不登校のADHD中学生が「出席扱い」になる通信講座の条件と手続き

ADHD・発達障害と向き合う

不登校が長期化すると、「出席日数が足りなくて高校に行けないのでは」という恐怖が親を襲います。

ADHDの特性で学校に適応できず不登校になった息子。学校に行けない日が積み重なるたびに、内申点と出席日数の不安が膨らんでいきました。

でも実は、自宅での学習を「出席扱い」にできる制度があります。この記事では、制度の内容、条件、手続き、対応する通信講座を具体的にまとめます。

ハイフンだらけの通信簿——息子の言葉が胸を突いた日

出席に一喜一憂する日々

出席扱い制度を知る前の私は、息子の出席に一喜一憂する毎日に心を蝕まれていました。

息子が学校に行った日は気分が良く、休んだ日は寝込むほど気分が沈む。そんな不安定な日々の中で、不登校が続いた息子の通信簿を初めて開いた時のことは忘れられません。

全科目にハイフン(判定不能)が並んでいたのです。

息子はそれを見て、ぽつりとこう言いました。

「俺、成績表に名前ないみたい」

その一言が、まるで自分の存在を消されたかのような諦めに聞こえて、私は胸が張り裂けそうでした。中学受験で難関校に合格し、大手塾では上位クラスにいた息子。小学校の時はオール5で、ママ友から「うちの子に数学教えてあげて」と頼まれるような子だったのに——その成績表にはもう何の数字も残っていないのです。

塾で高校受験の制度について相談した時、「最近は私立高校も内申点で合否を評価するように変わっているんです」と言われ、血の気が引きました。公立も私立も、このままでは行ける高校がなくなる——息子が社会からはみ出されたような感覚に襲われました。

中学受験をさせず公立中学に通っていれば、平均レベルの内申点は取れていたかもしれない。私が受験をさせたせいだと、自分を責め続ける日々でした。

「この制度があれば、息子の努力が数字になる」

そんな絶望的な状況の中で知ったのが、出席扱い制度でした。

自宅で通信講座を使って学習した記録が、学校の出席として認められる。この制度を初めて知った時、全身から力が抜けるような安堵を覚えました。

「この制度があれば、息子の努力が数字になる」

学校に行けない自分を責めていた息子に、「家で勉強しても出席になるんだよ」と伝えた時、息子は少し驚いた顔をした後、「じゃあ俺がやったこと、ちゃんと数字になるん?」と聞き返してきました。その言葉に、息子なりに「自分の努力が評価されない」ことへの悔しさを抱えていたのだと気づかされました。

「出席扱い」制度とは

文部科学省は、不登校の児童生徒が自宅でICT教材等を使って学習した場合、一定の条件を満たせば学校の出席として認めるという通知を出しています(2019年通知)。

これにより、学校に通えなくても内申点への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

出席扱いの7つの条件

  1. 保護者と学校が十分に連携・協力していること
  2. ICT(情報通信技術)等を活用した学習活動であること
  3. 訪問等による対面指導が適切に行われていること
  4. 学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
  5. 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
  6. 学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
  7. 学習活動の成果を評価に反映できること

難しく見えますが、要するに「学校と連携して、ICT教材で計画的に学んでいれば認められる可能性がある」ということです。

担任との交渉——想像以上にハードルが高かった

制度を知った私は、すぐに担任の先生に相談しました。しかし、最初の反応は決して前向きではありませんでした。

「そういった制度があるのは知っていますが、うちの学校で前例がないので……」

前例がない。この言葉に何度も阻まれました。出席扱いの判断は校長に委ねられているため、担任の先生だけでは判断できない。かといって校長に直接掛け合うわけにもいかず、間に入ってくれる担任が消極的だと進まないのです。

私は文部科学省の通知文を印刷して持参し、他校での認定事例を調べてまとめた資料を渡しました。何度もメールや面談を重ね、少しずつ先生の理解を得ていきました。

担任との交渉で苦労した具体的なやりとりや、出席扱いの実績については、こちらの記事にも書きましたので、交渉で行き詰まっている方はぜひ参考にしてください。

出席扱いに対応している通信講座

すらら

出席扱い制度への対応を公式にサポートしています。学習記録レポートの出力機能があり、学校への報告に使えます。過去に出席扱いが認められた実績が多数(すららのレビューはこちら)。ADHD・発達障害の子の利用を想定した設計も安心材料です。

スタディサプリ

学習履歴の確認が可能で、出席扱いの実績もあります。ただし、すららほど制度対応のサポートは手厚くありません。学校との交渉は親が主導する必要があります。

ADHDの子が出席扱いで自信を取り戻すプロセス

ADHDの特性を持つ子が出席扱い制度を活用すると、単に出席日数が増えるだけではない変化が起こります。息子の場合、3つのステップを経て少しずつ自信を取り戻していきました。

ステップ1:「やったことが認められる」安心感

不登校の子は、「自分は何もしていない」という罪悪感を抱えがちです。特にADHDの子は過去に忘れ物や提出物の未提出で何度も叱られた経験から、「どうせ自分は認めてもらえない」と感じていることが多い。出席扱いは、その思い込みを壊す第一歩になります。

息子も最初は半信半疑でした。でもタブレットで学習した記録が実際に出席としてカウントされると知った時、「家でやってもちゃんと意味あるんだ」と少し表情が明るくなりました。

ステップ2:「自分のペースで良い」という安堵

ADHDの子にとって、周囲のペースに合わせることが最大のストレスです。集中が途切れやすい、興味がないことに取り組めない——学校ではこれが「問題行動」と見なされ、自己肯定感がどんどん下がります。

通信講座での自宅学習なら、自分が集中できる時間帯に、自分のペースで進められる。息子の場合、夜のほうが集中できるタイプだったので、夕食後に1〜2時間取り組むリズムが合っていました。過集中が発揮される得意科目から始めて、「できた」という成功体験を積み重ねていきました。

ステップ3:内申点に数字がつく=「存在が認められる」

ハイフンだらけだった通信簿に、初めて数字がついた時。それは客観的に見れば「1」や「2」かもしれません。でも息子にとって、そして私にとって、「ゼロ」から「1」になることの意味は計り知れないものでした。

「やっても無駄」から「やれば形になる」へ。この意識の変化が、その後の学習意欲を支える土台になり、最終的には志望高校への合格につながったのです。

出席扱いを申請するには?

💡 出席扱い申請の具体的な手順と交渉のコツ

すららで出席扱いが認められた事例や、担任との交渉のコツはこちらの記事で詳しくまとめています。

注意点:学校ごとに対応が違う

出席扱いの判断は校長に委ねられているため、学校によって対応にバラつきがあります。「前例がない」と断られるケースも。

その場合は、教育委員会に相談する、すららのサポートに「出席扱いの実績資料」を依頼するなど、粘り強い交渉が必要になることもあります。

私を救ったひとことと、先生の寄り添い

出席日数に追い詰められていた頃、市の発達障害相談に足を運びました。担当の方に状況を打ち明けた時、「お母さん、頑張ってるね」と言われた瞬間、涙が止まらなくなりました。夫がいれば相談できたかもしれない。でもシングルマザーの私は1人で抱え込んできた。あのひとことが、崩れかけていた心を支えてくれました。

公立中学の先生も、出席への不安を理解してくれました。いきなり三者面談ではなく、まず週1回プリントを取りに来るところから始めましょう、と提案してくれたのです。他の生徒に会わない時間を選んでくれたので、息子も「プリント取りに行くだけなら」と学校に足を運ぶようになりました。面談では「休んだ日でも友達と遊んでいいから、少しでも外に出て気晴らしするんやぞ」と、息子に寄り添ってくれました。この先生への信頼が、保健室登校、そして出席扱い制度の活用へとつながっていったのです。

ADHDの子にこそ出席扱い制度を

ADHDの特性で学校に適応できず不登校になった子は、「学校に行けない=勉強できない=内申点がつかない=高校に行けない」という負のスパイラルに陥りやすい。

出席扱い制度は、このスパイラルを断ち切るための大きな武器です。ADHDの特性に合った通信講座で自宅学習しながら、出席日数も確保できるこの制度を知っているかどうかで、進路の選択肢が大きく変わります。

あの日、ハイフンの通信簿を見て「俺、成績表に名前ないみたい」と言った息子。でも出席扱い制度を知り、通信講座で学び始めたことで、少しずつ通信簿に数字が戻ってきました。ゼロだったものが形になる——その一歩が、息子にとっても私にとっても、どれだけ大きかったか

同じように内申点に不安を感じているお母さんへ。まずはこの制度の存在を知ってほしい。そして、学校に相談する一歩を踏み出してほしいのです。

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