「お父さんいないの?」に傷つく子ども|シンママが知るべき思春期の心のケア

温かい光の家庭 シングルマザーの教育戦略

「お父さんは?」——息子が初めて聞かれた日

息子が小学校3年生の頃でした。学校から帰ってきた息子が、玄関でランドセルを下ろしながらポツリと言いました。

「今日、○○くんに『お父さんいないの? なんで?』って聞かれた」

私は一瞬、息が止まりました。幼稚園の時に離婚して、それ以来ずっと二人で暮らしてきた。息子はそれが「普通」だと思っていたはずでした。でも、学校という社会に出れば、周りの子には「お父さん」がいる。その違いに気づく日が、いつか来るとは分かっていました。

「なんて答えたの?」と聞くと、息子は「うちにはいないよ、って言った」とだけ答えて、自分の部屋に行ってしまいました。

その夜、布団の中で息子の寝顔を見ながら、私は声を殺して泣きました。この子に寂しい思いをさせているのは、私のせいなんだろうか——そんな思いが、胸を締め付けて離れませんでした。

思春期になって「父親の存在」を意識し始める子ども

小学校低学年の頃は、父親がいないことをあまり気にしていなかった息子。でも、思春期に入ると状況は大きく変わりました

中学生になると、友達の会話の中に「お父さんと○○した」「父さんがうざい」といった話題が出てきます。息子はそういう話題になると、黙ってしまうようになりました。

参観日や運動会で、他の家庭のお父さんが来ているのを見る。父親の日の作文が書けない。進路の話で「お父さんは何て言ってる?」と先生に聞かれる

こうした小さな出来事の積み重ねが、思春期の子どもの心に深く刺さっていくのです。

父親不在を意識するきっかけになりやすい場面

・学校行事(参観日・運動会・三者面談)で周囲と比較される
・友人との会話で「お父さん」の話題が出る
・進路相談で家庭環境を聞かれる
・思春期特有の「自分のルーツ」への関心が高まる
・SNSで「家族写真」を見る機会が増える

「お前のせいで離婚したんだろ」——反抗期の一言に心が砕けた日

これは、私が最も辛かった実体験です。

息子が不登校になり、起立性調節障害やADHDグレーゾーンの診断を受け、家の中がぎくしゃくしていた時期。些細なことで口論になり、息子がこう叫びました

「どうせお前のせいで離婚したんだろ! 俺の人生めちゃくちゃにしやがって!」

頭が真っ白になりました。足の力が抜けて、その場にしゃがみ込んでしまいました。

反抗期の子どもは、一番身近な人に一番残酷な言葉をぶつけます。それが本心ではないと頭では分かっていても、心は簡単には受け止められません。

あの夜、私は自分の部屋で声を上げて泣きました。「私が離婚しなければ」「私がもっとちゃんとしていれば」——自分を責める言葉が止まりませんでした。

でも、翌朝。息子がリビングに来て、目を合わせずにこう言ったのです。

「……昨日はごめん」

たった一言。でも、その一言で私は「この子は大丈夫だ」と思えました。傷つけたことを自分で気づいて、謝れる子に育っている。それだけで十分でした。

父親不在の「ロールモデル問題」——男の子の場合

シングルマザー家庭で男の子を育てる場合、「男性のロールモデルがいない」という問題に直面することがあります。

思春期の男の子は、父親や身近な男性を見て「大人の男性像」を形成していきます。その参考になる存在がいないと、以下のような悩みを抱えることがあります。

・「男らしさ」とは何かが分からない
・将来の自分の姿がイメージしにくい
・異性との関わり方のモデルがない
・感情の処理の仕方を学ぶ機会が少ない

私が意識したこと

うちの場合は、親族にほぼ全員医師がいる環境だったので、叔父や祖父が男性のロールモデルになってくれた部分はありました。ただ、医師家系ゆえに「普通であること」「優秀であること」へのプレッシャーも大きかった。

ロールモデルは、必ずしも血縁でなくても構いません。学校の先生、塾の講師、習い事のコーチ、地域のメンター——信頼できる大人の男性が一人いるだけで、子どもの心は安定します。

息子の場合は、のちに料理やギター、筋トレに夢中になる中で、YouTubeやオンラインコミュニティを通じて「憧れの大人像」を自分で見つけていきました。

スクールカウンセラー・地域の相談窓口を活用しよう

子どもの心のケアは、母親一人で背負うものではありません

私自身、息子が不登校になった時にスクールカウンセラーに相談して、本当に救われました。第三者だからこそ言えること、気づけることがあります。

活用できる相談先

・スクールカウンセラー:学校に配置されている心理の専門家。子どもだけでなく、保護者も相談可能。
・教育相談センター:各自治体に設置。不登校・いじめ・発達障害など幅広く対応。
・児童相談所:虐待だけでなく、子育ての悩み全般に対応。
・よりそいホットライン(0120-279-338):24時間無料。シングルマザー専門の相談員もいる。
・ひとり親家庭支援センター:各地域にあり、生活・子育て・就労の相談ができる。

「相談する」ということは、弱さではありません。子どものために最善の選択をしているということです。

母親自身のメンタルケアも忘れないで

シングルマザーは、仕事・家事・育児を一人でこなしながら、子どもの心のケアもする。正直、自分のことなんて後回しになりがちです。

でも、母親のメンタルが崩れると、子どもは一瞬で察知します。私が精神的に追い詰められていた時期、息子は明らかに不安定になりました。

私が実践したセルフケア

一人の時間を意識的に作る(息子が寝た後の30分だけでも)
同じ境遇のママと繋がる(シンママのオンラインコミュニティ)
完璧を目指さない(「今日はお惣菜でいい」と自分を許す)
日記を書く(感情を文字にするだけで楽になる)
必要なら心療内科を受診する(これは恥ずかしいことではない)

お母さんが笑っていることが、子どもにとって一番の安心材料です。自分を犠牲にしすぎないでください。

今の息子との関係——「相談してくれる」という幸せ

あれだけぶつかり合った息子ですが、今は少しずつ関係が変わってきました。

通信講座で自分のペースで勉強するようになり、高校にも合格。料理やギター、筋トレなど、自分の好きなことを見つけて、少しずつ自信を取り戻しています。

そして何より嬉しいのは、息子が自分から話をしてくれるようになったこと

「今日こんなことがあった」「この曲弾けるようになった」「将来こういうことやってみたい」。

一緒に食卓を囲んで、他愛もない会話をする。それが今の私にとって、何よりの幸せです。

以前は「医者になってほしい」「偏差値の高い学校に行ってほしい」と思っていました。親族がほぼ全員医師という環境で、私自身もその価値観に縛られていたのです。

でも今は、息子が「医者じゃなくていい、自分の道を探す」と言ってくれることが、この子の成長の証だと心から思えます。

父親不在でも、息子は通信講座で”自分で学ぶ力”をつけました。不登校で学校の授業が受けられなくても、自宅で自分のペースで学べる環境があったからこそ、息子は自立の道を見つけられたのだと思います。

父親がいないことは、不幸ではない

シングルマザー家庭だからといって、子どもが不幸になるわけではありません。

大切なのは、「あなたは愛されている」「一人じゃない」と伝え続けること。言葉でも、態度でも、毎日の食事でも。

傷つくこともある。泣きたい夜もある。でも、それを乗り越えた先に、親子の絆はもっと深く、もっと強くなります

今、辛い思いをしているシンママさんへ。あなたは一人で頑張りすぎています。でも、その頑張りは必ず子どもに届いています。

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