「お父さんいないの?」に傷つく子ども|シングルマザーが知るべき思春期の心のケア

記事ID:457 「お父さんいないの?」に傷つく母子家庭の子どもの心 アイキャッチ(caseE版) シングルマザーの教育戦略

「お父さんは?」——息子が初めて聞かれた日

息子が小学校3年生の頃でした。学校から帰ってきた息子が、玄関でランドセルを下ろしながらポツリと言いました。

「今日、○○くんに『お父さんいないの? なんで?』って聞かれた」

私は一瞬、息が止まりました。幼稚園の時に離婚して、それ以来ずっと二人で暮らしてきた。息子はそれが「普通」だと思っていたはずでした。でも、学校という社会に出れば、周りの子には「お父さん」がいる。その違いに気づく日が、いつか来るとは分かっていました。

「なんて答えたの?」と聞くと、息子は「うちにはいないよ、って言った」とだけ答えて、自分の部屋に行ってしまいました。

その夜、布団の中で息子の寝顔を見ながら、私は涙をこらえきれませんでした。この子に寂しい思いをさせているのは、私のせいなんだろうか——そんな思いが、胸を締め付けて離れませんでした。

「兄弟が欲しかった」——心をえぐられた一言

父親のことだけではありません。息子にある日、こう言われたことがあります。

「兄弟が欲しかった」

心をえぐられるような一言でした。私の住んでいる地域では一人っ子は珍しく、息子の周りはほとんどが兄弟のいる家庭。友達の家に遊びに行けば兄弟で賑やかに笑い合っている。息子はそれを見て、自分にはない「当たり前」を羨ましく思っていたのだと思います。

私だって、息子に兄弟を作ってあげたかった。でも現実は残酷でした。自然妊娠率2%という宣告。それでも諦められず、体外受精を8回行いました。流産も何度も経験しました。

ホルモン注射の副作用でイライラが止まらなくなる私。深まっていく夫との溝。治療費は500万円を超えていました。身体も心もボロボロになりながら、それでも「息子に兄弟がいた方が寂しくないだろう」と、必死に治療を続けた時期がありました。

結局、2人目を授かることは叶いませんでした。

もし兄弟がいたら、不登校で部屋にこもっていた時期も、家の中に誰かの明るい声が響いていたのかもしれない。もし兄弟がいたら、息子は一人きりで天井を見つめる夜を過ごさずに済んだのかもしれない——今でもふとした瞬間にそう思うことがあります

でも、息子に兄弟を作れなかったことを悔やんでも、時間は戻らない。私にできるのは、一人っ子の息子が「一人で寂しかった」と感じる瞬間を、少しでも減らすこと。お菓子の箱を廊下に置いたのも、趣味の話題で声をかけ続けたのも、全部その思いからでした。

思春期になって「父親の存在」を意識し始める子ども

小学校低学年の頃は、父親がいないことをあまり気にしていなかった息子。でも、思春期に入ると状況は大きく変わりました。

中学生になると、友達の会話の中に「お父さんと○○した」「父さんがうざい」といった話題が出てきます。息子はそういう話題になると、黙ってしまうようになりました。

参観日や運動会で、他の家庭のお父さんが来ているのを見る。父親の日の作文が書けない。進路の話で「お父さんは何て言ってる?」と先生に聞かれる

こうした小さな出来事の積み重ねが、思春期の子どもの心に深く刺さっていくのです。

父親不在を意識するきっかけになりやすい場面

・学校行事(参観日・運動会・三者面談)で周囲と比較される
・友人との会話で「お父さん」の話題が出る
・進路相談で家庭環境を聞かれる
・思春期特有の「自分のルーツ」への関心が高まる
・SNSで「家族写真」を見る機会が増える

「ママのせいじゃん」——反抗期の一言に心が砕けた日

これは、私が最も辛かった実体験です。

息子が不登校になり、起立性調節障害やADHDグレーゾーンの診断を受け、家の中がぎくしゃくしていた時期。些細なことで口論になり、息子がこう叫びました。

息子のアイコン
「ママのせいじゃん。全部ママのせいじゃん」

頭が真っ白になりました。足の力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまいました。

反抗期の子どもは、一番身近な人に一番残酷な言葉をぶつけます。それが本心ではないと頭では分かっていても、心は簡単には受け止められません。

あの夜、私は自分の部屋で声を上げて泣きました。「私がもっとちゃんとしていれば」「あの子を守れているのだろうか」——自分を責める言葉が止まりませんでした。

でも、翌朝。息子がリビングに来て、目を合わせずにこう言ったのです。

「……昨日はごめん」

たった一言。でも、その一言で私は「この子は大丈夫だ」と思えました。傷つけたことを自分で気づいて、謝れる子に育っている。それだけで十分でした。

父親不在の「ロールモデル問題」——男の子の場合

みっこのアイコン
みっこ「ロールモデル問題」の話、聞いてもらえる?

シングルマザー家庭で男の子を育てる場合、「男性のロールモデルがいない」という問題に直面することがあります。

思春期の男の子は、父親や身近な男性を見て「大人の男性像」を形成していきます。その参考になる存在がいないと、以下のような悩みを抱えることがあります。

・「男らしさ」とは何かが分からない
・将来の自分の姿がイメージしにくい
・異性との関わり方のモデルがない
・感情の処理の仕方を学ぶ機会が少ない

私が意識したこと

うちの場合は、親族にほぼ全員医師がいる環境だったので、叔父や祖父が男性のロールモデルになってくれた部分はありました。ただ、教育に力を入れる家庭ゆえに「普通であること」「優秀であること」へのプレッシャーも大きかった。

ロールモデルは、必ずしも血縁でなくても構いません。学校の先生、塾の講師、習い事のコーチ、地域のメンター——信頼できる大人の男性が一人いるだけで、子どもの心は安定します。

息子の場合は、のちに料理やギター、筋トレに夢中になる中で、YouTubeやオンラインコミュニティを通じて「憧れの大人像」を自分で見つけていきました。

スクールカウンセラー・地域の相談窓口を活用しよう

子どもの心のケアは、母親一人で背負うものではありません。

私自身、息子が不登校になった時にスクールカウンセラーに相談して、本当に救われました。第三者だからこそ言えること、気づけることがあります。

活用できる相談先

・スクールカウンセラー:学校に配置されている心理の専門家。子どもだけでなく、保護者も相談可能。
・教育相談センター:各自治体に設置。不登校・いじめ・発達障害など幅広く対応。
・児童相談所:虐待だけでなく、子育ての悩み全般に対応。
・よりそいホットライン(0120-279-338):24時間無料。シングルマザー専門の相談員もいる。
・ひとり親家庭支援センター:各地域にあり、生活・子育て・就労の相談ができる。

「相談する」ということは、弱さではありません。子どものために最善の選択をしているということです。

母親自身のメンタルケアも忘れないで

シングルマザーは、仕事・家事・育児を一人でこなしながら、子どもの心のケアもする。正直、自分のことなんて後回しになりがちです。

でも、私のメンタルが崩れると、子どもは一瞬で察知します。私が精神的に追い詰められていた時期、息子は明らかに不安定になりました。

私が実践したセルフケア

・一人の時間を意識的に作る(息子が寝た後の30分だけでも)
・同じ境遇のママと繋がる(シングルマザーのオンラインコミュニティ)
・完璧を目指さない(「今日はお惣菜でいい」と自分を許す)
・日記を書く(感情を文字にするだけで楽になる)
・必要なら心療内科を受診する(これは恥ずかしいことではない)

お母さんが笑っていることが、子どもにとって一番の安心材料です。自分を犠牲にしすぎないでください。

今の息子との関係——「相談してくれる」という幸せ

あれだけぶつかり合った息子ですが、今は少しずつ関係が変わってきました。

通信講座で自分のペースで勉強するようになり、高校にも合格。料理やギター、筋トレなど、自分の好きなことを見つけて、少しずつ自信を取り戻しています。

そして何より嬉しいのは、息子が自分から話をしてくれるようになったこと。

「今日こんなことがあった」「この曲弾けるようになった」「将来こういうことやってみたい」。

一緒に一緒にご飯を食べながら、他愛もない会話をする。それが今の私にとって、何よりの幸せです。

以前は「医者になってほしい」「偏差値の高い学校に行ってほしい」と思っていました。親族がほぼ全員医師という環境で、私自身もその価値観に縛られていたのです。

でも今は、息子が「医者じゃなくていい、自分の道を探す」と言ってくれることが、この子の成長の証だと心から思えます。

父親不在でも、息子は通信講座で”自分で学ぶ力”をつけました。不登校で学校の授業が受けられなくても、自宅で自分のペースで学べる環境があったからこそ、息子は自立の道を見つけられたのだと思います。

私の場合——息子に「普通のママが良かった」と言われた夜、言い返す言葉が見つからなかった。黙ったまま台所に立って、息子の好きなハンバーグを作り始めた。反論できない自分が情けなかったけど、それしかできなかった。

父親がいないことは、不幸ではない

シングルマザー家庭だからといって、子どもが不幸になるわけではありません。

大切なのは、「あなたは愛されている」「一人じゃない」と伝え続けること。言葉でも、態度でも、毎日の食事でも。

傷つくこともある。泣きたい夜もある。でも、それを乗り越えた先に、親子の絆はもっと深く、もっと強くなります

今、辛い思いをしているシングルマザーさんへ。あなたは一人で頑張りすぎています。でも、その頑張りは必ず子どもに届いています。

みっこの本音——「お父さんがいたら」と何度思ったか

反抗期で力が強くなった息子が怖かった夜、「こんな時お父さんがいたら」と思ってしまった。離婚したのは私の判断。その結果を息子が背負っている。あの罪悪感は今でも完全には消えていません。でも息子が「相談してくれる」関係に戻れた今、父親がいなくても親子は大丈夫だと、少しずつ思えるようになってきました。少しずつ、です。

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この記事のポイント
  • 「お父さんは?」——息子が初めて聞かれた日
  • 思春期になって「父親の存在」を意識し始める子ども
  • 「ママのせいじゃん」——反抗期の一言に心が砕けた日
  • 父親不在の「ロールモデル問題」——男の子の場合
  • スクールカウンセラー・地域の相談窓口を活用しよう
  • 母親自身のメンタルケアも忘れないで
  • 今の息子との関係——「相談してくれる」という幸せ
同じ悩みを抱える方に、少しでも届きますように。
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この記事を書いた人

シングルマザーとして、不登校・起立性調節障害・ADHDの息子と歩んできました。中3の4月に始めた通信講座(進研ゼミ)をきっかけに、約1年後に高校合格。同じように悩んでいる親御さんに「あなただけじゃないよ」と伝えたくてこのサイトを作りました。

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