「もういい加減にしなさい!」——そう叫んで、息子の手からスマホをもぎ取った夜のことを、今でも後悔しています。

息子は激怒し、そのまま家を飛び出しました。それから3日間、帰ってきませんでした。
この記事では、不登校の子からスマホを取り上げた結果何が起きたか、そしてその後私がどう考えを変えたかをお話しします。
受験時代は「スマホを自制できる子」だった
息子は小学生の頃からスマホを持っていました。中学受験の勉強中も、休憩に10分だけゲームをする程度。自分でアラームをかけて、10分経ったら自らスマホを置いて勉強を再開するような子でした。
だからまさか、この子がスマホ依存になるなんて、思いもしていませんでした。
でも今振り返ると、あの中学受験で勝ち取った合格は、息子の中で小さな自信の火として残り続けていたのだと思います。「本気を出せばできる」——スマホ漬けの日々の中でも、その炎だけは消えていなかった。だからこそ、力づくでスマホを奪うのではなく、あの火を信じて待つべきだったのです。
中学入学で一変——LINEとオンラインゲームの世界
中学に入ると、友達の輪が一気に広がりました。みんながスマホを持ち始め、息子は友達を作るのに必死でした。
LINEでグループ通話をしながらオンライン対戦ゲーム——今の中学生ならではの遊び方にハマり、気がつけば何時間でもスマホを触り続ける状態に。
ご飯の最中でもスマホが鳴ると慌てて確認する。お風呂にもトイレにもスマホを持ち込む。完全な依存状態でした。
「制限」の全てが失敗に終わった
失敗① 時間制限
学校がLINEの内容に厳しかったこともあり、「LINEは1日1時間」と制限をかけました。結果、息子は猛反発。「○○やるからLINEの時間伸ばして?」と必死で交渉してくるようになりました。
失敗② スマホロックボックス
設定した時間はスマホが取り出せなくなる箱を購入。でも息子は箱ごと隠したり、解除方法を検索したり。親の知恵より、子どもの執念のほうが上でした。
失敗③ スマホ没収→3日間の家出
ついにスマホを取り上げました。息子は激怒し、そのまま家を飛び出して3日間帰ってきませんでした。(家出当時の経緯と、児童保護施設で息子と向き合った3日間については反抗期の息子が家出して児童保護施設に保護された話にまとめています。)
当時の私には、金銭的な焦りもありました。個別塾は1時間8,000円。月に4万円払って、半分は休まれる。シングルマザーの家計で、その出費は重くのしかかっていました。お金をかけているのに勉強しない。せめてスマホくらいコントロールしなければ——そんな焦りが、スマホ管理をどんどん厳しくさせていたのだと思います。
この一件で学びました。スマホを力づくで取り上げるのは、絶対にやってはいけない。特に不登校の子にとって、スマホは「娯楽」ではなく「社会との唯一の接点」だったのです。
ずっと後になって気づいたことがあります。私はスマホの取り上げを「しつけ」だと思っていました。でも息子にとっては、あれは「罰」だった。学校に行かないから罰。勉強しないから罰。言うことを聞かないから罰。——私がそう意図していなくても、息子の目にはそう映っていたのだと思います。そして罰を与えられた子どもがどうなるか。反発するか、逃げるか。息子は家を飛び出しました。
不登校の子にとってスマホは「命綱」だった
不登校になると、リアルで友達と会う機会はほぼゼロになります。息子にとってスマホは、友達とつながるための唯一のライフラインでした。
それだけではありません。不登校になってから、息子は外に出ること自体が怖くなっていました。退学した学校の制服を着た生徒を見るだけで、動悸がする。商店街を歩くだけで、笑いながら通学する中学生の集団が目に入る。息子にとって外の世界は恐怖でしかなく、スマホの向こう側だけが唯一の「安全な社会」だったのです。
不登校期間中、息子は1日中部屋でスマホをいじっていました。最初は苦しかった。でも、あるとき気がつきました。
スマホの向こうで楽しそうに友達と話している息子の声を聞いて、ホッとしたのです。リアルで友達に会えないんだから、せめてスマホでつながっていてくれるなら、それでいいじゃないか。
そう思えるようになってから、私の気持ちは少し楽になりました。
「取り上げる」のではなく「別の画面時間」を作る
スマホを取り上げるのは逆効果。でも、1日中スマホだけという状態を放置するのも親としては辛い。
そこで私が試したのは、「スマホの画面時間の一部を、タブレット学習に置き換える」という方法でした。
通信講座のタブレット学習なら、息子にとっては「スマホと同じ画面の向こう」。抵抗感が少なかったのか、1日のうち15分だけならタブレット学習に向かうようになりました。
スマホを「やめさせる」のではなく、画面を見る時間の中に「学び」を滑り込ませる。この発想の転換が、我が家のターニングポイントでした。
同じ悩みを持つお母さんへ
スマホを取り上げたい気持ちは、痛いほどわかります。でも、力づくで奪っても何も解決しません。
「取り上げる」ではなく「置き換える」。スマホの時間を少しだけ通信講座に当てる。それだけで、親の罪悪感も子どもの反発も、少しだけ和らぎます。
実は私自身、スマホ問題以前にも息子を追い詰めていたことがありました。シングルマザーとして生活費と教育費を稼ぐために働きづめだった私は、友達のお母さんたちのように余裕を持って息子に接することができませんでした。息子から言われた一番刺さった言葉がありました(親子関係の記録)。息子はスマホの向こうに「普通」を求めていたのかもしれない。仕事で余裕のない私の代わりに、スマホの中の友達が息子の心を支えてくれていたのだと、今ならわかります。
学校行事のたびに感じる孤独も、私の心をすり減らしていました。体育祭も授業参観も、夫婦で来る家庭ばかり。ひとりでぽつんと立っている寂しさは堪えました。その孤独感が、家に帰ると「せめてスマホくらいちゃんとしなさい」という八つ当たりに変わっていたのかもしれません。親の余裕のなさが、子どもからスマホを奪おうとする行動に繋がる——同じ境遇のお母さんには、まず自分自身を責めすぎないでほしいと伝えたいです。
- スマホを取り上げた瞬間、息子は家を飛び出して3日間帰らなかった(警察保護→児童施設)
- 不登校の子にとってスマホは友達との唯一のつながり。物理的な取り上げは社会との切断と同じ
- ロックボックス・使用時間制限・LINE監視——管理で止めるのは限界があった
- 「罰」としてのスマホ取り上げは親子関係を壊す。代替となる「選択肢」を示すべきだった
- 最終的に通信講座に切り替えて、スマホ以外の選択肢が生まれてから関係が改善


コメント