか分からない。中学1年生の内容すら抜けている状態で、棚に並ぶ参考書を見ても、どれが息子のレベルに合うのか判断できませんでした。
数日間、買ってきた問題集を開いてはいましたが、解けない問題ばかりで手が止まる。分からないところを聞ける人もいない。結局、問題集は机の上に積まれたまま放置されました。
この経験で分かったのは、「勉強したい」という気持ちがあっても、環境が整っていないと続かないということ。独学は不登校の子にはハードルが高すぎました。
転機:自宅学習の存在を知った日
中学2年生の終わり、春休みに入った頃。本屋での独学がうまくいかず、ふと「オンラインで学べないか」と思いつきました。
ネットで検索すると、高校受験用の通信講座がたくさんあることを知りました。中学1年生の内容からやり直せる。AIが苦手分野を分析してくれる。しかも月額数千円。
シングルマザーの私にとって、個別塾の月4万円は重い負担でした。しかもその4万円を払っても、起立性調節障害で半分は通えていなかった。進研ゼミなら費用を抑えながら、息子の体調に合わせて学べる。「これならいける」と思えた瞬間、久しぶりに心が明るくなりました。
ただし、この時点ではまだ息子に勧めていません。中学2年生の段階では、息子にその気がなかったからです。
正解だったこと:息子が「やる」と言うまで待った
進研ゼミの存在を知ってから、実際に息子が始めるまで数ヶ月かかりました。
中学3年生の春。息子自身が「このままじゃまずい」と感じ始めたタイミングで、私から進研ゼミの話をしました。すると息子は意外にも興味を示しました。本で勉強するよりタブレットのほうが楽そうと思ったようです。
中学3年生の4月、進研ゼミを開始。ここからが本当のスタートでした。
もし私が中学2年生の時点で無理やり始めさせていたら、たぶん続かなかったと思います。塾のテストの二の舞です。子ども自身が「やりたい」と思うタイミングまで待つこと。これが一番大切でした。
「待つ」は「何もしない」ではない
待つと言っても、ただぼんやり待っていたわけではありません。息子に気づかれないように、私は裏で準備を進めていました。
準備1:通信講座の情報を集めておいた
進研ゼミ、すらら、スタディサプリ、Z会、スマイルゼミ。それぞれの特徴や費用、不登校の子への対応を徹底的に調べました。息子に「やりたい」と言われた時にすぐ始められるよう、比較表まで作っていました。
準備2:出席扱い制度を調べておいた
通信講座で勉強した場合、学校の出席扱いにできる制度があることも事前に調べていました(出席扱いの条件と手続きはこちら)。これを知っていたから、「この教材は意味がある」と自信を持って勧められました。
準備3:高校の選択肢を調べておいた
全日制、通信制、定時制。それぞれの入試要件や内申点の扱いを調べ、息子の状態でも受けられる学校のリストを作っていました(高校選びの話はこちら)。
「待つ」期間は無駄な時間ではなく、子どもが動き出した瞬間にベストなサポートができるようにする準備期間だったと思っています。
勉強再開のサインはこうだった
息子が勉強を再開する「準備ができた」と感じたサインを振り返ると、いくつかありました。
- 友達と将来の話をするようになった(「俺、偏差値30台の学校でもいい」という発言)
- 高校の話題を嫌がらなくなった
- 自分から「本屋に行きたい」と言い出した
- テレビやスマホの合間に暇そうにしている時間が増えた
どれも些細な変化です。でも、不登校の子の「やる気」は、親が思っているよりずっと静かに芽を出します。大きな宣言ではなく、日常の中のちょっとした変化を見逃さないことが大切でした。
焦っている親御さんへ伝えたいこと
私は焦って何度も失敗しました。塾のテストを受けさせて不合格。独学を勧めて挫折。そのたびに息子はまるで自分はダメだと思い込んでいるようで、どんどん自信をなくしていきました。
子どもが不登校の間、勉強が止まっていることへの焦りは本当に辛いです。周りの子はどんどん先に進んでいく。高校受験はどうなるのか。シングルマザーの私は経済的にも余裕がなく、教育費をかけたのに成果が見えないことへの焦りもありました。
でも、子どもの心が回復する前に勉強を押し付けても、うまくいく可能性は極めて低いです。
息子の場合、中学1年生から中学3年生の4月まで、実質2年近く勉強がストップしていました。それでも進研ゼミを始めてから約1年で高校に合格できました。中学受験で培った基礎があったことも大きいですが(中受経験がなくても、進研ゼミは中学1年生の基礎から始められるので心配いりません)、何より息子自身が「やる」と決めて取り組んだからです。
焦らなくて大丈夫。ただ、準備だけはしておく。子どもが動き出した時に、すぐに手を差し伸べられるように。それが、勉強再開のタイミングで一番大切なことだと、今の私は思っています。
みっこの本音——焦って失敗した数だけ学んだ
塾のテストを受けさせて不合格。独学を勧めて挫折。どっちも私の焦りが原因でした。でもその失敗があったから、自宅学習を見つけた時に「今度は息子のタイミングを待とう」と思えた。失敗を後悔するだけじゃなくて、次に活かせたことだけは、自分を褒めてあげたいなぁ。
「待つ」期間の親の過ごし方|焦りを和らげる5つの行動
子どもが勉強に向き合えるタイミングを「待つ」と決めても、親側の不安は消えません。我が家が「待ち時間」を消耗で終わらせず、自分のメンタルを保つために実践していた行動を5つ紹介します。
1. 進路情報のリサーチを進める
子どもが動けない期間は、親側で「もしこの子が動き始めたらどんな選択肢があるか」を調べておく時間に使えます。通信制高校・全日制・サポート校・オンラインスクールなど、選択肢を広げて知っておくだけで「いつでも案内できる準備」が整います。
2. 親自身の相談ルートを確保する
スクールカウンセラー、教育センターの相談窓口、不登校の親の会など、親が自分の気持ちを話せる場所を確保することは「待つ」を続けるために必須でした。我が家も月1回は相談に通っていました。
3. 子どもの「好き」を観察してメモする
勉強の話を一切せずに、子どもがハマっているもの・興味を示しているもの・反応が良かった話題をメモします。後で再開のきっかけになる「好き」が、ここで見えてきます。我が家は息子のYouTube視聴履歴から興味の傾向を把握していました。
4. 家事・仕事のルーティンを淡々と回す
子どもの状況に振り回されず、自分の生活リズムを守ることが「待つ」の継続力に直結します。掃除・買い物・仕事を平常通りにこなすだけで、家の中の空気が安定しました。
5. 「今日の小さな進歩」を1行だけ記録する
「リビングに5分いた」「自分から水を飲みに来た」など、ごく小さな変化を1行メモに残すと、後から見返した時に「ちゃんと前進している」と気づけます。我が家は冷蔵庫に貼ったメモ帳がそれでした。
「待つ」は受動ではなく能動
「何もしないで待つ」のではなく「子どもが動ける環境を整えながら待つ」と捉え直すと、罪悪感が減ります。情報収集・自分のメンタルケア・観察・記録の4つを淡々と回すうちに、息子が自分から動き出すタイミングが来ました。
- 不登校の子の勉強再開タイミング——「自分からやる」と言うまで待つが正解
- 焦って塾のテストを受けさせた失敗(全不合格)/市販教材で独学→放置の失敗、両方経験
- 親は「待つだけ」ではなく、裏で情報収集(通信講座調査・高校選択肢リスト)しておく
- 我が家は中学3年生の4月に進研ゼミスタート→約1年で第一志望合格
- 早すぎる再開は親子関係悪化のリスク。子どもの心の回復が先、勉強は後


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