息子が全日制私立高校を希望した時の不安
息子が高校受験を迎えた時、「全日制の私立高校に行きたい」と言いました。
正直に言うと、最初に頭をよぎったのは「学費、払えるかな…」という不安でした。
私は40代のシングルマザー。息子が幼稚園の時に離婚し、一人で育ててきました。中学受験の時に貯金を大きく切り崩し、その後は不登校や退学など想定外の出来事が続き、経済的な余裕はほとんどありませんでした。
私立高校の学費は年間60~100万円。3年間で200~300万円。母子家庭にとって、決して小さな金額ではありません。
でも、不登校を乗り越えて「この高校に行きたい」と自分の意志で言った息子の気持ちを、お金を理由に潰したくなかったのです。
結論から言えば、国や自治体の支援制度をフル活用することで、私立高校の学費負担は大幅に軽減できます。実際に我が家が使った制度と、リアルな費用を公開します。
学費の通知を見た夜、眠れなかった
私立高校の合格が決まった日、嬉しさと同時に胸を締めつけたのは、入学案内に同封されていた学費の通知書でした。
入学金、施設費、制服代……一つひとつの数字を指でなぞりながら、電卓を叩く手が震えました。中学の時点ですでに教育費に400万円以上を使っていた私にとって、この先3年間の金額は途方もなく感じられたのです。
もし高校でうまくいかなくて通信制に切り替えることになったら、通学コースだと無償化の対象から外れて年間100万円近くかかるケースもある──説明会で聞いた話が頭をよぎり、どちらに転んでもお金がかかるという現実に、布団の中で天井をじっと見つめていました。
それでも息子には「大丈夫だよ、心配しなくていいからね」と笑って見せました。あの夜、自分についた嘘の重さは、今でも忘れられません。
お金の心配をする息子を見て胸が痛かった
息子は母親の家計を敏感に感じ取り、焼肉に誘えば「お金大丈夫?」と心配し、靴屋では半額セールのものしか見ようとしない子でした。「高校に入ったらバイトするから、お小遣いはもういらないよ」と繰り返す息子の優しさが、胸に刺さりました。だからこそ、使える制度は全部使って息子の進路を守ろうと覚悟を決めたのです。
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高等学校等就学支援金制度(国の制度)
まず知っておくべきは、高等学校等就学支援金です。これは国の制度で、高校の授業料を支援してくれます。
制度の概要
- 対象:全日制・定時制・通信制の高校に通う生徒
- 支給額:年額118,800円(公立高校相当額)
- 私立高校の加算:世帯年収目安590万円未満の場合、年額最大396,000円に増額
- 所得制限:世帯年収目安910万円以上は対象外
母子家庭の場合、多くの方が年収590万円未満の区分に該当します。つまり、年間約40万円の授業料支援を受けられる可能性が高いのです。
私立高校の授業料が年間40~50万円の場合、就学支援金でほぼ全額カバーできることもあります。これを知っているかいないかで、進路選択の幅がまったく変わってきます。
私立中学では年間約100万円の学費を全額自己負担していたことを思うと、高校で無償化制度が使えるというのは、本当に大きな安心材料でした。
申請の注意点
- 入学後に学校を通じて申請(入学時に案内あり)
- マイナンバーの提出が必要
- 毎年度、収入状況の届出が必要(更新手続き)
- 返済不要(給付型)
高校生等奨学給付金(授業料以外の費用をカバー)
就学支援金は「授業料」に対する支援ですが、高校生活には授業料以外にもお金がかかります。教科書代、教材費、制服代、通学費など。
これらをカバーしてくれるのが、高校生等奨学給付金です。
制度の概要
- 対象:生活保護世帯、住民税非課税世帯の高校生
- 支給額(私立高校の場合):
- 第一子:年額52,600円程度
- 第二子以降:年額152,000円程度
- 都道府県によって金額や条件が異なる
- 返済不要(給付型)
母子家庭で住民税非課税世帯に該当する場合、就学支援金と合わせれば、授業料+教材費のかなりの部分がカバーされます。
母子家庭が使える給付型奨学金一覧
国や自治体の制度に加え、民間の給付型奨学金も活用できます。返済不要のものを中心にまとめます。
自治体独自の奨学金
多くの自治体が独自の奨学金制度を設けています。月額5,000~30,000円程度の給付を受けられるものもあり、お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせることをおすすめします。
民間団体の奨学金
- あしなが育英会:病気・災害・自死で親を亡くした子ども、親が障害を持つ家庭が対象。月額30,000円程度(高校生)
- 交通遺児育英会:交通事故で親を亡くした・重度障害の家庭が対象
- 各種企業の奨学金:キーエンス財団、電通育英会、コカ・コーラ教育・環境財団など
申請時期が限られているものが多いので、中3の夏~秋には情報収集を始めることをおすすめします。
見落としがちな「隠れコスト」に注意
私立高校の費用で盲点になりやすいのが、授業料以外の「隠れコスト」です。入学前に把握しておかないと、後から慌てることになります。
入学時にかかるお金
| 費目 | おおよその費用 |
|---|---|
| 入学金 | 15~30万円 |
| 制服一式 | 5~10万円 |
| 体操服・体育館シューズ等 | 2~3万円 |
| 教科書・副教材 | 3~5万円 |
| タブレット・PC(指定がある場合) | 5~10万円 |
在学中の継続費用
| 費目 | 年間おおよその費用 |
|---|---|
| 施設維持費・設備費 | 5~15万円 |
| PTA会費・生徒会費 | 1~2万円 |
| 修学旅行積立 | 8~15万円(海外の場合はさらに高額) |
| 部活費用 | 年間数千円~数十万円(部による) |
| 通学定期代 | 年間5~15万円 |
入学金や制服代だけで30~50万円かかることも珍しくありません。就学支援金の支給は入学後なので、入学時の費用は一時的に自己負担が必要です。自治体によっては入学準備金の貸付制度があるので、早めに確認しましょう。
我が家のリアルな費用と使った制度
我が家の場合を正直に公開します。
息子は不登校から立ち直り、通信講座で学び直して高校受験に合格しました。全日制の私立高校です。
4年間で400万円以上を教育資金に使ってきた我が家にとって、高校3年間の学費は「これ以上出せるのか」という恐怖との戦いでした。息子がこの先どんな方向に進むか分からない以上、ある程度のお金を残しておかなければならない。その葛藤の中で、制度を徹底的に調べました。
使った制度
- 高等学校等就学支援金:年額396,000円(授業料がほぼ全額カバーされた)
- 高校生等奨学給付金:年額52,600円(教材費等に充当)
- 自治体独自の支援制度:入学準備金の貸付を利用
実質的な自己負担
授業料は就学支援金でほぼカバーできましたが、施設費・制服代・教材費・交通費などで年間約30~40万円の自己負担がありました。月額にすると約2.5~3.5万円。決して楽ではありませんが、「払えない」という金額ではありませんでした。
ポイントは、使える制度を一つ残らず調べて、すべて申請すること。「知らなかった」で損をしている母子家庭は本当に多いのです。
経済的理由で子どもの進路を狭めないで
「母子家庭だから公立しか選べない」──もしそう思っているなら、少し立ち止まってほしいのです。
もちろん、公立高校は素晴らしい選択肢です。でも、子どもが「この私立高校に行きたい」と言った時に、お金だけを理由に諶めさせる必要はないということを知っておいてください。
私の息子は、難関私立中学に合格した後に不登校になり、退学し、公立中学で学び直し、そして自分の意志で私立高校を選びました。その過程で私が学んだのは、「偏差値=幸せではない」ということと、「子ども自身が選んだ道には意味がある」ということです。
高校生になった今、息子は料理やギター、筋トレを楽しみながら、「医者じゃなくていい」と自分の将来を考えています。親族がほぼ全員医師の中で、自分の道を探しているその姿が、私にはとても頼もしく見えます。
あの夜、学費の通知書を見て眠れなかった私に、今の私が伝えたいことがあります。お金の不安は、情報と制度で解決できることがたくさんあります。一人で抱え込まず、学校の事務室、市区町村の窓口、社会福祉協議会など、使えるものはすべて使ってください。あなたの子どもの未来のために。
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