塾についていけなかったADHDの中学生が通信講座に変えて変わったこと

記事ID:354 塾についていけなかったADHDの中学生が変わった アイキャッチ(caseE版) ADHD・発達障害と向き合う

「塾に入れれば成績が上がるはず」——そう信じて入塾させた結果、息子は塾でも「浮いた存在」になりました。

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みっこどれを選ぶかって、本当に家ごとに違うんだよね。

集団授業で45分間じっと座れない。板書を写す前に先生が次に進む。周りの生徒が解き終わっているのに、まだ問題文すら読めていない。

それでも息子は「集団塾に行きたい」と言いました。中学受験の時に大勢の仲間と競い合いながら学んだ経験が、彼にとって楽しい記憶として残っていたからです。

塾では英語の壁に阻まれ、通信講座に切り替えたことが転機になりました

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入塾テストに3回落ちた日のこと

集団塾の入塾テストには不合格でした。塾という居場所まで失った痛みは大きかった(入塾テストに落ちた話)。

▼ 入塾テスト3回不合格の詳しいエピソードはこちらの記事に書いています

3つ目の不合格を告げた夜、息子は何も言わずに部屋に戻りました。私はリビングで1人、テーブルに突っ伏したまま動けなかった。「塾がダメなら、もう誰がこの子の勉強を見てくれるんだろう」。シングルマザーの私には、勉強を教えてあげる時間も余裕もない。学校は不登校で頼れない。塾にも断られた。息子の勉強を見てくれる大人が、この世界のどこにもいなくなった気がしました。

高齢の両親に「孫が塾にも入れなかった」なんて言えるわけがない。心配をかけたくなくて、誰にも相談できなかった。スマホで「ADHD 塾 入れない」と検索しては、同じ境遇のお母さんのブログを読み漁る深夜。画面がにじんで文字が読めなくなっていることに、しばらく気づきませんでした。

勉強への意欲が消えていった

3つの塾に拒まれた息子は、すっかり勉強への意欲をなくしていきました。「自分は全然勉強ができない子なんだ」——それまで「賢い」と言われ続けてきた子の口から、そんな言葉が出てくるようになったのです。

3回目の不合格の夜、息子は部屋に戻って何も言わなかった。翌朝、いつも欠かさないお風呂に入っていないことに気づきました。その翌日も。清潔好きの息子が身だしなみすら気にできないほど、心が折れていたのです。「僕、何やってもダメなんだ」——そうは口にしなかったけれど、背中がそう語っていました。

ただ、心のどこかに小さな火はまだ残っていました。「本気で集中すれば、良い高校にだって行ける」。中学受験で必死に頑張り、合格を勝ち取った成功体験が、息子の中でかすかな自信として生き続けていたのです。

問題はその火をどう活かすか。起立性調節障害で生活リズムが崩れ、夕方まで寝ていることもある息子。気分が乗らなければ塾を休む。月4万円の月謝を払っても、半分は欠席——シングルマザーの家計には、あまりにも大きな負担でした。

塾を続けさせるべきか迷っていた時、息子からこう言われました。

息子からのLINE しんどい子供を塾に送り出すのが親

「しんどい子供を塾に送り出すのが親なんだね」——たった一行のLINEでしたが、胸に刺さりました。辛いのは息子のほうだった。この言葉がきっかけで、塾に通わせることを諦め、別の方法を探し始めました。

同じ悩みを抱えているお母さんに正直に打ち明けます。ADHDグレーゾーンの息子が目の前で勉強している姿を見ているのは、想像以上にしんどいことでした。

数学の問題集を開いたと思ったら、30分かけて1問しか解いていない。よく見ると、シャーペンの芯を出したり引っ込めたりしているだけ。「集中して」と言っても意味がないことは頭では分かっている。でも横で見ていると、つい口が出そうになる。いや、口だけじゃない。手が出そうになる自分がいて、その自分がこわかった。

プリントは名前だけ書いて残りは真っ白。ペンを分解しては組み立てて、輪ゴムを指に巻いて遊び始める。部屋の床には脱いだ服が地層のように積み重なっていて、「片づけて」と言えば一応やるものの、翌日にはまた同じ状態。そのたびに「この子は怠けているんじゃない、特性なんだ」と自分に言い聞かせました。でも頭で理解することと、心で受け入れることは全然違います。何度言い聞かせても、ため息が漏れる。そのため息を息子が聞いていないか、いつもびくびくしていました。

ケアレスミスの多さも中学受験の頃から顕著でした。問題を解き忘れていても空白に気づかない。聞かれていることと違う答えを書いている。「プリントはクリアファイルに入れてね」と何度言っても、それすら続けられない。1時間かかる課題を「10分でできる」と本気で言うなど、時間の見積もりが根本的にずれているのも特徴的でした。こうした場面に直面するたびに、「やっぱりこの子は何かの特性を持っている」という確信が深まっていきました。

通信講座との出会い——時代は変わっていた

正直に言えば、「通信講座」と聞いた時、私の頭に浮かんだのは自分が中学生だった頃の分厚い紙のテキスト。届いても開かず積み上がっていく教材のイメージでした。

ところが調べてみると、今の通信講座はAIを活用した個別最適化が当たり前。タブレットで直感的に学べるコンテンツが充実していて、私が知っていた学習サービスとは別物でした。塾に通えなくても、自宅で質の高い学びができる時代になっていたのです。

通信講座選びの試行錯誤

Z会も試しましたが、息子には合いませんでした(Z会の体験レビューはこちら)。

進研ゼミに決めた日、私はホッとしたのではなく、むしろ不安で押しつぶされそうでした。「本当にこれでよかったのか」。塾なら先生がいる。分からないところを質問できる。でもこの教材は、基本的に1人。ADHDグレーゾーンで集中が続かない息子が、タブレット1台で勉強を続けられるとは正直思えなかった。

友達のお母さんに「塾どこ通ってるの?」と聞かれるのも怖かった。「通信講座にした」と言えば、きっと「ああ、塾に入れなかったんだ」と思われる。見栄ではなく、息子が周りの子と比べられることが嫌だったのです。でも本当は、一番比べていたのは私自身だったのかもしれません。

内申点という壁

塾にも通えない、学校にも行けない——その間にも容赦なく突きつけられたのが内申点の問題でした。不登校だった息子の通信簿にはハイフン(判定不能)が並んでいました。塾で「最近は私立高校も内申点で合否を評価する」と聞いた時、目の前が真っ暗になりました。公立も私立も行く場所がなくなる——息子が社会からはみ出されたような気持ちでした。息子が学校に行けた日は気分が明るくなり、休んだ日は寝込むほど落ち込む。出席に一喜一憂しながら、教材という一筋の光にすがるような日々でした。

なぜADHDの子は塾についていけないのか

45分間「じっと聞く」ができない

ADHDの子にとって、興味のない授業を45分間聞き続けることは身体的な苦痛に近い。息子は塾の授業中、貧乏ゆすりが止まらず、隣の子に迷惑をかけていました。

ペースが合わない

集団授業は「平均的な生徒」に合わせて進みます。ADHDの子は理解のスピードにムラがある。得意な単元は一瞬で理解するのに、苦手な単元は何度聞いても入ってこない。この凸凹に、集団授業は対応できません。

宿題を「やってくる」ができない

塾の宿題を出し忘れる。出されたことすら覚えていない。これはADHDの実行機能の問題ですが、塾の先生には「やる気がない」と見られてしまいます。

通信講座に切り替えて起きた5つの変化

① 「座っていられない」問題が消えた

自宅学習は1回15分。15分なら、息子でも集中が持ちます。終わったら自由。「あと何分…」と時計を睨む苦痛から解放されました。

通信講座に切り替えた初日のことは、今でもはっきり覚えています。息子がタブレットを開いた瞬間、私は別の部屋に移動して、ドア越しに息を止めて聞き耳を立てていました。操作音がしばらく続いて、「ピンポーン」という正解音が鳴った時——大げさに聞こえるかもしれないけど、生き返るような気持ちでした。

最初の1週間、息子は毎日タブレットに向かっていました。1日30分。それだけで十分だと自分に言い聞かせながらも、「塾に通っている子は毎日2時間勉強している」という事実が頭をよぎる。「やっぱり塾の方がよかったんじゃないか」。その考えが何度も浮かんでは消えました。

でも2日目に息子が「これ、けっこう分かりやすい」とぽつりと言ったのです。塾に通っていた時には一度も聞いたことのない言葉でした。それを聞いた瞬間、揺れていた気持ちが少しだけ落ち着いた。この子には、この方が合っているのかもしれない。そう思えた最初の瞬間でした。

② 自分のペースで「わかるまで」繰り返せる

塾では一度聞き逃したら置いていかれる。教材なら、わからない動画を何度でも巻き戻せます。息子は数学の解説動画を3回見てようやく理解する、ということもありましたが、それでいい。

塾は「決まった時間に決まった場所で授業を受ける電車通勤」。この教材は「自分のペースで走れるランニング」。不登校の子に満員電車のダイヤを守らせるのがどれだけ苦痛か——走りたい時に走れる環境こそ、息子には必要でした。

③ 得意な教科をどんどん先に進められる

ADHDの過集中が「良い方向」に働いたケースです。理科が好きな息子は、通信講座の理科を学年を超えて先取りしていました。塾ではありえない自由度です。

④ 「人と比べられる」ストレスがなくなった

塾では常に隣の子と比較される環境。自分だけ解けない焦り、置いていかれる屈辱感。自宅学習なら自分vs教材の1対1。誰にも見られず、恥ずかしさを感じずに学べます。

⑤ 月謝が塾の1/3以下になった

塾は月2〜5万円。季節講習を入れると年間50万円以上。シングルマザーの我が家には大きな負担でした。家庭学習は月数千円。浮いたお金で息子の好きなギターの弦を買ってあげられるようになりました。

塾が向いている子、通信講座が向いている子

塾が向いている子:集団の中で刺激を受けて伸びるタイプ。45分間の授業に集中できる。競争心がある。

通信講座が向いている子:自分のペースで進めたい。集中時間が短い。人と比べられるとやる気を失う。ADHDの特性がある子は、ほとんどにこちら。

そして高校生になった息子

あれから息子は家庭学習で力をつけ、高校に進学しました。

高校に入ってからの息子は「まあまあいい感じ」と穏やかに笑っていました。すぐに友達もでき、以前とは別人のように毎日を楽しんでいます。

私の場合——入塾テストに3回落ちた日、息子の目から光が消えていくのを見るのが一番辛かった。友達と同じ塾に行きたかった息子のプライドはズタズタだったと思う。でも塾に行けなかったから、教材に出会えた。

この子の可能性を、学び方で潰さないために

塾に通えないことは「落ちこぼれ」ではありません。学び方が合っていなかっただけです。

3つの塾に拒まれたあの日、息子の居場所はどこにもないように思えました。でも通信講座という選択肢が、息子に「自分のペースで学んでいい」という安心を与えてくれました。

息子は好きなことには驚異的な集中力を発揮します。料理、ギター、筋トレ——どれも自分で決めて、自分のペースで極めていった。勉強だって、同じ条件を整えてあげれば伸びる。家庭学習は、その「条件」を整えてくれるツールでした。1回15分で完結するから集中が途切れない。解いたらすぐに○×がつくからADHDの脳の報酬系が満たされる。そしてタブレットだからプリントをなくす心配もない——ADHDの特性に合わせて設計されたかのような学習環境でした。

みっこの本音——塾についていけなかった息子が教えてくれたこと

ADHDの子に「みんなと同じ場所で、同じペースで学べ」は無理がありました。でもそれに気づくのに、3回の不合格と何度もの喧嘩が必要だった。家庭学習に変えてから息子の表情が変わったのを見て、学び方を変えるだけでこんなに違うのかと驚きました。

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この記事のポイント
  • 入塾テストに3回落ちた日のこと
  • 勉強への意欲が消えていった
  • 通信講座との出会い——時代は変わっていた
  • なぜADHDの子は塾についていけないのか
  • 通信講座に切り替えて起きた5つの変化
焦らず、お子さんと一緒に選んでみてくださいね。
ADHD・発達障害と向き合う
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みっこ
この記事を書いた人

シングルマザーとして、不登校・起立性調節障害・ADHDの息子と歩んできました。中3の4月に始めた通信講座(進研ゼミ)をきっかけに、約1年後に高校合格。同じように悩んでいる親御さんに「あなただけじゃないよ」と伝えたくてこのサイトを作りました。

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