不登校の子のきょうだいが「ずるい」と言い出した時の対応|ママ友に相談されて考えたこと

記事ID:2144 きょうだいが「ずるい」と言い出した時 アイキャッチ(caseE版) 不登校の悩みと向き合い方

「なんであの子だけ勉強しなくていいの?」——ママ友からの電話

夜の9時過ぎ、息子が自分の部屋に引き上げた後にスマホが鳴りました。

きょうだいで遊ぶ子どもたち

画面に表示されたのは、同じ不登校ママのコミュニティで知り合ったAさんの名前。普段はLINEでやり取りしているのに、電話というだけで「何かあったな」と分かりました。

「ちょっと聞いてほしいことがあって」

Aさんの家は、中学2年生の長女が不登校中。下に小学5年生の妹がいます。その妹さんが夕食の席で突然、こう言ったそうです。

「なんでお姉ちゃんだけ勉強しなくていいの? ずるくない?」

Aさんは一瞬、言葉に詰まったと話していました。不登校の長女のことで精一杯なのに、下の子からそう言われて、頭の中が真っ白になったと。

私の息子は一人っ子です。だからきょうだい間のこの問題は、正直なところ自分の体験としては語れません。でも、不登校の親同士のつながりの中で、同じような相談を何度も受けてきました。「ずるい」という言葉は、不登校の子を持つ家庭ではよくある話なんです。

みっこのアイコン
みっこママ友から「きょうだいが『ずるい』と言い出した」と相談されて、我が家なりの考えをまとめました。一人っ子の私が外側から見えたことを書きます。

きょうだいの「ずるい」は本当にサボりたいわけじゃない

「ずるい」という言葉を聞くと、つい「この子もサボりたいのかな」と思ってしまうかもしれません。でも、多くの場合、きょうだいが本当に訴えているのは「自分のことも見てほしい」という気持ちです。

不登校のお子さんがいる家庭では、どうしても親の注意がその子に集中します。学校との連絡、病院の付き添い、日中の見守り。これらは仕方のないことですが、きょうだいはその間ずっと「自分は後回しにされている」と感じている可能性があります。

別のママ友・Bさんの話です。Bさんの家では、小学3年生の弟が不登校のお兄ちゃんに向かって「ずるい、俺も休みたい」と言い出したそうです。でもよくよく話を聞いてみたら、弟くんが言いたかったのは「お兄ちゃんばっかりママと家にいて羨ましい」ということでした。勉強をサボりたいわけじゃなく、お母さんと過ごす時間が欲しかっただけなんです。

SNSでも同じような声を見かけます。「とうとう真ん中の子が『なんで○○は勉強してないのに、私はしないといけないの?』って怒り出した」という投稿には、2万件を超える閲覧と300近い共感が集まっていました。この悩みは決して珍しいものではなく、多くの家庭が直面している問題です。

不登校の保護者のコミュニティでは、「きょうだいとの対応に差が出てしまう。どちらも大切にしているからこその悩み」という声がたくさんあります。差をつけたくてつけているわけじゃない。でも、きょうだいにはその事情が見えにくいのです。

だからこそ、「ずるい」の裏にある本当の気持ちに目を向けることが大切だと、ママ友たちの話を聞くたびに感じています。

絶対にやってはいけない対応3つ

ママ友たちの体験を聞いていて、「これだけはやらないほうがいい」と感じた対応が3つあります。どれも、親としては自然に出てしまう反応ばかりなので、知っておくだけでも違うと思います。

1. 「お姉ちゃん(お兄ちゃん)は病気なんだから仕方ないでしょ」と突き放す

事実としては正しいかもしれません。でも、きょうだいにとってこの言葉は「あなたの気持ちは重要じゃない」と受け取られてしまいます。

Aさんも最初、つい「お姉ちゃんは体調が悪いんだから」と返してしまったそうです。すると妹さんは黙り込んで、それ以降しばらく何も言わなくなった。Aさんは「あの時、余計なことを言ってしまった」と後悔していました。

黙ったということは、気持ちが消えたのではなく、言えなくなっただけです。

2. 不登校の子の事情を詳しく説明しすぎる

「お姉ちゃんは起立性調節障害っていう病気で、朝起きられないの。だから…」と丁寧に説明したくなる気持ちは分かります。でも、きょうだいが求めているのは「説明」ではなく「共感」です。

理屈で分かっても、感情は別のところにあります。小学生の子に病名を説明されても、「じゃあ私の気持ちはどうなるの?」という部分は解消されません。

3. きょうだいの前で不登校の子を特別扱いする

不登校の子への対応は必要です。でも、きょうだいの目の前で「○○ちゃんは今日も辛いから、静かにしてあげてね」のように、常に気を遣わせる言い方をしていると、きょうだいは自分の存在が二の次だと感じてしまいます。

ママ友のCさんは「下の子に『お兄ちゃんのことは気にしなくていいから』って何度も言ってたけど、逆にそれが下の子にプレッシャーになっていた」と話していました。「気にするな」は「気にしろ」と同じ意味で伝わってしまうこともあるのです。

「あなたも見ているよ」を伝える具体的な方法

じゃあ、きょうだいにはどう接すればいいのか。ママ友たちの話から見えてきた、効果があった方法をまとめてみます。

まず「そうだよね」と受け止める

「ずるい」と言われたら、最初の一言は「そう思うよね」「そう感じるのは当然だよ」で十分です。否定も説明もせず、ただ受け止める。

不登校の保護者のコミュニティでも、「完璧である必要はありません。『あなたも大事だよ』と言葉で伝えるだけでも、お子さんにはしっかり届きます」というアドバイスが多く見られます。正解を言おうとするより、気持ちに寄り添うほうがずっと大事なのだと思います。

きょうだいだけの時間を意識的に作る

特別なことでなくていいんです。一緒にコンビニに行く、寝る前に5分だけ今日あったことを聞く。それだけで「自分のことも見てくれている」と感じられるきっかけになります。

Bさんは「土曜日の朝だけ、弟と2人でパン屋に行くようにした」と話していました。たった30分の時間でも、弟くんは「ずるい」と言わなくなったそうです。

頑張りを具体的に言葉にする

「偉いね」「いい子だね」という漠然とした褒め方ではなく、「今日の漢字テスト、自分で勉強してたの見てたよ」「朝、自分で起きて準備できてたね」と、具体的な行動を言葉にしてあげてください。

きょうだいは「自分は普通にしているだけなのに、誰も見てくれない」と感じていることがあります。普通のことをちゃんとやっている、それ自体がすごいんだよと伝えることが、きょうだいの心を支えます。

きょうだいの話を遮らない

不登校の子のことで頭がいっぱいの時、きょうだいが学校の話をしてきても上の空になってしまうことがあります。でも、きょうだいはその「聞いてもらえない」をとても敏感に察しています。

完璧に集中できなくても、目を見て頷くだけで違います。「後でね」が続くと、子どもは話すこと自体をやめてしまいます。

私の場合——うちは一人っ子だから、きょうだいの「ずるい」問題は経験していません。でもママ友から相談された時、自分だったらどうするだろうとすごく考えました。2人の子どもを同時に守るって、想像するだけで胸が苦しくなる。

一人っ子の母だからこそ気づいたこと

息子は一人っ子なので、きょうだいの問題は我が家にはありません。でも、一人っ子だからこそ見えたことがいくつかあります。

まず、息子が不登校になった時、私の意識は100%息子に向いていました。きょうだいがいないから当然なのですが、それでも息子は「自分のせいでお母さんが大変になっている」と感じていたようです。

息子は直接そう言ったわけではありません。でも、不登校の最中に私が余裕をなくしていた時期、息子は明らかに私の顔色を見ていました。話しかけるタイミングを計っているような、そっと様子をうかがうような目。一人っ子で、他に比較対象がいなくても、子どもは親の余裕のなさをちゃんと見ています。

これをきょうだいのいる家庭に置き換えると、不登校の子もきょうだいも、どちらも「自分のせいで」と思っている可能性があるということです。不登校の子は「自分が学校に行かないからきょうだいに迷惑をかけている」と感じているかもしれない。きょうだいは「自分がもっと我慢すれば家がうまくいくのに」と思っているかもしれない。

一人っ子の家庭ですら子どもは親の変化を感じ取るのだから、きょうだいがいる家庭ではなおさらだと思います。

そしてもうひとつ。ママ友の相談を聞いていて気づいたのは、相談する相手がいるだけで少し楽になるということです。私自身、不登校の初期は誰にも言えなくて、ひとりで抱え込んでいました。きょうだいの問題は「家庭内のこと」として外に出しにくいけれど、同じ立場の親同士なら話せることがあります。

ママ友がたどりついた「月1回の2人時間」

最初に電話をくれたAさんの話に戻ります。

あの電話の後、Aさんは妹さんとの関わり方を少しずつ変えていったそうです。いろいろ試した結果、月に1回、妹さんと2人だけで出かける時間を作るようになりました。

映画を観に行ったり、カフェでパフェを食べたり。内容は毎回違うけれど、「今日はあなただけの日だよ」と伝えることを大切にしていたそうです。

最初のうち、妹さんは「お姉ちゃんは?」と聞いてきたそうです。それを聞いて、Aさんは胸がぎゅっとなったと言っていました。自分が寂しい思いをしているのに、それでも姉のことを気にかけている。きょうだいって、親が思っている以上にお互いのことを見ているんですよね。

3ヶ月ほど続けた頃、妹さんが「今度はお姉ちゃんも一緒に来られるといいね」と自分から言ったそうです。「ずるい」と怒っていた子が、姉の回復を願う言葉を口にした。

Aさんはその話をしながら声を詰まらせていて、私もスマホを持つ手が震えました。

もちろん、月1回の外出が全ての家庭でできるわけではありません。シングルマザーだったり、下の子が複数いたり、経済的な事情もある。大切なのは頻度や内容ではなく、「あなただけを見ている時間がある」というメッセージだと思います。

寝る前に10分だけ2人で話す、お風呂の時間を少し長くする、一緒に夕飯の買い物に行く。小さなことでも、「今はあなたの時間」と意識するだけで、きょうだいの表情は変わるとAさんは教えてくれました。

まとめ:不登校の子もきょうだいも、どちらも大切

きょうだいの「ずるい」は、家庭の中でSOSとして発せられる言葉です。その言葉の奥には、「自分も見てほしい」「自分もここにいるよ」という切実な気持ちがあります。

不登校の子を支えることに必死な時、きょうだいへの対応まで手が回らないのは当然です。自分を責める必要はありません。完璧にやろうとしなくていい。ただ、きょうだいの「ずるい」が聞こえた時は、それを問題行動として捉えるのではなく、「この子も頑張っているんだ」というサインとして受け止めてあげてください。

私は一人っ子の母なので、きょうだいの問題は外側から見ていることしかできません。でも、ママ友たちの奮闘を間近で見てきて思うのは、「どちらかを選ばなければいけない」なんてことは絶対にないということです。

不登校の子にもきょうだいにも、それぞれの痛みがあって、それぞれの頑張りがある。親にできるのは、そのどちらも「ちゃんと見ているよ」と伝え続けることなのだと思います。

もし今、きょうだいの対応に悩んでいるなら、同じ立場の親御さんと話してみてください。一人で抱え込まなくていいんです。私がAさんの電話を受けたように、あなたの話を聞きたいと思っている人は、きっとどこかにいます。

みっこの本音——ママ友に相談されて思ったこと

一人っ子の母として、きょうだいの問題を語る資格があるのか迷いました。でもママ友が涙ながらに電話してきた夜のことを思い出すと、「同じ不登校の親」として伝えられることはあるんじゃないかと。どっちの子も大事。その気持ちに嘘はないはずだから、どうか自分を責めないでほしいなぁ。

この記事のポイント
  • きょうだいの「ずるい」は嫉妬ではなく「私も見てほしい」のサイン
  • 不登校の子と同じだけ、きょうだいの時間も確保する(特別な時間の設計)
  • 「不公平」と「不平等」は違う。状況に合わせた対応が結果的に公平
  • きょうだい向けに「家族会議」で状況を説明→理解を求めるのも有効
  • 親が「きょうだいにも悪い」と罪悪感を抱えすぎないこと。家族それぞれの時間を大切に
「ずるい」の奥にある寂しさに気づけたら、きょうだい関係は前に進めます。


不登校の悩みと向き合い方
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みっこ
この記事を書いた人

シングルマザーとして、不登校・起立性調節障害・ADHDの息子と歩んできました。中3の4月に始めた通信講座(進研ゼミ)をきっかけに、約1年後に高校合格。同じように悩んでいる親御さんに「あなただけじゃないよ」と伝えたくてこのサイトを作りました。

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