一人っ子の不登校・反抗期|3人兄弟育ちの私が「兄弟が欲しい」と言った息子と向き合った話

記事ID:2560 一人っ子の不登校・反抗期「兄弟が欲しい」の一言 アイキャッチ(caseE版) 不登校の悩みと向き合い方

ある日、小学生の息子がぽつりと「兄弟が欲しい」と言いました。

たった一言。でも私にとっては、ずっと心に引っかかり続けた言葉でした。私自身は3人兄弟で育って、にぎやかな食卓や取っ組み合いの喧嘩の中で大人になりました。だから、息子が一人っ子でいることを、ずっとどこかで申し訳なく思っていたんです。

この記事では、3人兄弟で育った私が、一人っ子の息子と向き合ってきた日々について正直に書きます。シングルマザー×一人っ子というちょっと珍しい組み合わせの家庭で、不登校や反抗期をどう乗り越えてきたのか。同じ境遇のお母さんに、少しでも「1人じゃないよ」と伝わったら嬉しいです。

みっこのアイコン
みっこ3人兄弟で育った私が一人っ子の息子と向き合ってきた日々。この角度で書いた記事は少ないから、同じ境遇の方に届くといいな。

息子が「兄弟が欲しい」と言った日

あれはたしか、息子が小学3年生から4年生になる頃だったと思います。中学受験の塾に通い始める前、夜ご飯を食べていた時でした。

「ママ、兄弟が欲しい。受験頑張るから」

箸を止めて、顔も上げずに、息子はそう言いました。まるで「受験を頑張る」と引き換えに差し出せる条件のように。子どもなりに、きっと何度も考えた末の一言だったのだと思います。

私は動揺して、何と答えたか今でも覚えていません。「うん」とも「無理だよ」とも言えなかった。ただ、お味噌汁の湯気だけが妙にはっきり見えていました。

私が息子の兄弟を作ってあげられなかった背景には、色々な事情があります。詳しいことは気になる方もいらっしゃると思うので、いずれ別の記事にまとめる予定です。ここでは深く書かずに進めますが、ただ一つだけ言えるのは、私だって本当は、兄弟を作ってあげたかったということ。作れなかったのは、努力が足りなかったからではなく、どうにもならなかったからなんです。

あの夜から何日も、息子の「兄弟が欲しい」という言葉が頭を離れませんでした。

3人兄弟で育った私が抱えていた罪悪感

私自身は、3人兄弟の真ん中で育ちました。兄と弟がいる、にぎやかな家庭。小さい頃は3人で取っ組み合いの喧嘩をして、親に一緒に怒られて、夜には何事もなかったように同じテレビを見て笑っていました。

大人になった今でも、兄と弟には何でも話せます。父が病気になった時も、真っ先に電話したのは兄でした。「今ちょっと聞いてほしい」と気軽に話せる相手がいることが、どれだけ心の支えになるか。一人っ子の方には伝わりにくいかもしれませんが、兄弟というのは、親が亡くなった後も一緒に家族の記憶を持ち続けてくれる唯一の存在なんです。

でも息子には、それがない。

兄の家族は3人兄弟で、たまに家に遊びに来てくれるんです。子ども同士でじゃれ合って、ケンカして、でもお菓子を分け合っている姿を見ると、正直に言うと、うらやましくて胸がチクッとします。「うちの息子にも、こんな時間があったらよかったのに」と。

息子は小さい時から、家の中に遊び相手がいませんでした。私が仕事で忙しい時、1人でブロックを組んで遊んでいる背中を見るたびに、「兄弟がいれば…」と心の中でつぶやいていました。

息子が大人になった時、私はもういません。その時、今の私が兄や弟に話しているような「ちょっと聞いてよ」を、息子は誰にするのだろう。息子は、一生1人なんだ。——そう考えるたびに、胸の奥がぎゅっと痛みます。

「一人っ子でごめんね」。口に出して言ったことはないけれど、心の中では何度そう言ったか分かりません。

一人っ子の親がぶつかりやすい3つの壁

私が息子を育てていて後から気づいたのですが、一人っ子の親は、兄弟がいる家庭の親とは違う壁にぶつかりやすい気がします。一般的に言われていることと、私自身が失敗した実例を、分けて書きますね。

① 過干渉になりやすい

【一般論】一人っ子の親は、子どもとの距離が物理的にも心理的にも近くなりがちです。兄弟がいれば親の意識が分散しますが、一人っ子だと子どもの一挙一動に目が届きすぎる。その結果、「良かれと思って」手や口を出しすぎてしまうことが多いと言われています。

【私の失敗】私はまさにこの落とし穴に落ちました。息子が中学受験の時も、中学に上がってからも、スマホの使用時間、LINEの内容、提出物、スケジュール——全部管理しようとしたんです。

3人兄弟の家だったら、親は3人分の行動や気持ちを考えなきゃいけない。でも私の頭の中は、息子1人のことでいっぱいになっていました。他に気を配る対象がないから、全部の注意が息子1人に向かう。それが「愛情」だと思っていたけれど、息子から見れば「監視」でしかなかった。

思い返せば、兄弟が3人いる兄の家ではよく「まあ、ほっといたらいいよ」が飛んでいました。物理的に全員を完璧に見きれないから、諦めの境地が自然に身につく。私にはその「諦め」がなかったんです。

② 期待が1人に集中する

【一般論】兄弟が複数いれば、「上の子は勉強、下の子はスポーツ」のように、親の期待を分散できます。でも一人っ子の場合、親のすべての期待が1人に降りかかります。

【私の失敗】私は親族のほとんどが医師という環境で育ったので、「息子を医者にすれば安泰だ」と無意識に思い込んでいました。もし兄弟が2人いれば、「1人は医者、もう1人は好きな道を」と自然に分散できたかもしれない。でも息子1人に、私の親族の期待と、私自身の「離婚した後悔を取り戻したい」という焦りが、全部乗っかっていたんです。

息子がどれだけ重かったか、今ならわかります。でも当時の私は、「この子のために」と本気で思っていました。

③ 比較対象がなくて迷走しやすい

【一般論】兄弟がいれば「お兄ちゃんの時はこうだった」「次男はこのタイプ」と、親自身の経験値で比較ができます。でも一人っ子は比較する対象がないので、何が「普通」なのか分からず、育児書やネットの情報に頼りがちになります。

【私の失敗】息子が不登校になった時、私は毎晩ネットで「不登校 中学生 原因」「不登校 対応」と検索を繰り返していました。情報は無限にあるのに、「うちの子に当てはまる答え」はどこにも書いていない。兄の家のようにもう1人いれば「この子はこうだったから息子もそのうち…」と腰を据えて待てたかもしれない。比較できない焦りが、私の過干渉をさらに加速させました。

反抗期で息子がぶつける相手は「母しかいない」という現実

反抗期が始まった時、一人っ子のつらさをもう一度痛感しました。

息子の怒鳴り声、壁を殴る音、ドアを蹴る音——そのすべてが、私1人に向かってきました。

兄弟がいれば、喧嘩の相手が分散します。兄が下の子と取っ組み合って発散することもあれば、末っ子が兄に相談することもある。親に全エネルギーを向けなくても、家の中で気持ちが流れていく場所があるんです。

でも一人っ子×シングルマザーの家では、ぶつける相手が文字通り母しかいない。私にも息子にも、逃げ場がなかったんです。

息子が「いなくなれば?」と吐き捨てた時、

「誰のせいでこうなったと思う?」

と叫んだ時、私が受け止めるしかなかった。分かち合う人がいないから、息子の言葉1つ1つが、まっすぐ心に刺さりました。

こっちも感情の持って行き場がなくて、息子にそのまま返してしまう。怒鳴り合いが毎日、何時間も続きました。今から思えば、あれは息子が悪いのでも私が悪いのでもなく、2人だけの家に感情が溜まりすぎていたのだと思います。

不登校で強まった「同じ立場に相談できない」孤独

不登校になってから、もう一つ気づいたことがあります。

不登校の子を持つ親は孤独です。でも「一人っ子×シングルマザー×不登校」となると、その孤独はさらに深くなりました。

ママ友に相談しようとしても、ほとんどの家庭は兄弟がいるので、「上の子はこうだったから下の子も大丈夫」という経験値で話が進んでいく。「うちも一時期不登校だったけど、下の子につられて…」と言われても、うちには「下の子」がいません。

ネットで「不登校 体験談」と調べても、「上の子が不登校、下の子は元気に登校しています」という記事が多い。それで救われる人もいるけれど、私の場合は「この1人がダメなら、私の子育ては丸ごと失敗」と感じてしまっていました。

シングルマザーの親、不登校の親、一人っ子の親——Xで色んな立場の声を探しても、3つ全部が重なる人はなかなか見つかりませんでした。

息子の寂しさを埋めてくれた3つの存在

それでも、息子の子ども時代を「寂しいだけ」にしたくありませんでした。幸い、息子の周りには支えてくれる存在がいてくれたんです。

愛犬

息子が小学4年生の時、我が家に愛犬を迎えました。息子が「兄弟が欲しい」と言った後、私がずっと悩んで悩んで、結局ペットショップで出会った子を連れて帰ったんです。

お会計をしている間、息子はケースに入ったその子をじっと見つめていました。目が本当にキラキラしていて——あんな目の息子を見たのは、あの日が初めてだったかもしれません。その表情が今も忘れられなくて、「連れて帰ってよかった」と思える一番の理由になっています。

帰りの車の中で、小学4年生の息子が愛犬を抱きしめながら「この子は僕が守る」と言ったのを、今でも覚えています。兄弟にはなれなかったけれど、あの時から愛犬は息子にとって、家の中で自分より小さい存在=弟のような存在になりました。

反抗期で私と口もきかなかった時期も、息子は愛犬にはずっと優しかった。私がそっと見ていると、息子の部屋で愛犬にひそかに笑いかけて、背中を撫でている姿がありました。その時間が、息子の心を守っていたのだと思います。

この記事を書いている今日も、息子が愛犬と靴下の引っ張り合いっこをして、けらけら笑っている声がリビングから聞こえてきます。もう高校生になった息子が、愛犬の前では小さい子みたいに笑う。その姿を見られるだけで、あの日連れて帰ってきて本当によかったと思えます。

地元の友達

公立中学校に転校してから、地元の友達が支えになりました。幼稚園から小学校まで9年間一緒だった仲間です。息子が不登校になっても、誰一人として息子を見捨てませんでした。

2学期に少しずつ学校に行けるようになった時、友達は毎朝チャイムを鳴らして迎えに来てくれました。「お前、遅いぞー」と笑いながら。兄弟がいなくても、兄弟のように近い存在がいてくれたのは、本当にありがたかったです。

オンラインゲームの仲間

学校に行けない日々、息子の生活を支えてくれたのはオンラインゲームでした。ただ、知らない誰かとゲームしていたわけではありません。繋がっていたのは、クラスメイトや友達の友達、それからもう何年も会っていない幼稚園時代の友達。顔は合わせられなくても、昔からの仲間と「今夜も来るよな?」とやりとりできる場所が、息子にはありました。

以前の私なら「ゲームばっかり!」と取り上げていたと思います。でもあの時期、ゲームは息子と学校や社会を繋ぐ細い糸でした。一人っ子で兄弟がいない息子にとって、画面の向こうの友達は『家の外にいる兄弟』みたいなものだったんです。

詳しくは不登校でも友達はできる|オンラインゲームが繋いだ人間関係にも書いています。

「一人っ子でごめんね」を、まだ完全には受け入れられずにいる

ここは正直に書きます。

息子が高校生になって落ち着いた今でも、私は「兄弟を作ってあげたかった」という気持ちから完全に降りられたわけではありません。

兄の家の3人兄弟が遊びに来るたびに、にぎやかな玄関を見て「いいなぁ」と思います。「ただいま!」と3つの声が重なる家、夕飯の席で3人分の今日の出来事が話される家。私の家には2人分の食器しかありません。

息子が大人になって、私がいなくなった後。息子は私のように「兄に電話して、ちょっと話聞いてもらおうかな」ができません。息子は一生1人です。小学生の頃、息子自身が「兄弟が欲しい」と言ったあの一言を、私は忘れられません。その言葉がきっかけで、我が家に愛犬を迎えることになりました。

ただ、一人っ子で良かったと思えることもあります。

離婚後のシングルマザー家庭で、兄弟が3人いたら、1人あたりにかけられるお金はぐっと減ります。中学受験の塾代、私立中学の学費、通信講座、趣味のギター。息子1人だったから集中して注ぎ込めたこともたくさんあります。教育費にしても、兄弟がいたら同じ選択はできなかったと思います。

だから——「息子1人だったから、できたことがある」と思おうと努力しています。まだ心から「一人っ子で良かった」と言い切れる日は来ていません。でも、そう思えるように、日々言い聞かせているところです。

シングルマザー×一人っ子は、お互い寂しい。息子も私も、どこかで「もう1人いれば」という気持ちを抱えて生きています。

それでも、2人きりで乗り越えてきた日々があるから、きっと大人になった時には深い絆になる。そう信じたい。私たちの家族のかたちはこれで良かったのだと、息子が自分で言える日が来たら、その時は私もやっと心から降りられる気がします。

同じ境遇のお母さんへ

もし今、一人っ子のお子さんを育てている方で、「兄弟を作ってあげられなかった」と自分を責めている方がいたら、伝えたいことがあります。

一人っ子であることは、決して不幸ではありません。そして、兄弟を作ってあげられなかった親が悪いわけでもありません。家族のかたちは、それぞれに事情があって、今のかたちになっているんです。

ただ、一人っ子の親が陥りやすい「過干渉」「期待集中」「比較できない焦り」の3つの壁は、知っておくだけで違うと思います。私はこの3つで息子を追い詰めてしまったけれど、同じ失敗をしないでほしい。

そして、お子さんが「兄弟が欲しい」と言った時、動揺してしまう自分を責めないでください。その気持ちは、お子さんを大切に思う気持ちの裏返しです。

息子が不登校から抜け出す大きなきっかけの1つが、通信講座との出会いでした。親が「勉強しろ」と口出ししなくていい学習方法があるのは、一人っ子の親子が距離を取り直すうえでもありがたかったです。同じように悩んでいる方は、不登校の中学生におすすめの通信講座5選も参考にしてみてください。

この記事のポイント
  • 3人兄弟で育った私が一人っ子の息子と向き合う——一人っ子×シンママ特有の壁を記録
  • ①過干渉 ②期待が1人に集中 ③比較対象なし迷走 の3つに我が家も直撃
  • 反抗期はぶつける相手が文字通り母1人。逃げ場のない家で感情が溜まる
  • 不登校相談も「一人っ子×シンママ」の孤独が重なって、同じ立場の仲間が見つかりづらい
  • 愛犬を迎えたことで家の空気が動き、息子の「守る対象」が生まれた
「兄弟を作ってあげられなかった」と自分を責めないで。一人っ子にも一人っ子の幸せがあります。


不登校の悩みと向き合い方
みっこをフォローする
みっこ
この記事を書いた人

シングルマザーとして、不登校・起立性調節障害・ADHDの息子と歩んできました。中3の4月に始めた通信講座(進研ゼミ)をきっかけに、約1年後に高校合格。同じように悩んでいる親御さんに「あなただけじゃないよ」と伝えたくてこのサイトを作りました。

プロフィールを見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました