仕事を辞めれば貧困、続ければ子どもが心配──シンママの終わらない板挟み
シングルマザーにとって、子どもが不登校になるということは、人生の土台が揺らぐような出来事です。
「学校に行けない子どものそばにいてあげたい。でも仕事を辞めたら、明日の生活すら危うい。」
この板挟みは、パートナーがいる家庭とは比べものにならないほど深刻です。相談できる相手もいない。頼れる親族もいない。夜、子どもが寝た後に一人で泣いた夜は数え切れません。
私は40代のシングルマザーです。息子が幼稚園の時に離婚し、以来ずっと一人で育ててきました。難関私立中学に合格した息子が起立性調節障害から不登校になり、最終的には退学。その渦中で、私自身もうつ病を発症しました。
「仕事を辞めて子どもと向き合う」か「仕事を続けて経済的安定を守る」か。私はそのどちらでもない、第三の道を選びました。
息子が不登校になった時の、私のリアルな状況
息子が学校に行けなくなったのは、中学入学からしばらく経った頃でした。朝起きられない。頭痛がする。吐き気がする。最初は「怠けているのでは」と疑った自分を、今でも後悔しています。
病院で起立性調節障害と診断され、さらに検査を重ねるとADHDのグレーゾーンであることもわかりました。
私はその頃、フルタイムに近い形で働いていました。小6の受験期に一度仕事を辞めて貯金を切り崩した経験があったため、経済的な余裕はほとんどゼロ。再び仕事を辞めるという選択肢は、現実的に不可能でした。
そして追い打ちをかけるように、私自身がうつ病を発症しました。朝ベッドから起き上がれない日もある。でも仕事に行かなければ家賃が払えない。息子は部屋にこもっている。何もかもが真っ暗に感じた時期でした。
「仕事を辞めて子どもと向き合う」は美しいけれど
不登校の親御さん向けの情報を調べると、よく目にするのが「まずはお母さんが仕事を辞めて、子どもとゆっくり過ごしましょう」というアドバイスです。
気持ちはわかります。理想としては正しいのかもしれません。でも、シングルマザーには「辞める」という選択肢がそもそも存在しないことが多いのです。
- 住宅ローンや家賃は待ってくれない
- 児童扶養手当だけでは生活できない
- 一度退職すると再就職が困難(特に40代以降)
- 退職=社会保険の喪失、将来の年金にも影響
「仕事を辞めれば子どもと向き合える」と頭ではわかっていても、辞めた先にあるのは貧困です。子どもの不登校に加え、経済的困窮まで重なったら、親子ともに追い詰められるのは目に見えています。
在宅でできる通信教育──私が見つけた「第三の選択肢」
仕事を辞められない。でも子どもの学習を放置するわけにもいかない。そんな中で私がたどり着いたのが、通信教育・オンライン学習という第三の道でした。
息子は私立中学を退学し、公立中学に転校していました。しかし不登校の状態は続いており、学校の授業にはほとんど出席できていませんでした。
「このまま何もしなければ、学力も将来の選択肢もどんどん失われていく。」
そう焦りながらも塾に通わせる余裕はなく、そもそも外出すること自体が息子にはハードルでした。そこで選んだのが、自宅でタブレットやPCを使って学べる通信講座です。
通信講座がシンママ家庭に合っていた理由
- 親が仕事中でも子どもが自分のペースで学習できる
- 塾のように送迎が不要(シンママにとって送迎の負担は大きい)
- 月額数千円〜と、塾に比べて圧倒的に費用が安い
- 不登校の子でも「出席扱い」になる制度を活用できる場合がある
- 体調が悪い日は休み、良い日にまとめて進められる柔軟さ
特に大きかったのは、私が仕事に出ている間も、息子がタブレットで自学できるという点でした。帰宅後に学習履歴を確認し、わからなかった部分だけフォローする。この仕組みのおかげで、仕事と子どもの学習サポートを両立できるようになったのです。
通信講座で息子に起きた変化
最初は1日10分の学習すら難しい状態でした。でも、「今日はこれだけやればいい」という小さな目標を設定できるのが通信講座の良いところです。
少しずつ、本当に少しずつですが、息子は学習習慣を取り戻していきました。
- 最初の1ヶ月:1日10〜15分が限界
- 3ヶ月後:自分から「今日の分やっておいた」と報告してくれるように
- 約半年後:苦手だった数学の基礎が固まり、自信が戻ってきた
何より嬉しかったのは、「勉強って、自分のペースでやると意外と面白い」と息子が言ったことです。学校という環境が合わなかっただけで、学ぶこと自体が嫌いだったわけではなかった。それに気づけたのは、通信教育のおかげでした。
その後、息子は通信講座で基礎学力を取り戻し、高校受験に合格しました。今は高校生として、料理やギター、筋トレなど自分の好きなことを楽しみながら、自分の道を探しています。
不登校の子を持つシンママへ──あなたは一人じゃない
もしあなたが今、「仕事を辞めるべきか、続けるべきか」と悩んでいるなら、伝えたいことがあります。
どちらかを選ばなくていい。第三の道がある。
通信教育やオンライン学習は、シングルマザー家庭にとって本当に心強い味方です。完璧じゃなくていい。毎日じゃなくていい。子どもが「今日はちょっとやってみようかな」と思えた日に、すぐに学べる環境があること。それだけで十分です。
私自身、うつ病を抱えながら、何度も「もうダメだ」と思いました。でも振り返ってみれば、あの苦しい時期があったからこそ、息子も私も「偏差値=幸せではない」ということに気づけたのだと思います。
親族がほぼ全員医師という環境で育った私は、息子にも高い学歴を望んでいました。でも今は、「息子が自分らしく生きられること」が何より大切だと心から思えています。
あなたのお子さんにも、きっとその子に合った学び方があります。焦らず、でも諦めず。一緒に「第三の道」を探していきましょう。
あわせて読みたい
ある日、息子がぽつりと言いました。「普通のママが良かった」。仕事で余裕のない私は、友達のお母さんとは違って見えていたのでしょう。その夜、声を殺して泣きました。離婚しなければ、もっと時間もお金もあったかもしれない。でも離婚は自分が選んだ道。息子に申し訳なくて、ただ泣くしかなかった。
息子が学校に行けた日は世界が明るくなり、休んだ日は寝込むほど落ち込む。出席と欠席に心が丸ごと振り回される一喜一憂の日々が、何ヶ月も続きました。仕事中も「今日は学校に行けただろうか」と気になって集中できない。シンママにとって、この精神的消耗は仕事にも直結する深刻な問題でした。
次第に私は外に出るのが怖くなりました。笑いながら通学する生徒たちを見ると胸がぎゅっと締めつけられ、退学を迫った学校の制服を着た子を見かけると動悸と冷や汗が止まらなかった。「なんでうちの子だけ…」——その思考が頭から離れませんでした。
市の相談窓口に行った日のことは忘れられません。相談員の方が「お母さん、ひとりでよく頑張ってきたんですね」と言ってくれた瞬間、堰を切ったように涙があふれました。夫がいれば愚痴も言えたかもしれない。でも高齢の両親に心配をかけたくなくて、ずっとひとりで抱え込んでいた。人に話した瞬間に、我慢していたものが全部溢れ出しました。
学校行事は夫婦で来る家庭ばかり。ひとりでぽつんと座る孤独感は想像以上でした。体育祭に行かなかったことがあります。後で友人から「息子くん、応援団やっててかっこよかったよ」と聞いて、後悔で胸が潰れそうでした。あの姿を見られるのは、あと数回しかなかったのに。


コメント