「朝、どうしても起きられない」「頭が痛い、お腹が痛いと言って学校を休む」——そんな日が続いたとき、あなたはどう感じましたか?
私は最初、「怠けているだけじゃないの?」と疑いました。正直に言います。息子の体の異変に気づくまで、かなりの時間がかかりました。
起立性調節障害(OD)と診断されたのは、不登校が始まってから3ヶ月後のことです。
この記事では、起立性調節障害の中学生を持つ親が「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を、私自身の経験をもとにまとめました。同じ状況にいるお母さん・お父さんの参考になれば嬉しいです。
起立性調節障害とは?まず親が正しく理解すること
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation)は、自律神経の機能がうまく働かず、立ち上がったときに血圧や心拍の調整ができない病気です。
主な症状はこんな感じです。
- 朝起きられない(午前中がとくにつらい)
- 立ちくらみ、めまい
- 頭痛、腹痛、吐き気
- 倦怠感が強く、動けない
- 夜になると元気になる(→怠けに見える原因)
中学生の約10%が発症するとも言われており、決して珍しい病気ではありません。思春期に多く、特に真面目で頑張り屋の子に多い傾向があります。
私の息子もまさにそうでした。中学受験を頑張り、合格したものの、入学後に心身のバランスを崩し、起立性調節障害を発症しました。
【実体験】息子が起立性調節障害と診断されるまで
最初の異変は、「朝、声をかけても起きない」ことでした。
それまで目覚まし時計で自分で起きていた息子が、何度起こしても起きない。ようやく起きても「頭が痛い」「気持ち悪い」と言って動けない。
最初は風邪だと思いました。でも、午後になると嘘のように元気になるんです。
「午前中は寝てて、午後は元気にゲーム?ふざけてるの?」
そう思ってしまった自分が、今でも申し訳なくてたまりません。
小児科を受診して、起立試験を受けた結果、起立性調節障害と診断されました。先生から「この子は怠けているんじゃない。体が言うことを聞かないんです」と言われたとき、涙が止まりませんでした。
起立性調節障害の中学生の親が「やるべきこと」5つ
1. まず小児科を受診して正確な診断を受ける
「朝起きられない」が続いたら、まずは小児科で起立試験を受けてください。
起立性調節障害は、血圧や心拍を測る検査で診断できます。「気のせい」「怠け」と決めつける前に、体の問題がないか確認することが最優先です。
私が後悔しているのは、受診が遅れたことです。「もっと早く連れて行っていれば、息子を責めずに済んだのに」と今でも思います。
※ 発達特性の可能性も視野に入れる
起立性調節障害と診断されて安心したのも束の間、息子の場合はそれだけでは説明がつかない行動がありました。集中力が極端に続かない、大事なプリントをなくす、思いつきで行動してしまう——後にADHD(注意欠如型)のグレーゾーンだとわかりました。
起立性調節障害の影に発達特性が隠れているケースは少なくないと、主治医からも言われました。「朝起きられない」だけに目を奪われず、子どもの行動パターン全体を観察することが大切です。もしお子さんに心当たりがあれば、発達外来への相談も検討してみてください。
2. 学校に病名を伝え、配慮をお願いする
診断書をもらったら、担任の先生やスクールカウンセラーに共有しましょう。
起立性調節障害を理解している先生は、遅刻や欠席に対して柔軟に対応してくれます。逆に、知らない先生は「サボり」と見なしてしまうこともあります。
私の場合、学校に診断書を提出してからは、午後からの登校や別室登校など、柔軟な対応をしてもらえるようになりました。
3. 生活リズムを「責めずに」整える
起立性調節障害の改善には、生活リズムの調整が大切です。でも、「早く寝なさい!」「朝起きなさい!」と怒鳴るのは逆効果です。
私が実践して効果があったのは:
- 夜のスマホ・ゲームは22時までと本人と話し合って決める
- 朝はカーテンを開けて光を入れる(無理に起こさない)
- 水分と塩分をしっかり摂る(1日1.5〜2リットルの水)
- 起き上がるときはゆっくり、急に立たない
「管理する」のではなく「一緒に工夫する」というスタンスが大事です。
4. 勉強の遅れは「今じゃなくていい」と割り切る
起立性調節障害で学校に行けないと、当然勉強が遅れます。親としては焦りますよね。
でも、体調が安定しないうちに勉強を強要すると、症状が悪化することがあります。
私も焦りから、個別指導塾に通わせていた時期がありました。1時間8,000円の個別塾。起立性調節障害で生活リズムが崩れていた息子は、半分以上休んでいました。月4万円払って、半分しか通えない——正直、お金を捨てているような気分でした。シングルマザーの私にとって、その出費は決して軽くなかったのに。
我が家の場合、最初の数ヶ月は勉強のことは一切言いませんでした。体調が少し安定してきた頃に、本人の体調に合わせて自分のペースで進められる通信講座を始めました。
「午前中は無理でも、夕方なら30分だけやれる」——そんなペースでも、続けることが大切でした。
5. 親自身のメンタルケアも忘れない
これは本当に大事なことです。
起立性調節障害の子どもを支えるのは、想像以上に親の心が消耗します。
- 周囲から「甘やかしすぎ」と言われる
- 学校からの電話がストレス
- ママ友との会話がつらい
- 将来への不安が消えない
息子が学校に行けた日は世界が明るく見え、休んだ翌日は布団から出られない。出席と欠席に心を振り回される毎日が、じわじわと私を追い詰めていきました。
告白すると、私がここまで追い詰められた原因のひとつは「家系」のプレッシャーでした。母方の親族はほぼ全員が医師。「この子も医者になるべき」「ちゃんとした道を歩ませなきゃ」という強迫観念が、私を支配していたんです。起立性調節障害で朝も起きられない息子に、「ちゃんとしなさい」と詰め寄ってしまったことが何度もあります。あの頃の私は、息子の体調よりも世間体や家系の期待を優先していました。今振り返ると、本当に申し訳ないことをしました。
私自身、追い詰められてうつ状態になった時期がありました。親が倒れたら、子どもを支えられません。
次第に私は外に出ることすらできなくなっていきました。笑いながら通学する子どもたちを見ると、胸がぎゅっと締めつけられたからです。息子に退学を迫った学校の制服を着た生徒とすれ違うと、動悸と冷や汗が止まらなくなりました。「なんでうちの子だけ…」——その思考が、頭から離れませんでした。心療内科で抗不安薬をもらいながら、なんとか日常を回している状態でした。
そんな私に転機を与えてくれたのは、市の相談窓口でした。発達や不登校の悩みを話したとき、相談員の方が「お母さん、ひとりでよく頑張ってきたんですね」と言ってくれたんです。その瞬間、滝のような涙がこぼれて止まりませんでした。夫がいれば愚痴を言えたかもしれない。でも私はずっとひとりで抱え込んできました。高齢の両親に心配をかけたくなくて、誰にも相談できなかった。ずっとひとりで耐えてきたぶん、人に優しい言葉をかけてもらった瞬間に、涙を止めることができなかったのです。
同じ境遇の親が集まるオンラインコミュニティや、カウンセリングを利用することを強くおすすめします。
起立性調節障害の中学生の親が「やってはいけないこと」5つ
1. 「怠けてるだけでしょ」と決めつける
これが一番やってはいけないことです。私もやってしまいました。
夜は元気なのに朝起きられない。ゲームはできるのに学校は行けない。親から見ると「怠けている」ようにしか見えないんです。
でも、本人は本当につらいんです。体が動かないんです。それを「怠け」と言われるのは、骨折している子に「走れ」と言うようなものです。
2. 無理やり朝起こして学校に行かせる
「休みグセがつくから」と無理に起こして登校させようとするのは逆効果です。
起立性調節障害の子が無理に起きると、立ちくらみで倒れたり、吐き気で余計に体調を崩すことがあります。
息子も一度、無理に学校に行かせた日に保健室で倒れ、早退しました。あの日のことは今でも後悔しています。
3. 他の子と比較する
「○○くんは毎日学校行ってるのに」「お姉ちゃんはちゃんとできたのに」
比較は子どもの自己肯定感を破壊します。起立性調節障害は本人の努力不足ではありません。比較することで、子どもは「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまいます。
実は、私自身も周囲からの何気ない言葉に傷ついていました。学校に行くようになった息子ですが、起立性調節障害の影響で午前中はほぼ居眠り状態。診断書を出していたので先生に怒られることはなかったものの、授業をまともに聞けていないという事実が、私の焦りを加速させました。
大手の集団塾に通う友達から「お前もうちの塾に来いよ」と誘われているのを聞くのも辛かったです。入塾試験に落ちたなんて息子に言えず、ママ友には「うちはのんびり受験するつもりなの」と誤魔化していました。
小学校の頃はトップクラスだった息子。ママ友から「うちの子に数学教えてあげてくれない?」と頼まれたこともありました。でも今は平均点すら取れない——とても本当のことは言えませんでした。比較するつもりはなくても、周囲との差を突きつけられる場面は日常にあふれています。だからこそ、親が意識的に「比較しない」と決めることが大切なのです。
4. 病気のことを隠す
「恥ずかしいから誰にも言わないで」と病気を隠そうとする親御さんもいます。
でも、周囲に知ってもらうことで、子どもを守れる場面がたくさんあります。学校の先生、部活の顧問、仲の良い友達の親——理解者が増えるほど、子どもの居場所が広がります。
5. 回復を急かす
「もうそろそろ治ったでしょ?」「いつになったら学校行けるの?」
起立性調節障害の回復には個人差があり、数ヶ月〜数年かかることもあります。焦らせることは、子どもにプレッシャーを与え、症状を長引かせる原因になります。
息子の場合、体調が安定するまでに約1年かかりました。その間、焦る気持ちを抑えるのが一番大変でした。
勉強の遅れが心配なら「通信講座」という選択肢がある
起立性調節障害の子にとって、決まった時間に塾に行くのは非常にハードルが高いです。
我が家も無理をして塾に通わせていた時期がありました。月4万円の塾代も苦しかったのですが、通信制高校の説明会に行ったとき、週3〜5通学コースだと年間100万円と聞いて血の気が引きました。息子がどんな進路を選ぶかわからない以上、お金は残しておかなければならない。そんな切迫感の中で出会ったのが、自宅で自分のペースで学べる通信講座でした。
- 体調の良い時間帯に取り組める
- 1回15〜30分の短い学習単位
- 動画授業なので、何度でも繰り返し見られる
- 前の学年に戻って復習できる
息子は夕方〜夜の体調が良い時間に、1日30分から通信講座を始めました。「今日はこれだけやれた」という小さな達成感が、少しずつ自信を取り戻すきっかけになりました。
まとめ:起立性調節障害は「親の理解」が回復の第一歩
起立性調節障害は、怠けでも甘えでもなく、れっきとした体の病気です。
親がまず正しく理解し、子どもの味方になること。それが回復への第一歩です。
やるべきこと
- 小児科を受診して正確な診断を受ける
- 学校に病名を伝え、配慮をお願いする
- 生活リズムを「責めずに」整える
- 勉強の遅れは「今じゃなくていい」と割り切る
- 親自身のメンタルケアも忘れない
- 発達特性(ADHDなど)の可能性も視野に入れる
やってはいけないこと
- 「怠けてるだけでしょ」と決めつける
- 無理やり朝起こして学校に行かせる
- 他の子と比較する
- 病気のことを隠す
- 回復を急かす
あの頃の私に言いたいことがあります。「あなたは頑張ってる。でも、もっと早く気づいてあげて」と。
この記事が、今まさに同じ状況にいるお母さん・お父さんの力になれたら嬉しいです。


コメント