お子さんが不登校になって、毎日ゲームやスマホばかり触っていると「このままで大丈夫なのだろうか」と不安になりませんか?
私もそうでした。部屋にこもって画面を見続ける息子を見て、何度も声をかけたくなりました。でもあるとき、思いもよらないきっかけで息子は変わり始めました。
この記事では、不登校だった息子がTikTokの料理動画をきっかけに「料理男子」へと成長していった実体験をお伝えします。
不登校中の息子の1日
公立中学校に転校した息子は、中学2年生の1学期まで完全不登校の時期がありました。
朝は起きられず、昼過ぎにようやく布団から出てくる。リビングには降りてこず、自分の部屋でゲームを始める。飽きたらYouTubeを延々と眺め、またゲームに戻る。夜は友達とオンラインで繋がってLINE通話しながらゲーム。深夜2時、3時まで起きていて、朝また起きられない——その繰り返しでした。
正直に言えば、息子の1日に「意味」を感じられない日々でした。何もしていない。何も進んでいない。親である私は、その光景を見るたびに胸の奥がざわつくような焦りを覚えていました。
「勉強しなさい」と言えば怒鳴り返される。でも黙って見ていると自分の中の不安がどんどん膨らんでいく。あの頃の私は、息子とどう向き合えばいいのか完全に見失っていました。
TikTokの料理動画がきっかけだった
ある日のことです。珍しく息子が台所に降りてきて、こう言いました。
「レンジで茶碗蒸し作りたいんだけど、卵ある?」
唐突すぎて、最初は何を言っているのか理解できませんでした。聞けば、TikTokで見た「レンジだけで作れる茶碗蒸し」の動画を真似したいとのこと。
スマホの画面を見せてくれましたが、たしかに簡単そうな手順が短い動画にまとまっています。息子の目はいつもと少し違って、ワクワクしているように見えました。
でも私の心の中では「また3日で飽きるだろうな」と冷めた気持ちがありました。だってそれまでも「ギター弾きたい」「筋トレする」と言っては続かないことがあったのですから。
とりあえず「いいよ、やってみたら」とだけ答え、口を出さずに見守ることにしました。
茶碗蒸しからビーフジャーキーへ——驚きの進化
レンジで作った茶碗蒸しは、正直なところ微妙な出来でした。でも息子は「次はもっとうまく作る」と言って、翌日も台所に立っていました。
3日で終わるどころか、息子の料理はどんどんエスカレートしていきました。
レンジ茶碗蒸し → エビとブロッコリーの中華風あんかけ → 生地から手作りするピザ → チョコレートの焼き菓子 → そしてまさかのビーフジャーキー。
コーヒーは豆から自分で挽いて淹れるようになり、麺は粉から手打ちし始めました。
「え、ビーフジャーキーって家で作れるものなの!?」と思わず声が出た日のことは忘れられません。目が点になるとはこのことかと、呆気にとられました。
息子の料理で特徴的なのは、既製品を使いたがらないところです。ピザ生地もソースも全部自分で作る。「買った方が早いよ」と言っても「自分で作りたいから」と譲りません。
これは勉強に対する姿勢とも共通していると気づきました。息子は誰かに教わるより、自分で調べて自分のやり方で進めたいタイプなのです。熱中したことにはとことんのめり込む——その集中力は、方向さえ定まれば大きな力になるのだと感じました。
「ママの料理より自分で作った方がいい」
息子の料理スキルが上がるにつれて、困ったことが起き始めました。
「今日はハンバーグ作ろうか?」と聞くと、「いや、いい。自分で作る」と断られるのです。
親として少し複雑な気持ちでした。せっかく作ろうと思っていたのに、要らないと言われる。小さな寂しさがチクリと胸を刺すような感覚です。
でも思い返せば、息子は小学生の頃から「卵焼きは自分の方がうまい」と言い張る子でした。当時は笑って聞き流していましたが、その頃からすでに「自分で作ること」へのこだわりがあったのかもしれません。
母のプライドは少し傷つきます。でもそれ以上に、あんなに無気力だった息子が台所に立って何かを作っている——その事実の方がよほど嬉しかったのです。
友達が泊まりに来た日には、ペッパーライスを振る舞っていました。友達が「うまっ!」と喜んでいる声がリビングまで聞こえてきて、私は自分の部屋で静かにホッとしていました。あの頃、息子の友人関係が途絶えなかったことは本当に救いでした。
料理教室は断られた
息子が料理にハマっているなら、少しでも外に出るきっかけになるかもしれない——そう考えた私は、料理教室を提案してみました。
「近くに料理教室があるんだけど、行ってみない?」
返ってきた答えは即答でした。
「行かない。自分で調べて自分の好きなもの作りたいから」
正直、がっかりしました。外出のきっかけにしたかったのに、と。でも冷静になって考えれば、息子が料理教室を嫌がる理由は明白でした。
この子は、誰かに決められたメニューを指示通りに作ることが嫌なのです。自分のペースで、自分が食べたいものを、自分で調べて作る。それが楽しいのであって、先生に教わりたいわけではない。
その時、通信講座を選んだ理由とまったく同じだと気がつきました。塾のように誰かに管理されるのではなく、自分のペースで自分の弱点を潰していく——息子には「自分で学ぶ」スタイルが合っているのだと、料理を通じて改めて確信しました。
「自分のやり方で進めたい」というのは、わがままではなくこの子の大切な個性なのだと、ようやく心の底から理解できた瞬間でした。
反抗期の中で見えた「優しさ」
中学2年生の頃、息子の反抗期はまだ続いていました。部屋に入っただけで「勝手に入るな!」と怒鳴られ、ドアを物で塞がれることもある毎日です。
ある日、些細なことでまた怒鳴り合いの喧嘩になりました。お互いに傷つく言葉をぶつけ合って、私も感情が抑えきれず声を荒げてしまいました。
しばらくして、部屋のドアがそっと開く音がしました。
息子が黙ってマグカップを差し出してきたのです。
「……ママの好きな抹茶ラテ作ったから」
それだけ言って、また部屋に戻っていきました。
温かいマグカップを持つ手が小刻みに震えて、視界がぼやけました。あの子は口では何も言えないけれど、こうやって気持ちを伝えようとしているんだ——そう思ったら、喧嘩のことなんてどうでもよくなりました。
またある日、いつものように部屋に閉じこもっていた息子が、突然ドアを開けて私のところにやってきました。
「こんな料理作ったけど食べてみて」
数か月前まで部屋に入っただけで怒鳴っていた息子が、自分から持ってきてくれたのです。手には上手に盛り付けられた皿がありました。
料理は、息子なりの「ごめんね」であり「ありがとう」だったのかもしれません。言葉にできない感情を、作った料理に乗せて届けてくれていた——そう考えると、台所に立つ息子の後ろ姿がとても頼もしく見えました。
不登校の子の「好きなこと」を否定しないでほしい
「毎日ゲームばかりして!もっと有意義なことをしなさい!」と言いたくなる気持ちは、痛いほど分かります。私もそう思っていた時期がありましたから。
でもゲームの中から料理に興味を持ったように、一見くだらないと思えることの中に「好きなこと」の種が隠れているかもしれないのです。
息子の場合、料理 → ギター → 筋トレ → コーヒーと、好きなことはどんどん広がっていきました。どれも飽きるかと思いきや、意外と続いています。
ある日、息子が目をキラキラさせながらこう言いました。
「将来カレー屋やりたい」
不登校で引きこもっていた頃には想像もできなかった言葉です。将来のことを自分から口にするなんて、この子は確実に前を向き始めている——その確かな手応えに、私の胸は静かに満たされていきました。
好きなことに没頭できる力は、いつか必ず武器になります。偏差値では測れない幸せがあるのだと、息子が教えてくれました。「本気でやる気になれば勉強もできる」と自信を持っていた息子の言葉は、中学受験の成功体験があったからこそ。何かに本気で取り組んだ経験は、形を変えて生き続けるのです。
まとめ:「好きなこと」の種は、意外なところに落ちている
お子さんが不登校でゲームやスマホばかり触っていると、心配で夜も眠れない日があるかもしれません。「このままでいいのだろうか」「将来どうなるのだろう」と思っていませんか?
でもその画面の中に、お子さんが夢中になれる「何か」のヒントが隠れているかもしれません。
息子の場合、TikTokの料理動画がきっかけでした。もし私があの時「くだらない動画ばかり見て!」と否定していたら、息子は台所に立つことはなかったでしょう。
否定せず、見守ってあげてください。お子さんのペースで、お子さんの「好きなこと」が芽吹く日を、一緒に待っていてあげてほしいのです。
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