息子の忘れ物の多さ、集中力の途切れやすさ、衝動的な行動。「もしかしてADHDでは?」と疑い始めたのは、私立中学校に通っていた頃のことです。小学生の頃は「まだ幼いから」と思い一切疑っていませんでしたが、中学生になってもまったく改善しない姿を見て、さすがにこれは普通ではないと感じ始めました。
診断を受けようと動き始めましたが、想像以上にハードルが高かったのです。病院が見つからない、何ヶ月も待たされる、息子が受診を拒否する——同じ壁にぶつかっている方に、私の体験をお伝えします。
ADHDを疑い始めたきっかけ
別の記事でも書きましたが(息子がADHDかもしれないと気づいた日)、息子には以下のような特徴がありました。
- プリントは最初の一言だけ書いて残りは白紙
- 朝から「あれがない!」と大騒ぎするのに、私が探すと目の前にある
- 興味のあることには驚くほど集中するが、それ以外は全くやらない
- 私が話している途中で、突然全く関係ない話題に飛ぶ
- スマホの充電器が毎週行方不明になる
- 財布をなくして「電車代がないから帰れない」と連絡が入り、慌てて車で迎えに行くことが年に何度も
- 1時間かかる課題を「10分でできる」と本気で言う——時間の感覚がずれている
- 中間テストがいつ始まるか、今日何の科目かすら把握していない
- 衝動的に家を飛び出すことがある
「反抗期だから」「思春期だから」と思おうとしましたが、学校の先生から「数百人の生徒の中で、こんな簡単な課題を出さないのはお子さんだけです」と言われた時、やはり何かが違うのではと確信しました。
壁①|診断してくれる病院が見つからない
ADHDの診断を受けようと思い、病院を探し始めました。しかし調べても調べても、中学生のADHDを診断してくれる病院が見つからないのです。
県内の大学病院でそのような検査をしているところを見つけ、電話をしてみました。
「現在2ヶ月待ちです」
2ヶ月。その間も息子は学校で問題を起こし続け、私は呼び出され続ける。2ヶ月なんて待てない気持ちでしたが、他に選択肢もなく予約を入れました。
電話を切った後、しばらく受話器を握ったまま動けませんでした。2ヶ月。その間にも息子は学校で問題を起こし、私は呼び出され、先生に頭を下げ続ける。「ADHDだと分かれば、先生も少しは理解してくれるのに」——診断書という武器が欲しかった。息子を守るための武器が。
壁②|市の相談施設では診断書が出ない
大学病院の予約を待つ間、市が実施している発達障害の相談に息子を連れて行きました。とても親身に対応してくれて、息子の特性について「ADHDの中でも不注意型の傾向がある」と言われました。
しかし、この施設では診断書を発行する権限がなかったのです。「傾向がある」とは言ってもらえたものの、正式な診断にはならない。学校に持っていける書類が手に入らなかった時の無力感は、今でも忘れられません。
壁③|学校に相談しても「特別扱いはしない」
市の施設でADHDの傾向があると言われたことを、息子が通っていた学校の先生に伝えました。すると返ってきた言葉は——
「あのね、うちにはそういう子はいっぱいいるんです。頭のいい子ってそういう傾向のある子が多いでしょう? だからといって特別扱いはしないんですよ」
確かに、進学校にはそういった特性を持つ子が少なくないのかもしれません。でも、特性を理解した上で対応を変えてほしいというお願いすら、受け入れてもらえなかったのです。
※これは息子が通っていた学校での出来事です。発達障害に理解のある私立中学校もたくさんあります。
壁④|息子が精神科の受診を拒否した
大学病院以外にも、精神科や児童精神科で診断を受けられる可能性がありました。一度息子を連れて行こうとしたこともあります。
しかし、「精神科なんて行かない」と息子は拒否しました。「精神科」という響きに抵抗があったようです。中学生の男の子にとって、精神科に行くということは「自分がおかしい」と認めることに感じられたのかもしれません。無理に連れて行くこともできず、正式な診断は今も受けられていません。
しかし後日、意外なことが起きました。息子の方から「精神的につらい……親に話せないこともあるし、心が苦しい時の病院に連れてって」と言ってきたのです。あの「精神科なんて行かない」と拒否した息子が、自分からSOSを出してくれた。原因が何かは怖くて聞けませんでした。でも、助けを求められるということは、まだこの子は前を向いている——そう信じることにしました。
「精神科」という言葉を聞いた瞬間、息子の表情がこわばったのが分かりました。「僕のこと異常だと思ってんの」と小さく呟いた声が、今も耳に残っています。「異常じゃないよ、ただ苦手なことの理由を知りたいだけ」と言いたかったけれど、思春期の息子にその言葉は届かなかった。診断書がなくても、この子に合った環境を見つけるしかない——そう腹をくくった日でした。
「グレーゾーン」のまま、今できることをやる
結局、息子は「ADHDグレーゾーン」のまま、高校受験を乗り越えました。正式な診断はなくても、特性に合った学習方法を見つけることはできます。
息子の場合、通信講座(進研ゼミ)のタブレット学習が合っていました。短時間で集中して取り組める仕組みが、不注意型の特性と相性が良かったのです。(ADHD不注意型の通信講座比較はこちら)
私の場合——病院に電話しても「2〜3ヶ月待ち」と言われ、市の相談施設では診断書が出ず、学校に相談しても「特別扱いはしない」。たらい回しにされる度に心が折れそうでした。
ADHDの診断を受けたい親御さんへ
- かかりつけの小児科に相談:専門機関を紹介してもらえることがあります
- 市の発達障害相談窓口:診断書は出ませんが、専門家の意見を聞けます。無料のことが多いです
- 児童精神科:お子さんが抵抗を示す場合、「困っていることを相談しに行く」と伝えてみてください
- 待ち時間が長い場合:予約を入れたうえで、待つ間にできること(通信講座、学校への相談)を並行して進めましょう
- 診断がなくても使える支援があります。(ADHDグレーゾーンの公的支援まとめ)
診断にたどり着けなくても、お子さんの特性を理解して環境を整えることはできます。完璧な答えが出なくても、できることから始めてみてください。
みっこの本音——たらい回しの先に
ADHDの診断を受けたくても、病院が見つからない。予約は数ヶ月待ち。息子は受診自体を拒否。八方塞がりでした。でも「グレーゾーンのまま今できることをやる」と決めてからは、少し楽になった。診断がなくてもこの教材は使えるし、息子に合う学び方は見つけられる。完璧を求めなくていいんだなぁ。
ADHD診断対応の病院を探す3つの実践方法
「精神科」「心療内科」と書かれているクリニックでも、子どもの発達障害診断に対応しているとは限りません。我が家が実際に試した、診断対応の病院を効率的に探す3つの方法をまとめます。
方法1:自治体の発達障害者支援センターに問い合わせる
各都道府県・政令市に設置されている「発達障害者支援センター」は、地域の診断対応病院リストを持っていることが多いです。電話で「中学生の発達障害診断を受けたい」と伝えると、近隣で対応している病院を教えてもらえます。我が家もこの方法で2件の候補を絞り込めました。
方法2:児童精神科学会のホームページで検索
日本児童青年精神医学会の専門医リストはオンラインで公開されており、地域別に検索できます。専門医がいるクリニックは予約が取りにくい傾向がありますが、診断の精度は安心感が違います。半年待ちでも、ここを選んで良かったと感じています。
方法3:かかりつけの小児科経由で紹介状をもらう
普段通っている小児科の先生に相談して、紹介状を書いてもらう方法も有効です。紹介状があると初診予約が取りやすく、優先してもらえるケースも珍しくありません。情報共有もスムーズになります。
並行で動くと早く診断につながる
3つの方法を同時並行で動かすのが、診断までの時間を短縮するコツです。1つの病院だけ予約して2ヶ月待つよりも、3〜4件の候補を並行して当たって、最も早く対応してくれるところで初診を受けるほうが現実的でした。
受診前に準備しておくと診断がスムーズ
初診時に「学校での様子」「家庭での様子」「困っていること」を文章でまとめておくと、医師が判断しやすくなります。連絡帳のコピー、過去の通知表、行動観察メモなどを持参すると診断の補助資料として役立ちます。
- ADHDを疑い始めたきっかけ
- 壁①
- 壁②
- 壁③
- 壁④
- 「グレーゾーン」のまま、今できることをやる
- ADHDの診断を受けたい親御さんへ


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