ADHDの特性があるかもしれない息子に、私はありとあらゆる勉強法を試しました。そして、ことごとく失敗しました。
今振り返ると、「良かれと思ってやったこと」の多くがADHDの特性と真っ向からぶつかっていた。知らなかったとはいえ、息子を追い詰めていたのは私自身だったのです。
この記事では、ADHDの中学生に対して親がやってはいけない5つの勉強法を、私の失敗談とセットでお伝えします。同じ過ちを繰り返さないでほしいから。
全部、私がやってしまったことです。今から書く5つのNG行動は、教科書に載っている一般論ではありません。実際に息子にやって、関係が悪化した実体験です。
📖 ADHDシリーズ|おすすめの読み順
▶ 他のADHD関連記事:グレーゾーンの学習サポート5選 / 塾から通信講座で変わったこと / 不注意型に合う通信講座比較 / 出席扱いになる通信講座 / グレーゾーンの公的支援
NG① ADHDの子を長時間机に縛りつける
私の失敗
「今日は3時間勉強するまで立ち上がるな」——テスト前によく言っていました。横に座って監視し、立ち上がろうとすると「まだでしょ!」と引き止める。
結果、息子は机に座っているだけで頭の中は完全にフリーズ。3時間の「勉強時間」のうち、実質的に集中できていたのはおそらく15分程度。残りは消しゴムをちぎったり、ペンを分解したり、輪ゴムを指に巻いてパチンと飛ばしたりしていました。
これは実際の息子の塾のノートです。小学6年生の頃のもの。

合格したい気持ちはあるのに、長時間の授業では集中力が途切れてこうなってしまう。黒板の内容を丁寧に写すことが、息子にはどうしてもできませんでした。
毎朝の準備もバタバタです。前日に持ち物を揃えておくことができず、家を出る直前になって必要なものを探し回り、結局遅刻する。中間テストや期末テストがいつ始まるか、今日何の科目のテストかすら分かっていない状態で挑んでいたこともあります。「なぜこの子はこんな基本的なこともできないのだろう」と最初は信じられませんでしたが、これがADHDの不注意型なのだと、身をもって理解していきました。
なぜダメなのか
ADHDの子は脳の報酬系の働きが違い、興味のないことに長時間集中すること自体が極めて困難です。「やる気がない」のではなく、脳がそう作られている。長時間拘束は苦痛を与えるだけで、学習効果はほぼゼロです。
さらに、ADHDには身体的な多動だけでなく「脳内多動」という特性もあります。体はじっとしていても、頭の中では次から次へと思考が飛んでいる。長時間座らせても、脳内多動のせいで実質的に集中できている時間はごくわずかなのです。脳内多動について詳しくはこちら
代わりにどうする?
15分勉強→5分休憩のサイクルを繰り返す。短く区切ることで集中が持続しやすくなります。通信講座の「1回15分」の設計は、まさにこの特性に合っています。
NG② 「なんでできないの?」と問い詰める
私の失敗
数百人いる生徒の中でうちの子だけが課題を出せていない。先生からそう聞かされた日、私は息子に詰め寄りました。「たった2文字の習字を書くだけなのに、なんで出せないの!?」
息子はうつむいて「ごめん」とだけ言いました。でも翌週もまた同じことが起きた。
なぜダメなのか
ADHDの子は「やりたくない」のではなく「取りかかれない」のです。脳の実行機能の問題で、簡単なタスクでも着手するハードルが異常に高い。「なんでできないの?」と聞かれても、本人にも理由が分からないのです。
冬の朝、布団から出られない感覚を想像してみてください。やらなきゃいけないのは分かっている、でも体が動かない。ADHDの子は宿題や課題に対して、それが毎回起きています。しかも意志の力では解決できないのです。
代わりにどうする?
「なんで」ではなく「どうすればできそう?」と聞く。一緒に手順を分解し、最初の一歩だけ隣で見守る。課題なら「まず道具を出すところまでやろう」と声をかけるだけで動き出せることがあります。
NG③ 「他の子はできてるよ」と比較する
私の失敗
私には兄と弟がいますが、二人とも中学時代は言われたことをきちんとこなすタイプでした。無意識にその基準で息子を見てしまい、「私の兄や弟の時代はこんなことなかった」と口にしたことがあります。
息子の顔から、一瞬で表情が消えました。あの顔は忘れられません。
なぜダメなのか
ADHDの子は日常的に「自分だけができない」経験を積み重ねています。参観日に自分の机だけがぐちゃぐちゃ。自分だけが課題を出せていない。すでに十分すぎるほど比較されているのです。親からまで比較されたら、自己肯定感は地に落ちます。
NG④ ご褒美で釣ろうとする
私の失敗
「テストで80点取ったらゲーム買ってあげる」——典型的なニンジン作戦。最初は少しやる気を見せましたが、3日で元通り。報酬が目の前にあっても、勉強への集中が持続しないのです。
なぜダメなのか
ADHDの子は「遠い報酬」のためにモチベーションを維持することが苦手です。1ヶ月後のテスト結果より、今目の前にあるギターのほうが脳にとっては圧倒的に魅力的。息子はテスト前日の夜中に突然「ラーメンのスープを一から作りたい」と鶏ガラを煮込み始めたことがあります。テストより「今やりたいこと」が常に勝ってしまうのです。別の日にはテスト前日にわざわざギターの体験レッスンを予約してきたこともあります。「今じゃなくてもいいのに…」と思うことが何度あったか分かりません。ご飯を食べ始めたタイミングで突然別の料理を作り始めるなど、優先順位を頭の中で組み立てること自体が苦手なのだと気づきました。報酬は「今すぐ」「小さく」「頻繁に」が原則です。
NG⑤ 感情的に怒鳴って勉強させる
私の失敗
夜中まで宿題が終わらない息子に、何度も声を荒げました。すると息子は衝動的に家を飛び出しました。深夜の住宅街を、靴も履かずに走り出した息子の後ろ姿。あの時の恐怖と後悔は、一生消えません。
怒鳴ったところで勉強が進むわけがない。むしろ、息子の衝動性に火をつけてしまっただけでした。
なぜダメなのか
ADHDの子は感情のブレーキが弱い特性があります。親の感情的な対応が引き金となり、衝動的な行動(家出、物を壊す等)につながるリスクが高い。
「賢い子」だったはずなのに
5つの失敗を重ねていた頃、私を追い詰めていたのは周囲とのギャップでした。小学生時代の息子は成績トップクラスだっただけに、不登校で勉強が止まってしまった現実を受け入れられなかった。焦りの中で、間違った勉強法を押し付けてしまっていたのです。
私の場合——この5つのNG、全部やりました。長時間座らせて、「なんでできないの」と問い詰めて、他の子と比べて、ご褒美で釣って、最後は怒鳴った。全部逆効果でした。5つ全部失敗してからやっと「やり方を変えなきゃ」と気づいた。遅かったけど。
失敗から学んだ「ADHDの子に合う勉強法」
5つの失敗を経て気づいたのは、ADHDの子には「脳の特性に合わせた環境」が必要だということ。長時間の拘束ではなく短時間集中、管理ではなく自主性、比較ではなくその子のペースを尊重する学び方に切り替えたことで、息子は変わり始めました。
💡 ADHDの子が家庭学習で変わった体験記
あの失敗の先にあったもの
たくさん失敗して、たくさん悩んだ末に、息子は自分に合った学び方を見つけ、高校に進学しました。
高校に入り「普通に楽しいよ」と自然体で話すようになった息子。薬の管理も自分でこなし、着実に大人へと近づいていました。
ADHDの中学生の未来のために、今できること
ADHDの特性は消えません。大人になっても付き合っていくものです。だからこそ、中学生の今、「自分に合った学び方」を見つけることが、将来の財産になる。
この子が社会に出たとき、「自分はこうすればうまくいく」という方法を知っているか知らないかで、人生は大きく変わります。
私の失敗が、同じ悩みを持つお母さんの参考になれば幸いです。
みっこの本音——5つ全部やらかした母より
この記事に書いたNG、全部私の実体験です。恥ずかしいけど、同じことをしてしまっているお母さんがいたら「私もそうだったよ」と言いたい。やり方を変えたら息子は変わった。遅くても変えられる。その証拠がうちの息子です。
- NG① ADHDの子を長時間机に縛りつける
- NG② 「なんでできないの?」と問い詰める
- NG③ 「他の子はできてるよ」と比較する
- NG④ ご褒美で釣ろうとする
- NG⑤ 感情的に怒鳴って勉強させる
- 失敗から学んだ「ADHDの子に合う勉強法」
- ADHDの中学生の未来のために、今できること


コメント