「お母さん、明日も学校行けない」
息子が中学3年生のとき、ある朝そう言った瞬間のことを、私は今でもはっきり覚えています。声は震えていなくて、むしろ落ち着いていた。でもその目は、何かを諦めたような色をしていました。
不登校が始まる「最初の1週間」――この期間にどう動くかで、その後の数か月、いや数年の道のりが大きく変わります。けれど、ほとんどの親はこの1週間に何をすればいいのか分からないまま、戸惑いながら時間が過ぎてしまうのが現実です。
私自身もそうでした。「まずは様子を見よう」「数日休めば気が変わるかも」――そんな淡い期待を持ちながら、結局何もできないまま1週間が過ぎ、不安だけが膨らんでいきました。
この記事では、私が不登校最初の1週間にやってよかったこと、後悔していること、もし1週間前に戻れるならアドバイスしたいことを、できるだけ具体的にまとめます。同じ経験のまっただ中にいるお母さんの、ほんの少しでも支えになれば嬉しいです。
この記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。
📖 不登校シリーズ|おすすめの読み順
- 不登校最初の1週間(本記事)←今ここ
- 出席扱い制度を知ったお母さんへ
- 不登校の出席扱い認定の条件・やり方(本拠地)
- 不登校でも出席扱いになる通信講座ランキング3選
- 通信制高校6校徹底比較
突然訪れた朝――息子が「学校に行けない」と言った日
息子が「学校に行けない」と言った朝のことは、何度思い出しても胸が締めつけられます。中学3年生の春。前日まで普通に学校に通っていた子が、ある朝、布団から出てこない。声をかけても返事がない。やっと出てきたと思ったら、目を合わせずに小さな声で「無理」と言った。
その瞬間、頭の中に渦巻いたのは——「どうしよう」「なぜ?」「明日は行ける?」「内申点は?」「高校受験は?」——たくさんの問いでした。何を聞けばいいか、何を言えばいいか、まったく分からなかった。
とにかく学校には休みの連絡を入れました。担任の先生は「分かりました。様子を見て、また連絡ください」と短く返事をしてくれただけで、それ以上の話にはならなかった。たぶん、まだこの時点では「単発の欠席」と思われていたのだと思います。
その日、息子は一日中、自分の部屋に閉じこもっていました。私は仕事を早退して帰り、ノックしても返事がない部屋の前で、ただ立ち尽くすしかなかった。「これは、もしかしたら長くなるかもしれない」——そう感じたのは、夕方になっても息子が出てこなかった時です。
最初の1日に起きた感情の渦
不登校の最初の日、母親の心には複雑な感情が渦巻きます。私の場合は——
- 「何が原因?」という焦り
- 「私のせいなのでは」という自責
- 「明日は行けるはず」という淡い期待
- 「内申点・受験」という現実的な不安
これらが入り混じって、何ひとつ落ち着いて考えられない状態でした。あとから振り返ると、この「最初の1日」は何も決めなくていい時間でした。とにかくお子さんに無理を強いず、自分も深呼吸する。それだけでよかったんです。
最初の3日間で私がやったこと(連絡・情報共有・医療相談)
2日目、3日目になっても息子の状態が変わらないと分かった時、私は具体的に動き始めました。今振り返って「やってよかった」と思うのが、この3つです。
①学校への状況共有(電話+短文連絡)
2日目の朝、改めて担任の先生に電話を入れました。「昨日今日と、息子が学校に行けない状態です。原因はまだ分かりませんが、しばらく休む可能性があります」と正直に伝えました。
このとき大切なのは、「単発の欠席」ではなく「継続の可能性がある」という認識を学校と共有することです。担任の先生も、状況を理解した上で対応できるようになります。
もし担任の先生が頼りないと感じても、保健室の先生やスクールカウンセラーがいる学校が多いので、後日相談ルートを増やすことも視野に入れてください。
②医療機関への相談(小児科+発達外来)
3日目、私は息子をかかりつけの小児科に連れていきました。理由は、「身体的な原因がないか」を最初に確認することが大切だと感じたからです。
うちの息子の場合、起立性調節障害が小学6年生のときに発症していました。中学3年生の不登校期も、朝起きられない・午前中の頭痛や倦怠感など、起立性の症状が再発していたのです。小児科で血圧測定と問診を受け、起立性の再発と診断されたことで、「サボっているのではない」と私自身が腑に落ちました。
また、息子にはADHDグレーゾーンの傾向もあったので、後日発達外来にも相談に行きました。身体面・発達面の確認は、その後の対応方針を決める土台になります。
③父親(または家族)との情報共有
私はシングルマザーなので元夫との情報共有はありませんでしたが、もし両親揃っているご家庭なら、夫婦間の認識共有は最初の1週間でぜひやってください。「どちらか一方だけが対応する」状態は、対応する側の心が崩れる原因になります。
シングルマザー家庭の場合は、信頼できる友人や実家との情報共有がおすすめです。私自身は別居の実母に状況だけは伝えました。「具体的に手助けはいらないけど、状況だけ知っていてほしい」――それだけで、孤独感は和らぎます。
4日目以降の決断点――無理に行かせる?休ませる?
4日目あたりから、親は大きな決断を迫られます。「無理にでも学校に行かせるべきか」「もう休ませた方がいいのか」――この判断が、その後の数か月を左右します。
私の場合、最初の数日は「明日は行けるかも」と思って軽く促していました。でも息子の表情を見て、4日目に方針を切り替えました。「無理に行かせる」は、本人を追い詰めるだけと判断したのです。
無理に行かせるリスク
不登校初期に無理やり登校させると、お子さんは「親も自分の気持ちを分かってくれない」と感じてしまいます。一度この信頼が崩れると、回復に時間がかかります。「行きたくないのに行かせられた」という体験は、長期化の引き金になりやすいのです。
休ませる選択の意味
「休ませる=諦め」ではありません。むしろ、子どもの気持ちを受け止めて、いったん立て直すための時間を与えるという意味があります。
私が決めたのは「とにかく今週は休ませる。来週どうするかは、本人と一緒に考える」というルールでした。期限を区切ることで、私自身の心も少し落ち着きました。
家での過ごし方ルール
休ませると決めたら、家での過ごし方を最低限決めておくのがおすすめです。我が家のルールは——
- 朝は起きる時間を決める(無理しない範囲で)
- 昼夜逆転はできるだけ避ける
- 食事は一緒に取る(無言でもOK)
- 勉強は強制しない(けれど学習環境は整える)
「ゆるい枠だけ作って、あとは見守る」――これが私が見つけた最適解でした。
担任の先生との関係構築(吉岡先生の柔軟な配慮)
不登校が長期化する場合、担任の先生との関係構築は本当に重要です。我が家の場合、息子が私立中学校から公立中学校に転校した際、転校先の吉岡先生がとても柔軟な対応をしてくださったことが大きな救いでした。
吉岡先生は、いきなり毎日の登校を求めるのではなく、まず「週1回・10分だけプリントを取りに来る」というハードルの低い提案をしてくださいました。他の生徒と顔を合わせない時間帯を選んでくださり、プリント取りだけの登校でも出席扱いとしてカウントしてくれた。これが息子の心に与えた安心感は計り知れません。
その後、息子は徐々に保健室登校ができるようになり、最終的には体調がいい日は教室にも入れるようになりました。担任の先生の柔軟な配慮があるかないかで、回復のペースは大きく変わります。
担任の先生に伝えるときのコツ
担任の先生に「無理のない範囲で」と伝えるときは、感情的にお願いするより、具体的な提案ベースで話すと前向きに進みやすいです。たとえば——
- 「週1回・10分だけプリント取りから始められないでしょうか」
- 「他の生徒と会わない時間帯(早朝や放課後)に対応していただけませんか」
- 「出席扱いの形にしていただけると、息子の心の支えになります」
こちらから具体案を出すことで、先生も動きやすくなります。
出席扱い制度を知った経緯――もっと早く知っていれば
私が「出席扱い制度」の存在を知ったのは、不登校が始まってから数か月後のことです。「もっと早く知っていれば」というのが、最大の後悔の一つです。
出席扱い制度とは、不登校の児童生徒が自宅でICT教材等を使って学習した場合、一定の条件を満たせば学校の出席として認められる仕組みのこと。文部科学省が2019年に通知しています。
我が家は最終的に申請までは行いませんでしたが、「いざとなれば申請という道がある」と知っているだけで、親の心の余裕は全然違います。学校に行けない日が続いても、自宅学習が出席日数として記録される可能性があると思えば、不安が大きく減ります。
制度の詳しい内容や条件は、本拠地記事「不登校の出席扱い認定の条件・やり方」にまとめていますので、不登校最初の1週間のうちに、ぜひ目を通してみてください。「知っているだけ」が大きな心の支えになります。
我が家が選ばなかった選択肢(フリースクール/カウンセリング即受診)
不登校最初の1週間で「やらなかったこと」も書いておきます。我が家の場合、フリースクールやカウンセリングへの即受診はしませんでした。
フリースクールを選ばなかった理由
フリースクールは月3〜5万円の費用がかかります。シングルマザーの家計には大きな負担で、「合うかどうかも分からない場所に月数万円は投資できない」のが正直な感覚でした。
また、息子自身が「新しい場所に行くのも怖い」と感じていたので、まず家で立て直す方を優先しました。フリースクールが合う子もいるので、お子さんの状態に応じて検討してみてください。
カウンセリング即受診を選ばなかった理由
「子どもがカウンセリングに行きたがらない」というのが現実でした。無理にカウンセリングに連れて行っても、本人が話す気がなければ意味がありません。
後日、市の発達障害相談に私自身が一人で相談に行きました。担当の方に状況を打ち明けた時、「お母さん、頑張ってるね」と言ってもらえた。親が先に相談ルートを持つのも、不登校対応の一つの形だと思います。
1週間後に決めた「自宅学習+進研ゼミ」への道
不登校開始から1週間が経った頃、私は次の方針を決めました。「自宅で学習を継続する仕組みを作る」――これが当時の最重要課題でした。
選択肢は、家庭教師・通信講座・タブレット型学習教材・市販の問題集など。我が家は最終的に進研ゼミ中学講座のハイブリッドスタイルを選びました。月額約8,000円で、紙の管理が苦手な息子にもタブレット完結型が合っていたからです。
結果として息子は、中学3年生の4月から始めた進研ゼミで約1年間学習を続け、公立高校に合格しました。「学校に行けないことと、学べないことは違う」――これが我が家の不登校期に得た最大の気づきです。
通信講座選びの詳細は出席扱いランキング3選+不登校中学生におすすめの通信講座5選で詳しくまとめています。
もし1週間前の自分にアドバイスできるなら――5つのこと
もし不登校が始まる前の自分に戻れるなら、こうアドバイスします。
- 「無理に行かせない」を最初から決めておく――数日無理させたことを今でも後悔しています
- 出席扱い制度の存在を知っておく――知っているだけで親の心の余裕が違います
- 担任の先生と早めに具体的提案ベースで話す――「週1プリント取り」のような小さな案から始める
- 身体面の確認(医療機関)を早めに――起立性・甲状腺・精神面など、原因の可能性を排除しておく
- 自宅学習の仕組みを早めに整える――学校に戻れなくても、学びは止めない選択肢を持つ
そして何より、「一人で抱え込まない」。シングルマザーなら特に、信頼できる友人や相談機関に状況だけでも話すことが、自分自身を守ることにつながります。
不登校最初の1週間は、親にとっても本当に苦しい時間です。でもこの1週間の動き方が、その後の道を作ります。焦らず、お子さんと一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。
- 不登校最初の1日は何も決めなくていい——お子さんも自分も深呼吸する時間
- 3日間でやってよかった3つ:①学校状況共有/②医療機関相談/③家族との情報共有
- 4日目以降の決断:無理に行かせない・休ませる選択の意味・家での過ごし方ルール
- 担任の先生と具体的提案ベースで話す(吉岡先生の柔軟配慮の例)
- 出席扱い制度を「知っているだけ」で親の心の余裕が違う
- 1週間後にやってよかった:自宅学習の仕組みを整える(進研ゼミでの実体験)


コメント