「塾に入れれば成績が上がるはず」——そう信じて入塾させた結果、息子は塾でも「浮いた存在」になりました。
集団授業で45分間じっと座れない。板書を写す前に先生が次に進む。周りの生徒が解き終わっているのに、まだ問題文すら読めていない。
それでも息子は「集団塾に行きたい」と言いました。中学受験の時に大勢の仲間と競い合いながら学んだ経験が、彼にとって楽しい記憶として残っていたからです。
この記事では、入塾テストに3回落ちた息子が通信講座に切り替えた結果、どう変わったかをお話しします。
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入塾テストに3回落ちた日のこと
高校受験に向けて、息子自身の希望で3つの集団塾の入塾テストを受けました。しかし英語の点数が足りず、結果はすべて不合格。友達と一緒にワイワイ勉強したかった息子にとって、塾という居場所まで失うことは大きな挫折でした。
▼ 入塾テスト3回不合格の詳しいエピソードはこちらの記事に書いています
勉強への意欲が消えていった
3つの塾に拒まれた息子は、すっかり勉強への意欲をなくしていきました。「自分は全然勉強ができない子なんだ」——それまで「賢い」と言われ続けてきた子の口から、そんな言葉が出てくるようになったのです。
ただ、心のどこかに小さな火はまだ残っていました。「本気で集中すれば、良い高校にだって行ける」。中学受験で必死に頑張り、合格を勝ち取った成功体験が、息子の中でかすかな自信として生き続けていたのです。
問題はその火をどう活かすか。起立性調節障害で生活リズムが崩れ、夕方まで寝ていることもある息子。気分が乗らなければ塾を休む。月4万円の月謝を払っても、半分は欠席——シングルマザーの家計には、あまりにも大きな負担でした。
通信講座との出会い——時代は変わっていた
正直に言えば、「通信講座」と聞いた時、私の頭に浮かんだのは自分が中学生だった頃の分厚い紙のテキスト。届いても開かず積み上がっていく教材のイメージでした。
ところが調べてみると、今の通信講座はAIを活用した個別最適化が当たり前。タブレットで直感的に学べるコンテンツが充実していて、私が知っていた通信講座とは別物でした。塾に通えなくても、自宅で質の高い学びができる時代になっていたのです。
通信講座選びの試行錯誤
通信講座に可能性を感じた私は、いくつか試してみました。Z会のお試し教材を息子にやらせたところ、30分で「ムズカシイ!」と投げ出してしまいました。難関校向けのZ会は息子には合わなかった。最終的に進研ゼミを選んだのは、幼稚園の頃にも取っていた親近感と、タブレット中心ながらテキストもついてくるバランスの良さ、そして月額約6,990円〜(12ヶ月一括払いの場合。毎月払いだと約8,000円前後)という続けやすい価格が決め手でした。
内申点という壁
塾にも通えない、学校にも行けない——その間にも容赦なく突きつけられたのが内申点の問題でした。不登校だった息子の通信簿にはハイフン(判定不能)が並んでいました。塾で「最近は私立高校も内申点で合否を評価する」と聞いた時、目の前が真っ暗になりました。公立も私立も行く場所がなくなる——息子が社会からはみ出されたような気持ちでした。息子が学校に行けた日は気分が明るくなり、休んだ日は寝込むほど落ち込む。出席に一喜一憂しながら、通信講座という一筋の光にすがるような日々でした。
なぜADHDの子は塾についていけないのか
45分間「じっと聞く」ができない
ADHDの子にとって、興味のない授業を45分間聞き続けることは身体的な苦痛に近い。息子は塾の授業中、貧乏ゆすりが止まらず、隣の子に迷惑をかけていました。
ペースが合わない
集団授業は「平均的な生徒」に合わせて進みます。ADHDの子は理解のスピードにムラがある。得意な単元は一瞬で理解するのに、苦手な単元は何度聞いても入ってこない。この凸凹に、集団授業は対応できません。
宿題を「やってくる」ができない
塾の宿題を出し忘れる。出されたことすら覚えていない。これはADHDの実行機能の問題ですが、塾の先生には「やる気がない」と見られてしまいます。
通信講座に切り替えて起きた5つの変化
① 「座っていられない」問題が消えた
通信講座は1回15分。15分なら、息子でも集中が持ちます。終わったら自由。「あと何分…」と時計を睨む苦痛から解放されました。
② 自分のペースで「わかるまで」繰り返せる
塾では一度聞き逃したら置いていかれる。通信講座なら、わからない動画を何度でも巻き戻せます。息子は数学の解説動画を3回見てようやく理解する、ということもありましたが、それでいい。
③ 得意な教科をどんどん先に進められる
ADHDの過集中が「良い方向」に働いたケースです。理科が好きな息子は、通信講座の理科を学年を超えて先取りしていました。塾ではありえない自由度です。
④ 「人と比べられる」ストレスがなくなった
塾では常に隣の子と比較される環境。自分だけ解けない焦り、置いていかれる屈辱感。通信講座なら自分vs教材の1対1。誰にも見られず、恥ずかしさを感じずに学べます。
⑤ 月謝が塾の1/3以下になった
塾は月2〜5万円。季節講習を入れると年間50万円以上。シングルマザーの我が家には大きな負担でした。通信講座は月数千円。浮いたお金で息子の好きなギターの弦を買ってあげられるようになりました。
塾が向いている子、通信講座が向いている子
塾が向いている子:集団の中で刺激を受けて伸びるタイプ。45分間の授業に集中できる。競争心がある。
通信講座が向いている子:自分のペースで進めたい。集中時間が短い。人と比べられるとやる気を失う。ADHDの特性がある子は、ほぼ確実にこちら。
そして高校生になった息子
あれから息子は通信講座で力をつけ、高校に進学しました。入学して1ヶ月が経った頃、「学校どう?」と聞くと「今までで一番楽しい」と返ってきました。中学で友達との辛い別れを経験した息子は、入学初日から積極的にクラスメイトに話しかけ、1週間で一緒に帰る友達ができたそうです。夜も自分から早く寝るようになり、処方薬も毎日飲むようになった。3つの塾に拒まれたあの日が嘘のように、息子は自分の居場所を見つけてくれました。
この子の可能性を、学び方で潰さないために
塾に通えないことは「落ちこぼれ」ではありません。学び方が合っていなかっただけです。
3つの塾に拒まれたあの日、息子の居場所はどこにもないように思えました。でも通信講座という選択肢が、息子に「自分のペースで学んでいい」という安心感を与えてくれました。
息子は好きなことには驚異的な集中力を発揮します。料理、ギター、筋トレ——どれも自分で決めて、自分のペースで極めていった。勉強だって、同じ条件を整えてあげれば伸びる。通信講座は、その「条件」を整えてくれるツールでした。


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