「反抗期、いつ終わるんだろう……」
毎日のように浴びせられる暴言。部屋のドアが閉まる音。話しかけても返ってくるのは舌打ちだけ。あの頃の私は、出口の見えないトンネルの中にいるような気持ちでした。
小学6年生まで「ママ長生きしてね」と手を繋いできた息子が、中学に入った途端に別人のように変わってしまった。あの甘えん坊の息子は、もう二度と戻ってこないんじゃないか——そんな恐怖が、2年間ずっと胸の奥にありました。
結論から言うと、我が家の場合、反抗期は約1年半で終わりました。中学1年生で始まり、中学2年生の冬には一緒に買い物に行けるまで回復したのです。
この記事では、息子の反抗期がいつ始まり、どんなことが起こり、どうやって終わっていったのか——2年間の全記録をお伝えします。今まさに反抗期のお子さんに苦しんでいる方に、少しでも「うちだけじゃないんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。
ある日突然始まった息子の反抗期
小6まで「ママ長生きしてね」と手を繋いできた子だった
息子は一人っ子で、小学6年生までは本当に甘えん坊でした。
私が仕事で自分の部屋にこもっていると、「ママに会いたい」という理由だけでコーヒーを淹れて持ってきてくれるんです。それも1日に何回も。正直、コーヒーはもう十分なんだけど……と思いつつも、その気持ちが嬉しくて毎回「ありがとう」と受け取っていました。
夜、一緒の布団で寝るときには手を繋いできて、「ママ長生きしてね」と言ってくれる。母親の下着をわざとドアノブにぶら下げて、私が気づくのを見てゲラゲラ笑うような、本当に無邪気で、人懐っこい子でした。
だからこそ、中学に入ってからの変化が信じられなかったのです。
中学に入って別人のように変わった
私立中学に入学してしばらく経った頃から、息子の態度が急激に変わり始めました。
最初は「一緒の電車に乗りたくない」「離れて歩いて」という小さなものでした。まあ思春期だし、このくらいは普通かな——と思っていたんです。
でも、それはほんの序章に過ぎませんでした。
「声が大きくて恥ずかしい」「毎朝起こしてくるのがウザい」。日を追うごとに言葉はどんどんきつくなっていき、ある日、部屋に入った私に「勝手に入るな!」と怒鳴ったあの瞬間は、今でも忘れられません。
あの甘えん坊だった息子が、こんな言葉を発するなんて。頭では「反抗期だ」と分かっていても、心がついていきませんでした。
反抗期の息子がとった具体的な行動
暴言が日常になった
反抗期が本格化すると、暴言は日常になりました。
勉強のことを少しでも口にすると、「人にばかり指示するけど、自分はちゃんとした母親ができているのか」と返されるようになりました。
この言葉は本当に胸に刺さりました。シングルマザーとして必死にやってきた自負がある分、息子にそう言われると、自分の子育てのすべてを否定されたような気持ちになったのです。
ご飯も部屋で一人で食べるようになり、リビングで顔を合わせること自体がほぼなくなりました。悪戯をしてはゲラゲラ笑っていたあの笑顔は完全に消え、代わりに鋭い目つきで何かあるたびににらみつけてくる。正直に言うと、母親なのに息子のことを「怖い」と感じてしまったこともありました。
部屋のドアを物で封鎖する日々
息子は自分の部屋のドアを、部屋中の物を使って封鎖するようになりました。
私が無理やり入ろうとすると、力づくでドアを押し返してきます。その勢いで指を挟んでしまい、「痛い!」と声を上げることが何度もありました。でも息子は気にする様子もなく、ただ「入ってくるな」と繰り返すだけ。
あの小さかった手が、こんなに力強くなっていたんだ——痛みよりも、その事実に胸が苦しくなりました。
壁を殴り、家出をした
思い通りにいかないことがあると、壁を殴りつけるようになりました。壁に残った跡を見るたびに、息子がどれだけ苦しんでいるのかと思う反面、この状況がいつまで続くのかという不安で押しつぶされそうでした。
そしてある日、息子は家出をしました。
学校の先生が生徒に聞いて居場所を突き止めてくれましたが、「至急捜索願いを出してください」と言われ、警察署に駆け込みました。警察が息子を見つけてくれましたが、「また家出する恐れがある」と児童保護施設に保護されました。家庭のヒアリングが終わるまで返せないと言われ、面会すら許されない。私は施設の前まで行って、ただ泣いていました。中に息子がいるのに会えない。あの3日間は、人生で一番長い3日間だったかもしれません。
後になって、息子がLINEで友達に「母親も父親も大嫌い」という趣旨のメッセージを送っていたことを知りました。その文字を見たとき、涙が止まりませんでした。
それでも外では優しい子だった
不思議なことに、反抗期の息子は家の中でだけ荒れていました。
外に出れば友人にはとても優しく、電話で楽しそうに笑って話している声が部屋から聞こえてくることもありました。友達に暴言を吐いたり、外で問題を起こすようなことは一度もなかったのです。
それを知ったとき、少しだけ安心しました。根っこの部分は変わっていない。この子の優しさは消えていないんだ、と。
だから私は、「私さえ耐えれば、あとは時間が解決してくれるかもしれない」と思うようにしました。根拠のない希望だったかもしれません。でも、あの頃の私にはそれしかなかったのです。
私がやめたこと、始めたこと
勉強・スマホ・生活への口出しを全部やめた
息子が通っていた私立中学では、学校から「勉強させるように」「スマホは解約した方がいい」と指導を受けていました。私は学校に従わなければ、と必死になって、息子に勉強やスマホの使い方についてガミガミ言い続けていたのです。
でも、公立中学に転校したのをきっかけに、勉強のこと、スマホのこと、生活態度のこと——すべての口出しをやめました。
正直、怖かったです。このまま何も言わなかったら、息子はどんどん堕落していくんじゃないかと。でも、ガミガミ言い続けた結果が今の状況なのだとしたら、もう同じやり方を続ける意味はない。そう腹をくくりました。
趣味の話だけ声をかけるようにした
口出しをやめた代わりに、息子の趣味にだけ声をかけるようにしました。
息子はギター・料理・筋トレに興味を持っていたので、「そのギターかっこいいね」「今どんな料理作ってるの?すごいの作るね」と、否定も指示もしない、ただ「関心を持っている」ことだけを伝える声かけを意識しました。
最初は無視されることも多かったです。でも続けているうちに、少しずつ返事が返ってくるようになりました。「別に」「普通」だった返事が、だんだんと具体的な言葉に変わっていった時の嬉しさは、今思い出しても胸が熱くなります。
少しずつ戻ってきた息子の笑顔
「この料理作ったけど食べてみて」
公立中学に転校して口出しをやめた生活が始まり、2年生の2学期あたりから、息子の様子が少しずつ変わり始めました。
突発的にキレることがなくなり、怒鳴り声が聞こえない日が増えていきました。劇的な変化ではなく、本当に少しずつ、少しずつ。
そしてある日、息子が私の部屋にやってきて言ったのです。
「ねえ、この料理作ったけど食べてみて」
あのドアを封鎖していた息子が、自分から私の部屋に来てくれた。その事実だけで、涙が出そうでした。もちろん味なんて関係ない。「おいしい、すごいね」と言いながら、泣くのを必死にこらえていました。
そこからは「筋トレしたいから○○買ってくれない?」「ニキビってどうやったら治るの?」など、息子の方から話しかけてくれることが増えていきました。時々冗談を言って笑わせてくれることも。あの笑顔が戻ってきたんだと思うと、本当に嬉しかった。
「2年で終わったなんて早いでしょ?」
中学2年生の冬のことです。
息子が何気ない顔で、こう言いました。
「2年で反抗期終わったなんて早いでしょ? 俺って親孝行じゃない?」
笑いながら言うその顔を見て、ああ、終わったんだ——と心の底から安堵しました。実際には1年半ほどでしたが、息子にとっては長い2年に感じたのかもしれません。
一時は「一生このままなんじゃないか」「いつまでこんな態度を取られるんだろう」と不安で不安で眠れない夜もありました。でも、息子は帰ってきてくれた。あの優しくて、ちょっと生意気で、でも根は素直な息子が。
そこからは一緒に買い物に行ったり、ご飯を食べに行ったりできるまで関係が回復しました。
反抗期はいつまで? 私の体感で伝えたいこと
「反抗期はいつ終わるの?」——これは当時の私が一番知りたかったことです。
息子の場合は、中学1年生で始まり、中学2年生の冬に落ち着きました。約1年半です。
ただし、これはあくまで我が家の場合です。反抗期の長さや激しさは、お子さんの性格や家庭環境によって大きく異なると思います。1年で終わる子もいれば、高校生まで続く子もいるでしょう。
それでも、私の経験から伝えたいことがあります。
- 口出しを減らしたら、息子の態度が変わり始めた——勉強しろ、スマホを見るな、と言えば言うほど反発は強くなりました。やめた途端に、少しずつ穏やかになっていったのです。
- 趣味をきっかけに会話が戻った——勉強の話ではなく、息子が好きなことの話をするだけで、心の距離が縮まりました。
- 外で問題を起こしていないなら、根っこは大丈夫——家の中だけで荒れているなら、それは「安心できる場所で甘えている」証拠なのかもしれません。
反抗期は、子どもが大人になるための通過儀礼のようなものだと、今は思えます。渦中にいるときは本当に辛いけれど、「いつか終わる」と信じて待つことが、私にできた唯一のことでした。
今、反抗期のお子さんに苦しんでいる方へ
この記事を読んでくださっているということは、今まさにお子さんの反抗期に悩んでいるのかもしれません。
毎日の暴言に傷つき、閉ざされたドアの前で途方に暮れている方もいるでしょう。「私の育て方が悪かったのか」と自分を責めている方もいるかもしれません。
私も全く同じでした。
でも、反抗期は終わります。少なくとも、我が家の場合は終わりました。そして振り返ってみると、あの2年間があったからこそ、私も息子も成長できたのだと思います。
息子の人生は息子が決めるもの。特に自我が強い子は、自分が納得した生き方でないと前に進めない。それは弱さではなく、むしろ立派なこと——そう思えるようになったのは、反抗期を乗り越えたからこそです。
どうか、今は辛くても、お子さんの力を信じてあげてください。そして、ご自身のことも大切にしてください。
一人で抱え込まず、同じ経験をした人の話に触れることで、少しでも気持ちが楽になることを願っています。


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