「母親の受験」と呼ばれる中学受験、シンママには無理ゲー?
中学受験は「親の受験」とよく言われます。特に母親の役割は大きく、スケジュール管理、塾の送迎、お弁当作り、テスト分析、メンタルケア──やるべきことは際限がありません。
両親がそろっていても大変なのに、シングルマザーがフルタイムで働きながら中学受験?正直、「無理ゲー」だと思いました。
でも私は、息子に「学力という財産」を残してあげたかった。親族がほぼ全員医師という環境で育った私にとって、教育は子どもへの最大の投資でした。40代シングルマザー、お金の余裕はない。でも覚悟だけはあった。
この記事では、私が実際に中学受験を乗り切った方法と、もし私がフルタイムを続けていたらどうしていたかという「もう一つのルート」を正直にお伝えします。
息子の視点|「ママは仕事ばっかり」の裏にあった本音
フルタイムで働いていた小4までの日々。息子は「ママは仕事ばっかり」と何度も言っていました。
朝は私より先に家を出る息子を見送ることもできず、帰宅すれば疲れ切った私がいる。学校であったことを話したくても、私は夕食の準備に追われて「ちょっと待ってね」と繰り返す日々。息子にとって、私は「いつも忙しそうなママ」だったのだと思います。
でも高校生になった息子が、ふとこう言ったことがありました。
「俺のために必死で働いてるの、小さい頃から分かってたよ」
あの「僕のことは後回しでいいよ」という言葉。あれは不満じゃなかったんです。必死に働く母親を、子どもなりに気遣っていた言葉だった。それを知った時、胸が詰まって何も言えませんでした。
息子は、お金を気にする子でした。外食に誘うと「ママ大丈夫なの?お金あるの?」と聞いてくる。靴屋では定価の靴には見向きもせず、半額セールの棚ばかり探している。シンママの苦労を、子どもは思っている以上に見ているのです。
私の選択:小5から仕事を減らし、小6は完全に休職
息子が小4の終わりに中学受験を決意してから、私は計画的に仕事を調整していきました。
小5:勤務時間を段階的に減らす
小5の段階で、まずフルタイムからパートタイムに切り替えました。塾の送迎と家庭学習のサポートを両立するためです。収入は大幅に減りましたが、「ここで中途半端にしたら全部が無駄になる」という危機感がありました。
小6:完全に仕事を辞めて貯金切り崩し
そして小6の1年間は、完全に仕事を辞めました。貯金を切り崩しながらの生活です。毎月通帳の残高が減っていくのを見るのは、精神的にかなり堪えました。
でも、6年生は受験の天王山。ここで手を抜けば、それまでの2年間が水の泡になる。「お金面で苦労はさせない。今は息子のために全力を尽くす」──その一心でした。
忘れられない小6の夏の出来事
仕事を辞める前、小6の夏にこんなことがありました。塾の夏期講習中に仕事の電話が入り、どうしても抜けられず、息子を迎えに行けなかったのです。しばらくして塾から「お迎えが来ません」と連絡が入り、慌ててタクシーで飛んでいきました。
帰りの車の中で、息子がぽつりと言いました。
「僕のことは後回しでいいよ」
その言葉が胸に刺さって、しばらく声が出ませんでした。小6の子どもにそんなことを言わせてしまっている自分が情けなくて、信号待ちの間にハンドルを握りしめて泣きました。この出来事が、仕事を辞める最後の決め手になったのです。
フルタイムと受験の両立|ある1日のリアルスケジュール
仕事を減らす前、フルタイム時代の平日スケジュールはこんな感じでした。
6:00 起床。弁当作り+朝食準備
6:45 息子を起こす。朝食を食べさせながら前日の暗記カードを一緒に確認
7:15 息子を送り出し、自分も出勤準備
8:30 出社。昼休みに塾の宿題範囲をLINEで確認
17:30 退社。ダッシュで塾の送迎へ
18:00 塾に送り届けた後、スーパーで買い物&夕食準備
21:00 塾にお迎え。車の中で今日やった内容を聞く
21:30 夕食&お風呂
22:30 息子就寝後、翌日の暗記カード作り+模試の分析
24:00 やっと自分の時間……でも疲れて気絶するように眠る
睡眠時間は平均5時間。土日は塾の模試や特訓講座の付き添いで消える。自分の体調管理なんて後回し。今振り返ると、あの2年間はよく体が持ったと思います。
私がやったサポート内容
仕事を辞めた1年間、私は息子の受験勉強にフルコミットしました。具体的にやっていたことを紹介します。
暗記カードの作成
社会や理科の暗記項目を、単元ごとにカードにまとめました。息子が勉強している横で、私がひたすらカードを作る。1日に30〜50枚作ることもザラでした。通学時間や寝る前のスキマ時間に繰り返し使えるので、効率よく定着させることができました。
テスト結果の分析と苦手分野のまとめ
模試やテストが返ってくるたびに、間違えた問題を単元ごとに分類しました。「割合の文章題が弱い」「歴史の並び替えが苦手」など、データとして見えるようにすることで、効率的に弱点を潰せます。
間違い問題ノート
息子が間違えた問題だけを集めた「間違いノート」を1冊作りました。同じ問題を何度も解き直すことで、「わかったつもり」を防ぎます。受験直前期にはこのノートが最強の武器になりました。
こうしたサポートは、正直フルタイムで働きながらでは難しいものでした。だからこそ私は仕事を辞める決断をしたのですが、すべての家庭がそうできるわけではないことも十分わかっています。
小6の塾代のリアル──年間100万円超えの内訳
中学受験で避けて通れないのが塾代です。6年生は最もお金がかかる1年。我が家のリアルな費用を公開します。
| 費目 | おおよその費用 |
|---|---|
| 通常授業料(月額×12ヶ月) | 約50〜60万円 |
| 夏期講習 | 約15〜20万円 |
| 冬期講習 | 約8〜12万円 |
| 特訓講座・志望校別対策 | 約10〜15万円 |
| 模試代(年6〜8回) | 約3〜5万円 |
| テキスト・教材費 | 約3〜5万円 |
合計:年間約100〜120万円
これに加えて、塾への交通費、夜食代、文房具代なども地味にかかります。貯金が減っていくストレスは相当なものでした。でも、「この1年だけ」と自分に言い聞かせて、覚悟を決めてサポートに徹しました。
フルタイムを続けながら中学受験する現実的な方法
私は仕事を辞める選択をしましたが、経済的にそれが難しい家庭のほうが多いはずです。もし私がフルタイムを続けていたら、こうしていただろうという方法をお伝えします。
通信講座を軸にする
Z会や進研ゼミなどの中学受験対応コースを活用すれば、塾に通う頻度を減らせます。基礎〜標準レベルは通信講座で固め、塾は志望校対策や模試だけ、という使い分けが現実的です。
タスクの取捨選択を徹底する
フルタイム勤務なら、「やらないことを決める」ことが最も重要です。
- 暗記カード作りは市販の教材やアプリで代替
- テスト分析は週末にまとめて実施
- 間違い問題ノートは子ども自身に作らせる(自立学習にもなる)
塾の送迎・弁当・スケジュール管理をどう回すか
- 送迎:自転車通塾可能な塾を選ぶ。または塾のオンラインコースを活用
- 弁当:週末に作り置き冷凍。コンビニおにぎり+おかずでも子どもは意外と大丈夫
- スケジュール:Googleカレンダーで塾・模試・提出物を一元管理。子どもにも共有
完璧にやろうとすると潰れます。「70点の伴走」を目指すくらいがちょうどいい。親が倒れたら元も子もありません。
通信講座・タブレット学習への不安|受験期の親が抱える疑問に答えます
「通信講座を検討しているけれど、不安がある」——そんな声を、同じシンママ仲間からよく聞きます。特にタブレット学習については、親として心配になるポイントがいくつかあります。実際に息子が進研ゼミのタブレット学習を使った経験から、正直にお答えします。
不安①:目の健康が心配(スマホ+タブレットで画面漬けにならない?)
これは私も最初に心配したことです。特に息子はスマホ依存気味だったので、「さらにタブレットまで?」と抵抗がありました。
でも実際に使ってみると、進研ゼミのタブレット学習は1回15分程度の学習設計になっていて、タイマー機能や休憩リマインダーが組み込まれていました。ダラダラ長時間画面を見続ける構造にはなっていないのです。「スマホ3時間」と「タブレット学習15分×3回」は、目への負担が全く違うと感じました。
不安②:進捗確認がしづらいのでは?
紙の教材だと「どこまでやったか」がパッと見で分かりますが、タブレットだと中身が見えない気がして不安ですよね。
実は、学習管理画面で親がリアルタイムに進捗を確認できる仕組みがありました。何の教科をどれだけやったか、正答率はどうか——仕事中でもスマホから確認できるので、むしろ紙の教材より「見える化」されていました。フルタイムで帰宅が遅い私にとっては、画面を開くだけで息子の学習状況が分かるのは本当に助かったのです。
不安③:YouTubeやゲームに逃げてしまうのでは?
これが一番怖かったポイントです。タブレットを渡したら、勉強じゃなくて動画を見始めるんじゃないか……と。
進研ゼミの学習専用タブレットは、余計なアプリが入っていません。YouTubeもゲームもインストールできない設計です。「勉強するための道具」として割り切れるので、親としても安心して渡せました。
中学受験後に後悔していること|もし通信講座を使っていたら
難関私立中学に合格した息子。でもその後、起立性調節障害で不登校になり、退学し、公立中学に転校して——想像もしなかった道を歩むことになりました。
今だから言える後悔があります。
もし中学受験期に通信講座をもっと活用していたら、私はもっと息子のそばにいられたかもしれない。
あの頃の私は、暗記カード作りやテスト分析に膨大な時間を費やしていました。横に座っているのに、息子の顔ではなく問題集を見ていた。「一緒にいる時間」はあったけれど、「息子と向き合う時間」は全然足りていなかったのです。
通信講座のAI学習なら、苦手分析も学習計画も自動で最適化してくれます。私が夜中まで模試の分析をする必要もなかった。その時間で息子の話を聞いたり、ただ一緒にテレビを見たりできたはずです。
息子が後に「親が話を聞いてくれなくて辛かった」と他の保護者に訴えていたことを知った時、あの必死だった受験期の「一方通行のサポート」が、親子のすれ違いの始まりだったのかもしれないと思いました。
受験サポートに全力を注ぐことは間違いではありません。でも、「作業を効率化して、空いた時間を子どもの心に使う」という選択肢があることを、あの頃の私に教えてあげたいです。
振り返って思うこと──あの1年は大変だったが後悔はしていない
結果として、息子は難関私立中学に合格しました。でも、その後の道は平坦ではありませんでした。起立性調節障害で不登校になり、最終的には退学して公立中学に転校。通信講座で学び直し、高校に合格するという、想像もしなかったルートをたどりました。
「あの1年間、あんなに必死にやった意味はあったのか?」──正直、そう思ったこともあります。
でも今は、後悔していません。
あの1年間で息子が身につけた「やればできるという自信」と「努力の仕方」は、不登校の時期を乗り越える力になりました。勉強の結果そのものより、一緒に戦った日々そのものが、息子と私の財産です。
今、息子は高校生。「医者じゃなくていい」と、自分の道を探しています。料理やギター、筋トレを楽しみながら、自分らしく生きている息子を見て、「偏差値=幸せではない」と心から思います。
フルタイムで働きながら中学受験に挑むシンママさん。完璧じゃなくていい。あなたが一生懸命なその姿を、お子さんはちゃんと見ています。
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