起立性調節障害で学校に行けない。でも勉強の遅れが心配——。
そんな悩みを抱えていませんか?
我が家の息子も起立性調節障害で不登校になり、勉強が大幅に遅れました。塾に通わせようとしましたが、決まった時間に外出すること自体がハードルで断念。
外出が難しかったのは、体調だけが理由ではありません。退学した学校の制服を着た生徒を見ると、息子は動悸が止まらなくなりました。笑いながら通学する子どもたちを見るだけで胸が締めつけられる——「外の世界」そのものが、息子にとっては恐怖の対象になっていたのです。
でも、試行錯誤の末に見つけた方法で、息子は塾なしで勉強を続け、高校受験にも合格しました。
この記事では、起立性調節障害の中学生が無理なく勉強を続けるための具体的な方法をお伝えします。
起立性調節障害の子が勉強できない本当の理由
まず理解してほしいのは、起立性調節障害の子は「勉強したくない」のではなく「勉強できる状態じゃない」ということです。
午前中は脳が働かない
起立性調節障害は自律神経の問題で、午前中は血圧が上がらず、脳に十分な血液が行き渡りません。
つまり、頑張って起きても、頭がぼんやりして集中できない。教科書を開いても文字が頭に入ってこない。これは本人の努力不足ではなく、体の問題です。
息子も、なんとか登校できるようになった時期がありました。でも面談で先生から言われたのは、「午前中はずっと机に突っ伏しています」という言葉でした。診断書を出していたから叱られることはなかったけれど、教室にいるのに授業が頭に入っていない——その事実が、私の胸をじわじわと締めつけました。
起きているだけで精一杯の午前中。周りの子が当たり前のようにノートを取っている横で、息子だけが目を閉じている。「この時間、他の子たちはどんどん先に進んでいるのに」。そう思うと、焦りで息が詰まりそうでした。
「みんなと同じ」ができないストレス
クラスメイトは毎日学校で授業を受けている。自分だけ家にいる。その焦りと劣等感が、勉強へのモチベーションをさらに下げてしまう悪循環に陥ります。
息子も「どうせ追いつけない」「もう無理」と何度も言っていました。
小学校の頃、息子の成績はトップクラスでした。ママ友から「うちの子に算数を教えてあげてくれない?」と頼まれるほど、周りからも「頭のいい子」と認識されていたのです。
それが今、得意だったはずの数学で平均点にすら届かない。英語にいたっては中1の最初からほぼ手つかずで、テストは一桁台。あの頃の息子を知っている人たちの前で、「実はうち、平均点も取れないの」とは口が裂けても言えませんでした。
友達のお母さんに「うちの塾においでよ」と誘われるたびに、入塾テストで落ちたことを隠して「うちはのんびりいこうと思ってるの」と笑顔を作るのが精一杯。子どもの学力が落ちていく恐怖を、誰にも打ち明けられない孤独——それは想像以上に重たいものでした。
そんな余裕のない日々の中で、息子に「普通のママが良かった」と言われた夜がありました。涙が止まらず、その場に泣き崩れました。仕事で帰りが遅く、イライラを隠せない私は、友達のお母さんとは違って見えていたのだろうと思います。あの一言は今でも胸に刺さっています。でも、だからこそ「この子に合った学び方を見つけてあげたい」という覚悟が固まった瞬間でもありました。
起立性調節障害の中学生に合った勉強法の3つの条件
試行錯誤の結果、我が家がたどり着いた「起立性調節障害の子に合う勉強法」の条件はこの3つでした。
条件1:時間を選ばない
起立性調節障害の子は、午後〜夜に体調が回復するパターンが多いです。
「朝9時から勉強」「決まった時間に塾」ではなく、体調が良いタイミングで取り組めることが絶対条件です。
息子の場合、16時〜20時が一番集中できる時間帯でした。
ただ、午後にならないと頭が動かないという現実は、親にとっては想像以上に焦るものです。午前中ベッドから動けない息子を横目に、「みんなは今、学校で4時間目の授業を受けている」——そう思うだけで、胸がざわつく毎日でした。午後からしか勉強できないということは、使える時間が他の子の半分以下。この差がどんどん開いていく恐怖は、体験した人にしかわかりません。
条件2:短時間で完結する
体調が良い時間帯でも、長時間の集中は難しいです。
特に我が家のケースでは、息子にADHD(注意欠如型)のグレーゾーンという特性もありました。起立性調節障害で脳が覚醒しにくいうえに、ADHDで注意が散りやすい——この二つが重なると、集中できる時間はさらに短くなります。だからこそ、15分で区切れる学習スタイルが生命線でした。
1回15〜30分で1つの単元が完結する学習スタイルが理想的です。「今日はこれだけやった」という小さな達成感が、明日のモチベーションにつながります。
条件3:遡り学習ができる
不登校で数ヶ月〜1年以上のブランクがあると、今の学年の内容がわからないことがほとんどです。
前の学年、場合によっては小学校の内容まで戻って復習できることが重要です。「わからないところに戻れる」というだけで、子どもの不安はかなり軽減されます。
【比較】塾・家庭教師・通信講座、どれがベスト?
起立性調節障害の子に合うかどうか、主な学習方法を比較してみました。
| 塾 | 家庭教師 | 通信講座 | |
|---|---|---|---|
| 時間の自由度 | ×(決まった時間) | △(調整可能だが限界あり) | ◎(いつでもOK) |
| 短時間学習 | ×(1コマ60〜90分) | △(最低60分が多い) | ◎(15分〜) |
| 遡り学習 | △(カリキュラム次第) | ◎(対応可能) | ◎(自由に戻れる) |
| 費用 | 高い(月2〜5万円) | 高い(月2〜4万円) | 安い(月3千〜8千円) |
| 心理的ハードル | 高い(外出・対人) | 中(自宅だが他人が来る) | 低い(完全に自分のペース) |
我が家の結論は通信講座でした。3つの条件を全て満たし、費用面でも無理がありませんでした。
費用面で助かったのは通信講座だけではありません。公立に転校してからは就学援助の制度を利用し、給食費が安くなりました。「それだけでもほっとした」——シングルマザーにとって、月々の数千円の軽減は想像以上に大きいのです。使える制度は遠慮せず使うこと。それも、子どもの学びを守るための大切な一歩です。
正直に言うと、塾には相当な額を注ぎ込みました。月4万円の月謝を払っていたのに、起立性調節障害で生活リズムが乱れた息子は半分近く欠席。夕方になっても起きてこない日、気分が乗らず玄関から動かない日——そのたびに「また今日も休むの?」という言葉を飲み込みました。
2万円分しか通っていない塾に毎月4万円を払い続ける。シングルマザーの私にとって、それはお金だけでなく「この選択は正しいのか」という不安ごと積み上がっていく感覚でした。通信講座に切り替えたとき、金銭的な負担だけでなく、「今日は行けるかな」と毎回胸をざわつかせるストレスからも解放されたのです。
家計の苦しさは、子どもにも伝わっていました。焼肉屋で「ママ、お金大丈夫?」と心配され、靴屋では半額セールの棚しか見ようとしない。母の苦労をこの子はずっと見ていたのです。だからこそ、月数千円で始められる通信講座は、親の懐だけでなく子どもの心の負担も軽くしてくれたと感じています。
我が家の具体的な勉強スケジュール
起立性調節障害がある息子は午前中ほぼ動けなかったため、午後2時スタートの学習スケジュールを組みました。
💡 起立性調節障害の学習スケジュールの詳細
午後から勉強する具体的なタイムスケジュールと5つのルールはこちらの記事で詳しくまとめています。
勉強を続けるために親ができる3つのサポート
1. 「やらなかった日」を責めない
体調が悪い日は勉強できません。それは当然のことです。「今日はできなかったね」ではなく「今日は体調悪かったもんね、ゆっくり休もう」と声をかけてあげてください。
私は長い間、息子が学校に行けた日は気分が晴れやかになり、休んだ日は自分まで寝込んでしまう——そんな一喜一憂の日々を過ごしていました。子どもの体調に自分の感情が完全に支配されてしまうのです。でも、その波を子どもは敏感に感じ取っています。「休むとお母さんが暗くなる」と思わせてしまったら、子どもは体調が悪い日に罪悪感まで背負うことになります。
後になって息子が教えてくれたことがあります。「行けた日は世界が明るく見えた。でも休んだ日は寝込むほど気力を失ってた」。出席できたかどうかに、親だけでなく子ども自身も心を振り回されていたのです。だからこそ、「行けた日」も「行けなかった日」も同じ温度で接することが、親子の両方を楽にしてくれるのだと気づきました。
「やらなかった日」を責めないのは、子どものためだけでなく、親自身の心を守るためでもあると今は思います。
2. 小さな進歩を一緒に喜ぶ
「今日は30分もできたね」「この単元クリアしたんだ、すごいね」——大げさでなくていいので、事実を認める声かけが、子どもの自信につながります。
3. 学習環境だけ整えておく
通信講座の契約、タブレットの充電、Wi-Fiの確認——「やりたいときにすぐ始められる」環境を整えておくのは親の役割です。勉強するかどうかの判断は、子ども本人に任せましょう。
ADHDの「過集中」を味方につける学習スタイル
ADHDには困った面だけでなく、興味のあることに異常なほど集中できる「過集中」という特性もあります。息子の場合、好きな教科やゲーム感覚の教材にハマると、気づけば1時間以上没頭していることがありました。
この過集中と相性が良かったのがタブレット学習です。画面の切り替わりが早く、正解するとすぐフィードバックがある。ゲームに近い操作感が、ADHDの脳を飽きさせない仕組みになっています。紙の問題集では5分で投げ出していた息子が、タブレットだと集中のスイッチが入りやすかったのは大きな発見でした。
起立性調節障害で使える時間が限られ、ADHDで集中の波がある。その両方を抱える子にとって、短時間×タブレット×体調の良い時間帯という組み合わせは、まさに最適解でした。
まとめ:起立性調節障害でも勉強は続けられる
起立性調節障害の中学生が勉強を続けるために大切なのは:
- 体調に合わせた時間帯に勉強する
- 短時間で完結する学習スタイルを選ぶ
- 遡り学習ができる教材を使う
- 親は環境を整え、見守る
「みんなと同じ」である必要はありません。この子に合ったペースとやり方で進めばいい。
かつてトップクラスだった息子が、全教科で最下位近くまで落ちたとき、「もうこの子の未来は閉ざされてしまったのでは」と本気で思いました。午後からしか動けない体、半分休む塾、どこにも居場所がないように見えた日々。でも、通信講座という「息子のペースで学べる場所」を見つけてから、少しずつ光が差し込みました。
息子は起立性調節障害と闘いながら、通信講座で勉強を続け、高校に合格しました。あのとき「塾に行けないからもうダメだ」と諦めなくて本当に良かったと思います。


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