「起立性調節障害でも高校受験はできるの?」「通院しながら受験勉強なんて無理じゃない?」
我が家の息子は起立性調節障害と闘いながら、通院と受験勉強を両立して高校に合格しました。
この記事では、通院スケジュールと勉強の両立方法、実際に使った通信講座、そして受験本番までの記録をお伝えします。
はじめに|起立性調節障害×高校受験という「二重の壁」
起立性調節障害を抱えながら高校受験に挑むのは、「体調管理」と「学力向上」の二正面作戦です。どちらか一方でも大変なのに、両方を同時にこなさなければならない。
実はこの「二重の壁」に加えて、もうひとつ見えにくい壁がありました。息子にはADHD不注意型のグレーゾーンの特性があり、起立性調節障害で使える時間が限られているうえに、集中力の維持も難しいという三重苦でした。体調が良い日でも、注意が散って勉強が手につかないことがあり、受験勉強の困難さは想像以上だったのです。
息子は中3の夏から本格的に受験勉強を始めました。起立性調節障害の通院を続けながら、通信講座で1日2〜3時間の勉強。この記事では、通院と勉強をどう両立させたかを具体的にお伝えします。
そしてもうひとつ、私自身が抱えていた苦しさがありました。息子が学校に行けた日は、それだけで世界が明るく見えた。でも翌日「今日は無理」と布団から出てこないと、私も糸が切れたように寝込んでしまう。出席と欠席に、母親の心が丸ごと振り回される日々。通院日すら「今日は病院に行けた」と安堵し、翌日行けなければ落ち込む——その一喜一憂が、受験期のストレスをさらに増幅させていました。
通院のリアル|月2回の通院スケジュール
通院の頻度と内容
息子は月2回、小児科の起立性調節障害専門外来に通っていました。
- 診察内容:血圧測定、起立試験、問診、薬の調整
- 所要時間:通院含めて半日(午前中が多い)
- 処方薬:ミドドリン(血圧を上げる薬)を服用
通院日は勉強量を減らし、「通院=勉強した日」としてカウントしていました。病院に行くだけでも外出の練習になるからです。
主治医との連携が重要
受験勉強を始める際、主治医に「高校受験を目指したい」と相談しました。先生は「体調を最優先にしながら、本人のペースで」と言ってくれて、受験期のストレスが体調に影響しないかを毎回の診察で確認してくれました。
また、受験当日に体調が悪くなった場合の対策(別室受験の申請、午後入試のある学校の検討)についてもアドバイスをもらいました。
学校でも塾でも「聞けない」焦り
少し学校に通えるようになっても、起立性調節障害の影響で午前中はほぼ居眠りしていると面談で言われました。診断書を出していたので怒られることはありませんでしたが、授業を聞けない時間が積み重なるたびに、私の焦りは募るばかりでした。
大手集団塾に通う友達から「お前もうちの塾来いよ」と誘われているのを聞くのが辛かった。入塾試験に落ちたとは言えず、「うちはのんびり受験するの」と誤魔化していました。小学校時代は成績トップクラスで、ママ友から「うちの子に数学教えてあげてくれない?」と頼まれたこともあった息子。今は平均点も取れない——とても言えませんでした。
薬と勉強の関係|服薬のタイミングが集中力を左右する
息子が服用していたミドドリンは、服用後30分〜1時間で効果が出る薬です。このタイミングを勉強時間に合わせることで、集中力が格段に変わりました。
我が家の服薬スケジュール
- 起床時:1錠目を服用(午前中の最低限の活動のため)
- 13時:2錠目を服用(午後の勉強に合わせて)
13時に服用→14時から勉強開始、というリズムが確立してから、午後の集中力が明らかに改善しました。
ただし、薬の効果や副作用は個人差が大きいです。必ず主治医と相談して、お子さんに合った服薬タイミングを見つけてください。
受験勉強と体調管理の両立で工夫したこと
1. 「体調ログ」をつけた
毎日の体調を10点満点で記録しました。
- 7〜10点:通常の勉強スケジュール
- 4〜6点:軽めのスケジュール(映像授業1本+復習のみ)
- 1〜3点:完全休養
このログを通院時に主治医に見せることで、体調の波のパターンが見えてきました。「季節の変わり目に悪化する」「雨の前日に体調が崩れる」など、予測が立つようになり、勉強計画を事前に調整できるようになりました。
2. 水分と塩分を意識的に摂った
主治医から「1日2リットルの水分と、多めの塩分」を指導されました。これは起立性調節障害の基本的な生活指導ですが、受験期は特に意識しました。
勉強中のデスクには常に水筒と塩分タブレットを置き、15分ごとに水分を摂るルールを作りました。地味ですが、これだけで午後の体調が安定しました。
3. 運動を取り入れた
起立性調節障害の改善には適度な運動が効果的です。息子は夕方に15〜20分の散歩を日課にしていました。勉強の気分転換にもなり、夜の睡眠の質も改善しました。
4. 受験校を「体調に合わせて」選んだ
志望校選びでは、学力だけでなく体調面での相性も重視しました。
- 通学時間:自宅から30分以内(長時間の満員電車は体調悪化の原因)
- 始業時間:遅めの始業や、遅刻に柔軟な学校
- 不登校経験者の受け入れ実績があるか
この志望校選びは、私にとって大きな方針転換でもありました。母方の親族がほぼ全員医師という家系で育った私は、息子にもいつか医学部を目指してほしいと心のどこかで思っていました。でも起立性調節障害とADHDの特性を抱える息子の現実を見て、「医師への道」ではなく「息子に合った高校への道」を選ぶ決心をしたのです。偏差値や将来の職業より、息子が毎日笑って通える場所を優先する。その決断ができた時、私自身も肩の荷が下りた気がしました。今では一緒に食卓を囲みながら、息子の方から学校の話をしてくれる。あの頃には想像もできなかった穏やかな日常です。
受験直前期の体調管理|12月〜2月にやったこと
受験直前の3ヶ月は、勉強量を増やしたい時期ですが、体調を崩したら元も子もない。我が家は以下を徹底しました。
- 勉強時間は増やさない(1日3時間が上限)
- 質を上げる(過去問演習に集中、新しい範囲は追わない)
- 睡眠時間は絶対に削らない(22時就寝を厳守)
- インフルエンザ予防接種を早めに受ける
- 通院を欠かさない(「忙しいから今月は行かない」はNG)
受験当日の対策|万全の準備が安心につながる
- 受験校に起立性調節障害の診断書を事前提出し、体調不良時の別室受験を申請
- 当日朝はいつもより1時間早く薬を服用(主治医の指示)
- 会場には水筒・塩分タブレット・ブランケットを持参
- 「途中退席してもいいよ」と伝えて、プレッシャーを減らす
結果、息子は受験当日に大きく体調を崩すことなく、試験を受けきることができました。
公立中学の先生との三者面談
受験勉強を支えてくれたのは通信講座だけではありません。公立中学の先生の温かさにも救われました。先生はいきなり三者面談ではなく、まず週1回プリントを取りに来るところから始めましょうと提案してくれました。他の生徒に会わない時間帯を選んでくれたので、息子も「プリント取りに行くだけならいいよ」と学校に足を運ぶようになりました。
面談では保健室の先生も一緒に、「退屈じゃない?遊びに行っていいんやぞ」とフランクに話してくれました。前の私立中学では怒鳴って威嚇するタイプの先生だったので、息子は「前の学校と全然話し方違ったねぇ」と驚いていました。この先生なら息子を傷つけない——私も心から安心できた瞬間でした。
まとめ|通院と勉強の両立は「仕組み化」で乗り越えられる
起立性調節障害と高校受験の両立は、精神論では乗り越えられません。体調ログ、服薬タイミング、スケジュールの2パターン化など、仕組みで回すことが大切です。
そして何より、通信講座という「時間に縛られない学習法」がなければ、我が家の両立は不可能でした。塾の時間割に体調を合わせるのではなく、体調に学習を合わせる。この発想の転換が、合格への道を開きました。
以前は不登校の遅れを取り戻そうと塾に通わせていた時期もありましたが、月4万円の塾代に対して、起立性で半分は休んでいました。月4万円払って半分しか通えない——お金を捨てているような気分でした。シングルマザーの家計では、貯金がみるみる減っていく恐怖と常に隣り合わせ。通信講座の月数千円という費用は、経済面でも大きな救いだったのです。


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