小学生の頃は、一緒にリビングのテーブルで勉強していました。
「ここはこうやって解くんだよ」と教えれば、息子は素直に「うん、わかった!」と頷いてくれる。中学受験の3年間、私が言った勉強は全部やる子でした。あの頃は、教えることが親の役割だと当然のように思っていたのです。
でも、思春期に入った途端、すべてが変わりました。
教えようとするたびに喧嘩になる。「うるさいな。やるって言ってるだろ」と睨みつけられ、最後には「人にばかり指示するけど、自分はちゃんとした母親ができているのか」と言い返される。
あんなに素直だった息子が、なぜ——。何度も泣きました。でも、今振り返ると、あれは息子が大人になろうとしていたサインだったのだと思います。
この記事では、親が勉強を教えることで起きた衝突と、第三者(通信講座)に任せることで親子関係が改善した実体験をお伝えします。
小学校までは「教える」でうまくいっていた
中学受験はママの言う通りに頑張った子
息子は小学4年生から大手の中学受験塾に通い始めました。土日は朝から夕方まで塾漬けの生活。家に帰ってからも、私が立てたスケジュール通りに復習をする日々でした。
息子には「この中学に入りたい」という目標があったので、私が「今日はここまでやろうね」と言えば、文句も言わず取り組んでくれました。苦手な単元があれば一緒にノートを広げて解き方を確認する。暗記カードも私が手作りし、間違えた問題は専用のノートにまとめ直す。
結果、難関私立中学に合格。あの合格発表の日の嬉しそうな笑顔は、今でもはっきり覚えています。
「ママのおかげで受かった!」——そう言ってくれた息子の言葉が、私の自信になっていたのだと思います。
あの頃の感覚が抜けなかった
問題は、中学に入ってからも私がその感覚を引きずっていたことです。
私立中学の勉強進度はとても速く、入学して数ヶ月で授業についていけなくなった息子。学校からは「提出物を出すように家庭で指導してください」「勉強させるように」と繰り返し言われました。
私は焦りました。中学受験の時と同じように、同じ学校のママ友に提出物の範囲を聞き、スケジュールを立て、「今日はここまでやりなさい」と息子に指示を出しました。
小学生の時と同じやり方が、中学生の息子にも通用すると思い込んでいたのです。
でも、あの頃の息子と今の息子は、もう別人でした。
中学で全てが変わった
「自分でやるから黙ってて」
最初の変化は、中学1年生の秋頃でした。
提出物の期限が迫っていたので、「今日はこの課題をやろう」と声をかけた時のことです。息子は一瞬こちらを見て、低い声でこう言いました。
「自分でやるから黙ってて。」
それまで一度も言われたことのない言葉に、私は固まりました。でも「自分でやると言っているのだから」と思い直し、その日は黙って見守ることにしました。
結果、息子はその課題をやりませんでした。
翌日また声をかけると、今度はもっと強い口調で「うるさいな。やるって言ってるだろ」と怒鳴られました。それでも私は諦めきれず、「でも昨日やらなかったよね?」と返してしまう。するとドアをバンと閉められ、会話は終了。
こんなやり取りが毎日のように繰り返されるようになりました。
教えようとすると「人に指示するけど、自分はちゃんとした母親?」
ある日、数学の問題がわからないと言うので、久しぶりに横に座って教えようとしました。「ここはこうやって……」と説明しかけた瞬間、息子が急に顔をしかめてこう言ったのです。
「人にばかり指示するけど、自分はちゃんとした母親ができているのか。」
この言葉は、本当に胸に突き刺さりました。
シングルマザーとして、仕事をしながら息子の教育に全力を注いできた自負がありました。中学受験の3年間、貯金を切り崩しながら年間100万円以上の塾代を払い、土日は塾の送り迎えと復習の付き添い。私なりに必死でやってきたのに——それを全否定されたような気持ちになりました。
今思えば、息子は「母親を否定したかった」のではなく、「自分のことは自分で決めたい」という思春期の叫びだったのだと思います。でも当時の私には、そんな冷静さはありませんでした。
スケジュールを立てると→破り捨てる
それでも私は懲りずに、息子の勉強スケジュールを手書きで作りました。「月曜は英語、火曜は数学……」と、提出物の期限から逆算して毎週の予定を立てる。中学受験の時にうまくいった方法そのままです。
息子の机の上に置いておいたそのスケジュール表。翌朝見に行くと、くしゃくしゃに丸められてゴミ箱に入っていました。
悲しさと怒りで「なんで捨てるの!あなたのために作ったのに!」と言ってしまった私に、息子は冷たくこう言いました。
「頼んでない。」
たった一言。でもその一言が、「もう小学生の時の関係には戻れない」という現実を突きつけていました。
提出物は出せず、学校からの呼び出しは増える一方。私はさらに焦り、息子はさらに反発する。怒鳴り合いの喧嘩が毎日続き、親子関係はどんどん悪化していきました。
家庭教師という「親以外の大人」にも拒否反応
「親が教えるからダメなんだ。第三者なら受け入れてくれるかもしれない」——そう考えて家庭教師を頼んだこともありました。しかし、息子は家庭教師が来る日になると部屋から出てこず、声をかけても無視。結局、家庭教師は数回で断念することになりました(この時の詳しい話はこちらの記事で書いています)。
(※家庭教師を拒否した経緯や、ADHD傾向の息子に「人に教わる」形式が合わなかった詳しい話は、別の記事で詳しくお伝えする予定です。)
なぜ思春期の子は親に教わりたくないのか
自我の芽生え=親からの自立
息子の反抗期を経験して、私なりに気づいたことがあります。
思春期というのは、子どもが「自分は親とは別の人間だ」と認識し始める時期です。小学生の頃は「ママの言う通りにすれば間違いない」と思ってくれていた子も、中学生になれば自分の考えや価値観を持ち始めます。
息子の場合、中学受験の時は「この学校に入りたい」という明確な目標があったから、私の指示に従えた。でも中学に入って勉強への意欲を失った息子にとって、母親の指示は「支配」にしか感じられなかったのだと思います。
「自分でやるから黙ってて」——あれは反抗ではなく、自立の第一歩だったのかもしれません。
「教える=上から」と感じる年齢
小学生の頃は、親が教えることに何の抵抗もありませんでした。それは「教えてもらう」ことを自然に受け入れられる年齢だったからです。
でも中学生になると、「教えられる=自分は無力だと認めること」になってしまう。特に思春期の男の子にとって、母親に勉強を教わるというのは、自分のプライドを傷つけられる行為だったのかもしれません。
息子が「人にばかり指示するけど」と言ったのも、「教える=指示する=上に立つ」という構図を敏感に感じ取っていたからだと、今ならわかります。
ADHD傾向があると干渉への拒否感がさらに強い
息子にはADHD不注意型の傾向がありました。集中力が続かない、忘れ物が多い、衝動的に行動してしまう——こうした特性は、中学に入ってからより顕著になっていきました。
ADHD傾向のある子は、他人からのペースの強制や干渉に対して、定型発達の子以上に強い拒否感を示すことがあるそうです。息子の場合も、「今これをやりなさい」という指示がどうしても受け入れられない。自分のタイミングでしかスイッチが入らないタイプでした。
私がスケジュールを立てれば立てるほど、息子にとっては「自分のリズムを壊される」ことになっていた。家庭教師を断固拒否したのも、決められた時間に決められたことをやらされること自体が耐えられなかったのだと思います。
ADHDの特性を理解せずに、ただ「やりなさい」と言い続けていた過去の自分を、今は反省しています。
通信講座は「親でも先生でもない第三者」
AIが教える→人間関係のストレスゼロ
親が教えてもダメ、家庭教師もダメ——もう勉強させる方法がないのか、と途方に暮れていた時に出会ったのが通信講座でした。
我が家が選んだのは進研ゼミの中学講座です。知名度があって安心感がありましたし、シングルマザーの私にとって月額約6,990円〜という価格は本当にありがたかった。
何より大きかったのは、AIが学習を最適化してくれるので、「人に教わる」というストレスがないこと。タブレットの画面に向き合うだけだから、誰かに指示されている感覚がないのです。
息子はAIに教わることには全く抵抗がありませんでした。「人間」に教わるのがイヤだったのだと、この時はっきり気づきました。
タブレットだから自分のペースで
通信講座のもう一つの大きなメリットは、自分のペースで進められること。
息子は起立性調節障害もあり、午前中はほとんど動けない日が多くありました。塾なら決まった時間に通わなければいけませんが、タブレット学習なら午後の調子がいい時間にサッと始められる。
ADHD傾向で集中が続かない息子でも、1回の学習が短い単元で区切られているから取り組みやすい。「15分だけやろう」が積み重なって、いつの間にか1時間勉強している日もありました。
誰にも管理されず、自分で決めて取り組めるという環境が、息子には合っていたのです。
親は進捗を見守るだけでOK
進研ゼミには保護者向けの学習進捗レポートがあります。息子がいつ、どのくらい勉強したかをスマホで確認できるので、私はそれをチラッと見るだけ。
「今日は30分やったんだ」と心の中で思うだけで、口には出さない。たまに「最近頑張ってるね」とだけ声をかける。
「教える役」から「見守る役」に変わるだけで、こんなにも親子関係が楽になるのかと驚きました。
「教える役」から「応援する役」に変わった
勉強のことは一切口出ししない
通信講座を始めてからの私のルールは、勉強に関して一切口出ししないこと。
どれだけやっていなくても「今日はやらないの?」と聞かない。テスト前でも「勉強は?」と言わない。中学受験で身についた「管理する母」の習性を封印するのは、正直とても苦しかったです。
でも、口出しをしなくなった途端に、あれだけ激しかった反抗期の態度が落ち着いていきました。リビングに出てくる回数が増え、少しずつ会話が戻り始めた。
息子の趣味はギター・料理・筋トレでした。勉強の話はせず、「そのギターかっこいいね」「今日の料理おいしかった」と趣味に関する声かけだけを続けているうちに、息子の方から「ねえ、この料理作りたいんだけど材料買いに行かない?」と話しかけてくれるようになったのです。
「高2になったら受験勉強始めるから」と息子が宣言
公立中学に転校して口出しをやめた生活が軌道に乗り、息子は友人と遊ぶ時間を大切にしながら空いた時間にタブレットで勉強する、というリズムを自分で作るようになりました。
そして高校に合格した今、息子はこう言っています。
「高2になったら受験勉強始めるから。」
誰に言われたわけでもなく、自分で決めた言葉です。あの、スケジュール表を破り捨てていた息子が、自分の意志で将来のことを考えている。
正直、高2からで間に合うのかな……と心配になることもあります。でも口には出しません。息子の人生は息子が決めるもの。自我の強い息子は、自分が納得しないと絶対に動かない。でもそれは、自分で決めたことはちゃんとやり遂げる力があるということでもあるのです。
あの頃の私に教えてあげたい。「教えなくていいよ。信じて待っていれば、この子は自分で動き出すから」と。
勉強を教えて喧嘩になっている親御さんへ
思春期のお子さんに勉強を教えようとして、毎回喧嘩になっていませんか。
「こんなこともわからないの」と言ってしまったり、「何回同じこと言わせるの」とイライラしたり。そしてお子さんに「もう教えてもらわなくていい!」と言い返されて、傷ついていませんか。
私も全く同じでした。
でも今なら言えます。親が勉強を「教える」時代は、小学校で終わっていいのだと。思春期の子にとって親は「教師」ではなく「応援団」であるべきなのかもしれません。
通信講座は、親子の間に入ってくれる「第三者」です。AIが教え、タブレットが管理し、親は見守る。それだけで、勉強が原因の喧嘩はなくなりました。
お子さんの力を信じて、「教える役」を手放してみてください。親子関係は驚くほど変わります。

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