不登校のお子さんの進路を考える時、多くの親御さんが悩むのが「通信制高校と全日制高校、どちらがいいのか」という問題です。
我が家も散々悩みました。この記事では、両方を検討した経験をもとに、それぞれのメリット・デメリットと、判断のポイントをお伝えします。
通信制高校とは
通信制高校は、毎日通学する必要がなく、自宅学習+レポート提出+スクーリング(年数回の登校)で卒業できる高校です。
通信制高校のメリット
- 毎日通学しなくていい:起立性調節障害や不登校の子に大きなメリット
- 自分のペースで学べる:体調に合わせたスケジュールが可能
- 入学のハードルが低い:学力試験がない、または面接のみの学校が多い
- 多様な生徒がいる:不登校経験者が多く、居場所を見つけやすい
- サポート校を併用できる:学習支援や進路相談が受けられる
通信制高校のデメリット
- 自己管理が必要:レポート提出の期限管理を自分でする必要がある
- 友達ができにくい:登校日数が少ないため、学校での交友関係が築きにくい
- 「普通の高校生活」は送りにくい:部活動・文化祭・体育祭などの学校行事は限定的
- 社会的な偏見がある:「通信制」というだけで周囲から偏見を持たれることも
- 大学進学の実績が全日制より少ない傾向:ただし近年は改善傾向
- 費用が高額になる場合がある:高校無償化の対象外になるケースも
実際にSNSでも「通信制で成功するのは、自発的に学べるタイプの子。生活リズムが崩れやすい子は、通信制に行ってもレポートが溜まって厳しくなる」という声を見かけました。通信制=楽という単純な話ではなく、自己管理ができるかどうかが大きな分岐点になるようです。息子の場合も、起立性調節障害で朝起きられない日が続いていたので、通信制にしたとしてもレポート管理が本当にできるのか、正直不安はありました。
費用面で特に驚いたのは、説明会に行ったN高の週3〜5通学コースは年間約100万円が必要だったことです。通信制高校は高校無償化の対象外になることがあり、シングルマザーの我が家にとっては大きな負担。息子がどの方向に進むか分からないのでお金を残しておかなければならず、通学型の通信制は金銭的にも厳しい選択肢でした。
私自身が「普通」にこだわっていた
通信制高校を調べている間、私はずっと心のどこかで「普通じゃない道」に進ませることへの抵抗感を感じていました。実を言えば、私自身も高校時代にまともに学校へ通えず、通信制高校を経て大学に進学しています。自分がその道を歩いてきたのに、息子のことになると「全日制が普通」「通信制は特殊」というイメージから抜け出せなかったのです。
でも今振り返れば、私が息子に押し付けていた「普通」こそが息子を苦しめていたのだと気づきます。「普通はこうなのに!」という私の中の固定観念が大きすぎて、息子の個性を受け入れ、息子らしい生き方を応援するのが遅れてしまいました。
こうした偏見は私の中だけの問題ではありませんでした。あるママ友から聞いた話ですが、通信制高校に通っているお子さんが身分証明のために生徒手帳を見せたところ、「通信制かあ、不登校か!」と言われたそうです。悪気はなかったのかもしれませんが、「通信制=不登校」という決めつけが社会の中にまだ根強いのだと感じました。大切なのは世間体ではなく、子ども自身が安心して学べる環境かどうかだと今は思っています。
全日制高校とは
一般的な高校のこと。平日は毎日通学し、授業を受けます。
全日制高校のメリット
- 「普通の高校生活」を送れる:友達との日常、部活、行事——青春を謳歌できる
- 規則正しい生活リズム:毎日の通学が生活のリズムを作る
- 大学進学に有利:指定校推薦など、全日制ならではの進路がある
- 友達ができやすい:毎日会うからこそ深い関係が築ける
全日制高校のデメリット
- 毎日通学が必要:起立性調節障害がある子には大きなハードル
- 入学試験がある:内申点+学力試験で合否が決まる
- 不登校の経歴が不利になることも:内申点が低い場合、選べる学校が限られる
- 合わなかった時のリスク:再び不登校になる可能性
我が家の場合:息子が全日制を選んだ理由
進路を考え始めた頃、私自身が精神的にとても不安定でした。息子の制服をしまった押し入れは半年以上開けられないまま。あの部屋は息子にとっても私にとっても、触れてはいけない場所になっていました。——でも今、同じ部屋には株の本とギターのチューナーが並んでいます。あの頃は想像もできなかった光景です。「なんで息子が…」「普通に学校に行ってほしいだけなのに」——そんな思考が頭から離れなかった日々がありました。今思えば「普通」を息子に押し付けることが間違いで、息子らしく生きることを応援すべきだったと猛烈に反省しています。
私は正直、通信制高校の方が安全だと思っていました。毎日通わなくていいし、起立性調節障害との両立もしやすい。
でも、今思えばそれは「息子のため」だけではありませんでした。
毎朝、機嫌が悪くしんどそうな息子を起こすのが、私自身つらかったのです。「通信制なら、あの朝の苦しみから解放される」——恥ずかしい話ですが、そんな風に自分に都合よく考えてしまうほど、私は追い詰められていました。
シングルマザーとして働きづめの日々の中で、息子から一番刺さった言葉を言われた夜は、親子関係を見つめ直す大きな転機になりました。
それだけではありません。全日制に通い始めて、もし欠席が続いたら? また留年、退学になったら? 私立中学校で経験した友達との別れを、もう一度味わわせることになるかもしれない。そしてまた落ち込む息子の姿を見ることになる——そう思うと怖くて、通信制という「安全な道」に逃げたくなっていたのです。
でも息子は「全日制に行きたい」と言いました。
理由は、「前の学校で仲の良かった友達みたいな関係を、もう一度作りたい」から。
私立中学校を退学した時、友達一人一人に丁寧にお別れのメッセージを送っていた息子。あの時失った「友達との日常」を、もう一度手に入れたかったんです。
息子は高校でしっかり再スタートを切ろうと、前を向いて受験勉強に取り組んでいました。それなのに私は、息子の気持ちを隅に置いて、自分が傷つかない道を選ぼうとしていた。結局それは、息子の意思を無視した「親の都合」でしかなかったと、今では深く反省しています。
その気持ちを聞いて、私は全日制高校を目指すことに決めました。
シングルマザーとして感じた学校行事の孤独
全日制か通信制かを考える時、もうひとつ頭をよぎったのは学校行事のことでした。中学の学校説明会や体育祭に行くと、夫婦で来ている家庭ばかり。1人でぽつんとしているのがとても孤独で、学校のイベントが憂鬱でした。
息子が「来なくていい」と言ったので体育祭に行かなかったことがあります。思春期の息子は本気で来てほしくなかったそうですが、後日友人から「息子くん応援団やっててかっこよかったよ」と報告を受けた時、息子のそんな姿を見られるのはあと数回しかないのに行けばよかったと激しく後悔しました。全日制を選ぶなら、親自身もこうした場面を乗り越える覚悟がいる——それも判断材料のひとつだと思います。
私の場合——通信制か全日制か、夜中にネットで調べまくっていた時期がありました。N高の説明会にも行ったし、全日制の見学も何校か回った。でも最終的に決めたのは息子本人でした。「友達と過ごしたい」——その一言が全てだった。
判断のポイント:5つのチェックリスト
通信制と全日制、どちらが合うかは子どもによって異なります。以下のチェックリストを参考にしてください。
| チェック項目 | 通信制が向いている | 全日制が向いている |
|---|---|---|
| 体調面 | 毎日の通学が難しい | 週5日通える見込みがある |
| 人間関係 | 人と関わるのが苦手 | 友達が欲しい |
| 学習意欲 | 自分のペースでやりたい | 授業を受けて学びたい |
| 将来の希望 | まだ見えていない | 大学進学を考えている |
| 子ども自身の希望 | 「無理はしたくない」 | 「普通の高校に行きたい」 |
「どちらでも大丈夫」という安心感を持ってほしい
大切なのは、通信制も全日制も、どちらも「正解」であるということです。
通信制を選んだから負けではないし、全日制を選んだからリスクが高いわけでもない。
そもそも、通信制高校を選ぶ理由は不登校だけではありません。SNSで見かけた声の中には、「うちの子はスポーツに本気で取り組みたいから通信制を選んだ」「音楽活動に時間を使いたいから、あえて通信制にした」というものもありました。不登校=通信制という固定イメージ自体が、もう古いのかもしれません。通信制を選ぶ理由は一人ひとり違っていて、それぞれに前向きな選択があるのだと知って、私自身も少し気持ちが楽になりました。
大学進学についても、通信制だからといって道が閉ざされるわけではありません。ママ友の一人が「知り合いのお子さんが通信制高校から関関同立に合格した」と教えてくれましたし、SNSでも通信制からGMARCHに進学したという報告を見かけました。通信制は自由な時間が多い分、受験勉強に集中しやすいという利点もあるようです。「通信制だと大学に行けないのでは」と不安に思っている親御さんには、こうした実例が少しでも安心材料になればと思います。
お子さんの気持ちと体調を最優先に、「今のこの子に合っている方」を選んであげてください。
我が家の息子は全日制を選び、今は毎日楽しく通っています。もし通信制を選んでいたとしても、きっと違う形で幸せを見つけていたと思います。
全日制を目指すなら、準備は通信講座で
もし全日制高校を目指すなら、入学試験対策が必要です。不登校で勉強が止まっている場合は、通信講座で基礎から復習するのが最も効率的です。
我が家の息子は、家庭学習で約1年間勉強して全日制高校に合格しました。
約1年で合格するまでの具体的な方法はこちらをご覧ください。
全日制を目指す準備におすすめの通信講座
不登校の中学生におすすめの通信講座5選はこちらです。
みっこの本音——どっちを選んでも大丈夫
通信制か全日制かで悩んでいる方に言いたいのは、「どっちを選んでも大丈夫」ということ。うちは全日制を選んだけど、N高の説明会で見た生徒さんたちの顔も明るかった。正解は子どもの中にあります。親は選択肢を並べて、あとは子どもに委ねる。それが一番しんどいけど、一番安心な方法だったなぁと思います。
ADHDの子の高校選び──管理型の学校が合わないケースも
高校選びで見落としがちなのが、「学校の管理体制と子どもの特性の相性」です。息子はADHD不注意型のグレーゾーンで、時間割どおりに動くことや、細かいルールを守ること自体がストレスになるタイプでした。
全日制の中でも校則が厳しい学校は、ADHDの特性がある子にとっては息苦しくなりがちです。遅刻や忘れ物が重なって叱責が続くと、学校に行くこと自体が嫌になってしまう可能性があります。
一方で通信制高校は、自分のリズムで学習を進められる点がADHDの子に合いやすいと感じます。
- 登校日数が少なく、毎日の通学ストレスが軽減される
- 課題の提出期限に幅があり、過集中のタイミングで一気に取り組める
- 少人数指導やオンライン対応で、個別のペースに合わせてもらいやすい
学歴重視の家庭で育った私には、正直「通信制高校」という選択肢は最初まったくありませんでした。しかし息子の不登校を経て、学校の形よりも「子どもが通い続けられるかどうか」のほうがはるかに大切だと考えるようになりました。ADHDの特性がある子の進路選びでは、偏差値だけでなく「その学校の管理体制が子どもに合うか」を必ず確認することをおすすめします。
- 通信制高校とは
- 全日制高校とは
- 我が家の場合:息子が全日制を選んだ理由
- シングルマザーとして感じた学校行事の孤独
- 判断のポイント:5つのチェックリスト


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